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生きてこそ

瀬戸内寂聴/著

814円(税込)

発売日:2017/06/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

95歳。幸福になるための智慧六十話。

私はかねてから「今」ほど悪い時代はなかったと言ってきた。天変地異は地球の至る所で勃発するし、相変わらず戦争は絶えないし、テロの脅威もある。枕を高くして眠れる時代ではない。まさに「絶望の時代」と呼ぶしかない不幸な末世の到来である。それでもこの世に送り出されてきた以上、私たちは生きなければならないのだ。常に時代の空気にあらがってきた95歳の著者が説く、幸福になるための智慧。

目次
はじめに――再会
第1章 智慧と幸福と自由と
智慧とは判断力のこと
老いの死に花を咲かす時
家族の愛は何よりの良薬
ある身の上相談の行方
ふたたび被災地を訪ねて
第2章 老いの日々を爽快に生きる
逝く人は未練を見せない
百七十歳のデート
九十歳からのパソコン
老人よ胸を張ろう
厭がらせの年齢
一人で動き回るのもよし
八十八歳の坂
若い年寄り
老齢力の革命
とんでもない年の瀬
春へんろの笑顔
だって母ですもの
第3章 死は平等に訪れる
告知のしかた
地獄を生ききる
内臓布施
何者として死ぬか
命は大いなる授かりもの
死の用意のかたち
江藤淳さんの殉死
死者からの死亡通知
本木雅弘さんの約束
命なりけり
阿闍梨さんの後悔
第4章 嘆かわしいのは教育の荒廃
若者はいつも不安を抱えている
国語教育の危機
「決めるこころ」をつくる教育を
「聖職者」の復活こそ
大学は出なくても
知識よりも倫理を
小学生が教えてくれた「聞くこと」の大切さ
受難の子供の世紀
成人式無用論
軽視された道徳
里見とんさんのまごころ
十三詣りと成人式
「一番」よりもやさしさを
若者の生きる力こそ
第5章 嫌な時代の空気にあらがう
死にたくない少年
開戦記念日の夜
すべての悪は愛で清められる
原発になぜ仏様の名前が
日に見えぬものを畏れよ
天に挑むより足もとを固めよ
テロへの報復は無力である
後ろめたさを抱えて生きる
戦争を知らぬ政治家への不安
長生きしたもののしごと
第6章 読書せざるは一生の損
他人の日記はおもしろい
読書離れは亡国の兆し
死語もまたよし
名文とは力のある文章
この世は美しい、人の心は甘美である
「源氏物語千年紀」を送って
紙の本の滅びを前に

書誌情報

読み仮名 イキテコソ 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610720-7
C-CODE 0210
整理番号 720
ジャンル エッセー・随筆
定価 814円
電子書籍 価格 814円
電子書籍 配信開始日 2017/06/23

著者プロフィール

瀬戸内寂聴

セトウチ・ジャクチョウ

(1922-2021)1922年、徳島県生れ。東京女子大学卒。1957(昭和32)年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞、1961年『田村俊子』で田村俊子賞、1963年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。1973年11月14日平泉中尊寺で得度。法名寂聴(旧名晴美)。1992(平成4)年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、2011年に『風景』で泉鏡花文学賞、2018年『句集 ひとり』で星野立子賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。著書に『比叡』『かの子撩乱』『美は乱調にあり』『青鞜』『現代語訳 源氏物語』『秘花』『爛』『わかれ』『いのち』『私解説 ペン一本で生きてきた』など多数。2001年より『瀬戸内寂聴全集』(第一期全20巻)が刊行され、2022(令和4)年に同全集第二期(全5巻)が完結。2021年11月9日99歳で逝去。

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