素顔の西郷隆盛
902円(税込)
発売日:2018/03/29
- 新書
- 電子書籍あり
日本が一変! 「大西郷」とは、何者か。
平成無比の歴史家、日本の原点を衝く。
今から百五十年前、この国のかたちを一変させた西郷隆盛とは、いったい何者か。薩摩での生い立ちから、悩み多き青春と心中未遂、流謫の南島から幕末の渦中へと舞い戻り、策謀と戦闘の果てに倒幕を成し遂げ、ついには賊軍として西南戦争で自決するまで――後代の神格化と英雄視を離れて、「大西郷」の意外な素顔を活写、その人間像と維新史を浮き彫りにする。
目次
はじめに
第一部 青春と挫折
伝説の先祖・無敵齋/待望の「サラブレッド」誕生/ややこしいやつ/薩摩流のスパルタ教育/『日新公いろは歌』の教え/妙円寺武者参りの因縁で大けが/郷中教育でリーダーを育成/郡方書役助時代の上司・迫田太次右衛門/「武の国」の武士とお百姓/学問への異様な傾倒ぶり/改革派として藩政に関心を抱く/義絶と詰腹・薩摩青年の倣い/お由羅騒動起こる/赤山靭負の血染めの襦袢/相次ぐ父母の他界/最初の結婚に失敗/念願の江戸出府がかなう/島津斉彬という名君/キセルの音が違ったわけ/篤姫の輿入れで鑑識眼を磨く/「独立独行の気性あり」/豪傑・藤田東湖の家で酩酊/松平春嶽の人材登用力/師とも仰いだ英才・橋本左内/陽明学と朱子学の世界観/斉彬の急死/勤皇僧・月照との心中未遂事件
第二部 復活と策動
蘇生後の緩慢な自殺/革命思想を育んだ島暮らし/桜田門外の変、長州と薩摩の熱気/久光を「地ゴロ」呼ばわり/再び遠島、沖永良部島への流罪/幕末の風雲、西郷再びの召還/長州藩の動きを徹底的に探索/蛤御門の変で初めての戦陣/長州征討参謀から日本の顔に/「天下の世話」を理解した糸子夫人/高杉晋作との秘密会談説/薩長同盟成立への思惑/倒幕の密勅vs.大政奉還/孝明天皇の死、王政復古のクーデター/「短刀一本あればことは済み申す」/自己保身より死の覚悟/従道の首を銃弾が貫通/イギリスの恫喝という一策/東征軍編成と軍資金の捻出/大総督府参謀として東海道を下る/大田垣蓮月が託した和歌/山岡鉄舟との談判に応じる/蔵屋敷での勝との事前交渉/京都太政官での深夜の激論/江戸城明け渡しの混乱、相次ぐ脱走/彰義隊との上野戦争を指揮/北陸戦線で吉二郎が戦死/「ぼんぼんが痛くなった」/奥羽越を平定、そして帰郷
第三部 失意と天命
明治新政府のスタート/位階も賞典禄も返上したい/妻子との束の間の家庭生活/西郷マニフェストの中身/「いまだ戦争が足り申さん」/東京暮らしの実相あれこれ/政教に始まる道徳国家への夢/留守政府という呼称のおかしさ/明治天皇の西国巡幸に随行/次第に募る失望感/征韓論と遣韓論/紛糾する閣議と勅裁/暇ある黄金の玉、暇なき銀の玉/異色の公家、岩倉の武家不信/「脱出す人間虎豹の群」/名妓と料理人の証言/揮毫の特徴「、」と「・」/文字に表れる沈着な性格/私学校暴発に「ちょっしもた!」/政府に尋問の筋これあり/朝敵として最後の突撃
おわりに
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | スガオノサイゴウタカモリ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 272ページ |
ISBN | 978-4-10-610760-3 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 760 |
ジャンル | 歴史・地理 |
定価 | 902円 |
電子書籍 価格 | 902円 |
電子書籍 配信開始日 | 2018/04/13 |
担当編集者のひとこと
謎多き人間像と維新史を、わし掴み
今年は明治維新からちょうど百年。大河ドラマ「西郷どん」の時代考証をつとめる著者が、維新最大のヒーローにして、現代日本の原点ともいうべき男の素顔に迫ります。
薩摩流のスパルタ教育、悩み多き青春時代、革命思想を育んだ南島生活、再び舞い戻った幕末風雲の渦中、戊辰戦争と新政府の発足、征韓論破裂からついには賊軍として自決――浮沈を繰り返したその生涯は、まさしくドラマチックです。
振れ幅の大きな言動と歴史上の事績をどう評価すべきか、しばしば小説家や学者泣かせといわれる「大西郷」。本書では、後代の神格化を離れて史料をひもとき、長年研究してきた維新史と重ねながら鮮やかに読み解きます。
2018/04/25
著者プロフィール
磯田道史
イソダ・ミチフミ
1970(昭和45)年岡山市生まれ。歴史家。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。2018年3月現在、国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮ドキュメント賞受賞)、『天災から日本史を読みなおす』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『日本史の内幕』など著書多数。
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