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警察官白書

古野まほろ/著

880円(税込)

発売日:2018/06/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

年収、学歴、異性関係は? 職務質問のコツは? 敏腕刑事の要件は? 思考パターンは? 警察キャリア出身の作家が専門分野別に徹底プロファイル!

警察ほど奥深い組織はない。警察官は、人のどこを見ているのか? 勤務時間や給料は? 階級や人事は? 結婚や家庭生活は? 刑事になる条件は? 職務質問や逮捕の要件とは? 情報処理や書類仕事の方法とは? 人間関係を円滑にする秘策は? 彼らにとっての「正義」とは? 警察キャリア出身の作家が、交番、生安、刑事、交通、警備などを専門分野別に徹底プロファイル。全国26万警察官の生身の姿をリアルに描き出す。

目次
まえがき
警察官のステレオタイプ――様々な問題とおもしろさ/本書の目的と構成
I 警察太郎――26万警察官の「むりやり平均値」
警察官すべてのステレオタイプ――『警察太郎』さん/警察太郎の階級/警察太郎の仕事/警察太郎の私生活――家庭関係/警察太郎とおカネ/警察太郎の住まい/警察太郎の交友関係/警察太郎の趣味/警察太郎とIT/警察太郎のビジネス環境――公的生活/警察太郎の朝/警察太郎の『出勤』/警察太郎の上司・部下・同僚/警察太郎の職業的立ち位置/警察太郎の具体的お仕事/警察太郎の『時間割り』/警察太郎の『行事』/警察太郎の退勤/警察太郎の職場環境――ハード面/警察太郎の世界観――マインドとパラダイム/正義パラダイム/オール・オア・ナッシング・パラダイム/警察太郎のマインド
II 刑事太郎たち――誇りを懸け、鎬を削る専門家集団
専務と地域について
第1章 生安太郎――警察組織の何でも屋にして、ヘルプデスク
専務の一番手――生安太郎/生安太郎の勤務スタイル/生安太郎の勤務環境/生安太郎の階級/専務員への『登用』/生安太郎のキャリアプラン/生安太郎のお仕事/犯罪の予防――『防犯』/生安太郎の『保安警察』/サイバー犯罪対策/生安太郎の組織内ポジション/生安太郎のマインド――警察太郎との差分
第2章 刑事太郎――警察一家の大親分にして、永遠のガキ大将
刑事のステレオタイプ――刑事太郎/刑事太郎の勤務スタイル/刑事太郎の勤務環境/刑事太郎の出退勤/刑事太郎の階級/刑事太郎への『登用』/刑事花子の活躍/刑事太郎のキャリアプラン――スタートライン/刑事太郎の『徒弟制度』/刑事太郎のキャリアプラン――異動と昇進/刑事太郎のお仕事/刑法犯の取締り/デスクワークの達人――書類、書類、また書類/特殊な行政書士にして、特殊なルポライター/書類にはネタが必要/刑事一家の構成員――ファミリーの面々/強行一郎/知能二郎/盗犯三郎/組対四郎/刑事太郎のマインド――警察太郎との差分
第3章 交通太郎――コミュ力の高い、生徒指導の先生
交通警察官のステレオタイプ――交通太郎/制服勤務をする『内勤』/3交替制勤務もあり得る『内勤』/道交法のスペシャリスト――現場直結のセンセイ/交通太郎の犯罪捜査/交通太郎のストレス――生活指導の先生として/交通太郎のストレス――部内からの不満/交通太郎のリクルート/交通太郎のお仕事――客観性と数値性/交通太郎のコミュ力
第4章 警備太郎――マイペースなスパイ屋さん?
警備警察官のステレオタイプ――警備太郎/警備太郎の勤務時間/警備太郎の勤務スタイル/警備太郎のイメージ――『不可解な隣人』/警備太郎の『警備』/警備一族の構成員――公安太郎/警備一族の構成員――外事太郎/実施太郎/警備太郎のお仕事(仕事のやり方)/情報の収集と分析/警備犯罪の取締り/警備太郎の秘密主義/警備太郎の低姿勢/警備太郎のマインド――警察太郎との差分
あとがき

書誌情報

読み仮名 ケイサツカンハクショ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-610770-2
C-CODE 0236
整理番号 770
ジャンル 政治・社会
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2018/06/22

蘊蓄倉庫

警察官の結婚事情は?

