ちょいバカ戦略―意識低い系マーケティングのすすめ―
814円(税込)
発売日:2019/01/17
- 新書
- 電子書籍あり
なぜ、書籍のタイトルに「バカ」って言葉がよく使われるのか?
お高くとまってちゃモノは売れない。高い意識をアピールし、結果は憤死という製品が数多ある一方、消費者の欲望を直撃して、大ヒットするものもある。この違いは一体何か? これぞ「意識低い系マーケティング」の真髄だ。ヒットした商品、成功した企業に共通する、ちょっと見はおバカでもその実、したたかな戦略とは。視界が一気に開ける逆転のビジネス書。
革新的でセンスがいい/アップルは本当に革新的だったのか/プレゼンはわかりやすさが命
2 「意識が高い」と「意識高い系」は別のもの
意識高い系の学生を笑うな/学生の防御反応/意識低い系は役に立つ
3 意識が高いと先が読めない
専門家は「スマホのヒット」を予測できなかった/AI、IoTは大昔の発想/ハンドスピナーに何の意味があるというのか
4 便利には「上から」「下から」の2種類がある
開発者目線とユーザー目線/アイリスオーヤマの「ズボラ家電」/意識低い系マーケティングはキャズムを越える/みんな一緒、安いという安心感/安さを侮るな
洋楽好きな俺ってすごい/マイナーをメジャー化する利益は大きい
2 便利は不便よりも強い
手書きは意識が高いけど/退職願をLINEで/不便も価値となる
3 「近い」は強いが「遠い」にも逆転の要素あり
「近くでいいか」/政治家はなぜ遠くを見つめるのか
4 具体的なものは抽象的なものよりもわかりやすい
あるあるネタはなぜウケるか/ハウツー本はなぜ軽く見られるか/説明は具体的なほうがいい
5 感情は理性よりも広まる
フェイクニュースはなぜ拡散するのか/エモさの魅力/一杯のかけそばはエモい
6 「幼さ」はマイナス要因ではない
中二病からの脱出
7 女性の直観力は侮れない
頭でっかちな男たち/読者モデルはなぜ女性なのか
ロジックよりも欲望を明確にする/特殊な欲望なら市場を独占できる/青春の思い出を再現した2万円のトースター
2 流行に乗ることを恥じるな
トレンドはどうやって作られるのか/トレンドを利用する
3 ドウシシャのニッチ戦略
かき氷ブームに乗った「大人の氷かき器」/Webサービスはマネでも一気に逆転可能/弱者のデザイン戦略
4 かわいいことは最強
なぜ日本人はかわいいに惹かれるのか?/デザインだけで爆発的ヒットになったUSB機器/ベンツの長期戦略/いつの間にか子供をターゲットにしていたペリカン
5 他人の喧嘩は面白い
ライバルを自分で設定する/アイドルと競争/目の上のたんこぶと闘え/若者の「○○離れ」と脱ヒエラルキー商品
6 誰でも楽をしたいもの
コミュニケーションほど楽しくも面倒なものはない/軽薄短小は永遠なり?
7 誰かに話したいという欲望
クイズ形式の広告と、おもしろ味のお菓子
8 オープンイノベーションの可能性
オープンイノベーションとはパンツを脱ぐこと/伝統工芸の家電化/プロペラから扇風機をつくる
あえて自分を低めに見せる/孫正義とSNS/新生姜が拡散
2 弱点は親しみやすさと紙一重
自虐マーケティングはなぜ有効なのか/野崎のコンビーフ/「史上最低の遊園地。」/ネガティブワードを商品名に加える
3 マイルド化することでビジネスになる
文化は不良から生まれる?/クロムハーツの不良力/一気に普及させるマイルド化
4 改名は思った以上に効果がある
中身を変えずに名前を変える/「悪名は無名に勝る」を利用したホリエモン/名前の変更を恐れるな
5 市場を限定しないことこそ可能性を生む
キティちゃんの仕事を選ばない戦略/孤高の人はウケない/オンリーワンを演出するキダ・タロー戦略
書誌情報
読み仮名 | チョイバカセンリャクイシキヒクイケイマーケティングノススメ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610796-2 |
C-CODE | 0233 |
整理番号 | 796 |
ジャンル | ビジネス・経済 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 814円 |
電子書籍 配信開始日 | 2019/01/25 |
蘊蓄倉庫
「ちょいバカ」も流行語に?
著者の小口覺さんが2016年、生み出した言葉に「ドヤ家電」があります。持っているだけでちょっと自慢できる、ステータスの高めの家電のことですが、この言葉は同年の日経MJ「ヒット商品番付」にランクイン。家電のファッション化を見事に掬い取った言葉だったと思いますが、その小口さんが本書で推しているのが「意識低い系マーケティング(別名:ちょいバカマーケティング)」。これまた新語ですが、現在ヒットしている商品を見渡してみれば、アップルからワークマンまで「意識の高い」「上から目線」のモノ作りとは無縁。見た目は取っつきやすく、その実したたかな戦略が隠されているヒット商品の数々が本書では取り上げられています。
掲載:2019年1月25日
担当編集者のひとこと
アップルだってワークマンだって?
「意識高い系」という言葉がありますよね。元はネットスラングだと思うのですが、実現性の低い理想論を鼻高々に語ったりすれば、「意識高い系ですか?」などと揶揄するのに使われていたわけです。そもそも「意識が高い」のはよいこと。理想に向かって意識を高め、日々努力する……美しい姿ですね。ただ、その姿を表面的になぞったような人に出会うと、からかいたくなってしまう。
モノ作りも似たところがあります。高い理想を掲げ、でもその代わりに価格が高かったり、使い勝手が悪かったがために、憤死する商品は数知れません(あえて具体例は挙げませんが)。ではその逆、ヒットする商品とはどんなものなのか……? 長年、IT業界や家電業界をウォッチしてきたライターの小口覺さんは気づいたそうです。ちょっと待て? 「意識高い系」の逆、「意識低い系」こそが、人々のツボにささっているのではないか……?
iPhoneはなぜヒットしたのでしょう? 高い理想を掲げるアップルという「意識の高い」企業が発売した製品が、大ヒットした秘密とは。作業着で知られたワークマンが現在、シェアを大きく伸ばしている理由とは。モノを売る身なら誰しも覚えのあるヒット/憤死の境界線。なぜあれは売れて、これはダメなのか? そのもやもやが見事に解消される一冊となりました。
2019/01/25
著者プロフィール
小口覺
オグチ・サトル
1969(昭和44)年兵庫県生まれ。明治大学法学部卒業。ライター、コラムニスト。ITや家電を中心にモノとビジネスのあり方をウォッチし続け、『DIME』『日経トレンディネット』等の雑誌やWebメディアなどで活躍する。「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」の名付け親。