トヨタ 現場の「オヤジ」たち
814円(税込)
発売日:2018/06/15
- 新書
- 電子書籍あり
中学を出た。油まみれで働いた。そして、副社長になった――。モノ作りの全責任を負う男たちの矜持。
トヨタ自動車には、副社長が6人いる。そのうちの1人、河合満は15歳で入社した中卒の現場叩き上げだ。現場の組長、工長を「オヤジ」と呼ぶ同社において、モノ作りの全責任を負っているのは、大卒管理職ではない。「オヤジ」たちだ。今でも工員と同じ釜の飯を食い、大浴場で裸のつきあいをする河合をはじめ、伝説の「オヤジ」たちが語る、トヨタ生産方式の真実、人の育て方、現場で働き続けることの喜び——。
書誌情報
読み仮名 | トヨタゲンバノオヤジタチ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610768-9 |
C-CODE | 0234 |
整理番号 | 768 |
ジャンル | ビジネス・経済 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 814円 |
電子書籍 配信開始日 | 2018/06/22 |
蘊蓄倉庫
「きちんとやれ」はダメ上司の言葉
「トヨタ生産方式」や「カイゼン」といった言葉で、海外にも知られるトヨタの「モノ作り」だが、その目指すところは労働強化ではなく「徹底的にムダをなくすこと」なのだと河合副社長は言う。
いわく「横着なやつがカイゼンがうまい」のは、労働者を楽にすること、すなわち作業を安全に、効率よく進めることに主眼が置かれているからだ。
「問題を顕在化することが大事。それを隠したらいつまで経ってもカイゼンされない。それがいちばん悪いこと」というのには、日本社会全体の危機管理にも繋がる言葉だろう。
「部下が理解してないのは、部下が悪いんじゃない。教えた方が悪いんだ」と言われたというOBは、「進め」という言葉一つとっても、前に進む人、右に行く人、左に行く人、様々な人がいるのだから、どの方向にどれぐらい進むのかを言わなければならないし、自分自身でやってみせる技量もいる、しゃべりだけでは人は動かないと淡々と語る。
「きちんとやれ」「ちゃんとやれ」はいい加減な言葉で、「ちゃんとやれと言うなら、まず自分の腕を見せる」ことが大事なのだ。
掲載:2018年6月25日
担当編集者のひとこと
トヨタ中卒副社長は、とんでもなくかっこいい「オヤジ」だった!
売り上げ27兆6000億円、全従業員37万人のトヨタ自動車。そのトヨタ自動車に6人いる副社長のうちの1人、河合満・副社長は、中学卒業後、トヨタの専門学校に入り「鍛造工場」の現場で働き続け55年。現在も、叩き上げ初の副社長として、世界中の現場を飛び回っている。
トヨタでは生産現場を束ねる組長、工長は尊敬をこめて「オヤジ」と呼ばれている。河合副社長はじめ、現場の第一線で働いてきた伝説の「オヤジ」たちの語る「モノ作り」と「人の育て方」は、とにかく説得力があった。そして部下から親しみを込めて「オヤジ」と呼ばれる彼らの姿は、現場で人を守り育てる「父親」の姿に他ならない。
その背中は、広く、あたたかく、そしてかっこよかった!
2018/06/25
著者プロフィール
野地秩嘉
ノジ・ツネヨシ
1957(昭和32)年、東京生れ。早稲田大学商学部卒。美術展のプロデューサーなどを経て、ノンフィクション作家に。著書に『サービスの達人たち』『サービスの天才たち』『トヨタ物語』『キャンティ物語』『ビートルズを呼んだ男』『芸能ビジネスを創った男』『TOKYOオリンピック物語』『京味物語』などがある。