 今の世の中では、未婚率が増加していますが、警察の「部内文化」として、警察官は結婚しているのが普通なのだそうです。
 それも部内結婚の可能性が大です。
 女性警察官は部内に10%もいないので、女性警察官や女性の一般職員は、どうしても結婚に困るということはあり得ないそうです。いわゆる部内調達が可能で、男性警察官からのナンパも無数にあるようです。ですから、部内結婚にいたるのはよくあることです。
 一方で、「ある程度の年齢になって所帯を固めていないのは、警察官として望ましくないよ」という部内文化があるそうです。「ある程度の年齢になって」未婚だと、ハニートラップに引っ掛かる、金銭感覚がルーズになる、ギャンブルや風俗にはまる、不倫、失踪、自殺など、様々なリスクがないとは言えず、未婚で「身上実態把握が難しいと、実際的な事情から、客観的で明快な(=上司・人事部門が納得できる)理由がない限り、痛くもない腹を探られてしまう」と本書で明かされています。
 平均的には、20歳代が終わる頃までには結婚しているそうです。ちなみに交番勤務であれば、3日に1日は実質、休日なので、合コンやデートをする時間もあるのだとか。

掲載:2018年6月25日

担当編集者のひとこと

“超リアル”な警察官だから、おもしろい!

「警察官」というと、ドラマや小説からイメージしがちですが、実は「市民が描く典型的な警察官像」と、現実の「警察官が描く典型的な警察官像」は大きく異なるそうなのです。
 本書では、警察キャリア出身で、警察社会を知悉する作家、古野まほろ氏が、豊富な経験と知識から、「警察官」としての生身の姿を“超リアル”に明らかにしています。イメージと現実とのズレを楽しみながら、驚いたり、触発、啓発される内容が満載です。
「警察官」といっても多くの階級の、様々な専門分野の警察官がいますので、古野氏の作家としての筆致で、デフォルメと擬人化を試みながら、ステレオタイプとしての「警察官」の真実が描かれています。
「警察太郎」は、四大卒の38歳。採用試験を通り、警察学校を経て、交番に勤務している、既婚の警察官です。階級は巡査部長。3交代制の勤務です。職務質問が得意で、常に臨戦態勢のため、特技は早飯です。ぱちんこ(警察では平仮名で表記)や読書という趣味もあります。給与は……。昇進は……。日々の仕事は……。人間関係は……。
 このように、「警察官」の現実の姿が、エピソード、そして、トリビア等を織り交ぜながら、提示されていきます。
 また、「誇りを懸け、鎬を削る専門家集団」(専務)として、建制順(ケンセイジュン)という警察社会の順番で、「生安太郎」(生活安全部門)、「刑事太郎」、「交通太郎」、「警備太郎」と擬人化され、4つの専門分野別に、「警察官」が詳しくプロファイルされています。
 たとえば、「刑事太郎」では、捜査各課を、強行一郎、知能二郎、盗犯三郎、組対四郎という「刑事一家の構成員」として、各々の仕事術や性格なども明かされています。
 また、警察太郎や刑事太郎たちの「マインド」もタイプ別に分析されており、警察官の内面にも迫っています。
 警察キャリア出身の著者だからこそ、ここまで描けた「現実の警察官」を、ぜひお楽しみください。

2018/06/25

著者プロフィール

古野まほろ

フルノ・マホロ

東京大学法学部卒業。リヨン第三大学法学部修士課程修了。学位授与機構より学士(文学)。警察庁I種警察官として警察署、警察本部、海外、警察庁等で勤務し、警察大学校主任教授にて退官。2007(平成19)年、『天帝のはしたなき果実』で第35回メフィスト賞を受賞し、デビュー。有栖川有栖・綾辻行人両氏に師事。他の著書に『新任巡査』『新任刑事』『新任警視』『オニキス 公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子』『R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室』『警察手帳』『警察官白書』『職務質問』などがある。

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