
日本を蝕む「極論」の正体
836円(税込)
発売日:2018/01/17
- 新書
- 電子書籍あり
極論バカ、増殖中! 「組体操」を強制する教師たち 日本共産党は経済オンチだ どこへ消えた「TPP亡国論」 もうやめようよ「バブル賛歌」 「日本会議」を巡る陰謀論 地方消滅論はウソばかり。
極論を目にすることが増えた。政界、教育現場、論壇、職場、メディア……あらゆる場所で左右も保革も関係なく、ちょっと冷静になれば明らかに変だとわかることを声高に主張し、他人を糾弾する「極端な人たち」が目立つ。それはかつての連合赤軍やオウム真理教を想起させる存在だ。「バブル賛歌」「TPP亡国論」「地方消滅」「憲法九条無殺生論」等々、はびこる極論の奇怪さを嗤い、その背景を考察する。
書誌情報
読み仮名 | ニホンヲムシバムキョクロンノショウタイ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610751-1 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 751 |
ジャンル | 政治・社会 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 836円 |
電子書籍 配信開始日 | 2018/01/26 |
薀蓄倉庫
「二分の一成人式」という奇習
成人の二分の一、つまり10歳の子供に「育ててくれた両親への感謝」を大勢の保護者の前で述べさせる。そんな儀式が小学校では行われているそうです。「二分の一成人式」というのだそうです。
現在子育てをしている人にとっては常識ですが、そうでない人には初耳の儀式でしょう。『日本を蝕む「極論」の正体』で著者は、さまざまな「極論」が生まれやすい団体、場所を取り上げており、その代表の一つとして教育現場を挙げています。「二分の一成人式」もその産物である、と指摘しています。なぜそういうものが生まれるのかは、本書で。
掲載:2018年1月25日
担当編集者のひとこと
極端な人にイライラしないための薬です
コメントを求めに来た新聞記者に「殺すぞ」という市長は論外にせよ、何だか言うことが極端な人、妙に物言いが過激な人が目立つ気がします。少し前は母国に対して「死ね」という人もいました。
ネットの影響も大きいのでしょう。匿名の場合、「死ね」「殺す」とか過激な表現を用いたり、事実かどうかよくわからないことでも「絶対そうだ!」と言い切ったりすることに心理的な抵抗が薄くなるのかもしれません。そのクセが抜けずに、リアルのほうでも極端な方向に突っ走る人がいるのだろうか、などと思っていました。
このあたりの「極端な人」が発生するメカニズムについて、著者は「競争のない、閉鎖的な集団や組織から極論は常に発生する。外部から見えづらい、つまり第三者から監視・監査されない『内向き』の組織や団体の中での物言いは、次第に極論となり沸騰してくるが、その内部にいる人間たちには正論として信じられてしまう」と明快な答えを示しています。たしかに、その視点でみると、大抵の極端な人、極端な物言いの説明がつきます。本書を読めば、そういう人たちに対して無駄にイライラしなくなることでしょう。
周囲の諫言を聞かず、なにかというと「戦争だ」「火の海だ」と言っている国も、これにピッタリあてはまる気がします。
2018/01/25
著者プロフィール
古谷経衡
フルヤ・ツネヒラ
1982(昭和57)年札幌市生まれ。著述家。立命館大学文学部史学科(日本史)卒業。インターネット、ネット保守、若者論などを中心に言論活動を展開。著書に『若者は本当に右傾化しているのか』『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』『左翼も右翼もウソばかり』など。