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話の通じる人が少なくなってきた。「前略おふくろ様」「北の国から」最新作「やすらぎの刻〜道」――すべてを語り尽くす。

ドラマへの遺言

倉本聰/著 、碓井広義/著

902円(税込)

本の仕様

発売日:2019/02/15

読み仮名 ドラマヘノユイゴン
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 270ページ
ISBN 978-4-10-610802-0
C-CODE 0274
整理番号 802
ジャンル 芸能・エンターテインメント
定価 902円
電子書籍 価格 902円
電子書籍 配信開始日 2019/02/22

「やすらぎの郷」、「北の国から」、「前略おふくろ様」……テレビドラマ界に数々の金字塔を打ち立てた巨人、脚本家・倉本聰が83歳で書き上げた最新作「やすらぎの刻〜道」まですべてを語り尽くす。大河ドラマ降板の真相は? あの大物俳優たちとの関係は? テレビ局内の生々しいエピソード、骨太なドラマ論、人生観――愛弟子だからこそ聞き出せた破天荒な15の「遺言」。

著者プロフィール

倉本聰 クラモト・ソウ

1935(昭和10)年東京都生まれ。麻布高校卒、東京大学文学部美学科卒。脚本家。劇作家。富良野市在住。主な作品に「前略おふくろ様」、「北の国から」シリーズ、「やすらぎの郷」など。

碓井広義 ウスイ・ヒロヨシ

1955(昭和30)年長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。慶大法学部卒。1981年テレビマンユニオンに参加。代表作に「人間ドキュメント・夏目雅子物語」。著書多数。

目次

まえがきに代えて 倉本聰
はじめに 碓井広義
第1章 常に怒りのパッションを持っていないと
第2章 原点から学ぶってことが必要
第3章 10年ぐらいの修業を経ないと絶対続かない
第4章 歴史というのは地続きだ
第5章 利害関係のあるやつばっかりと付き合うな
第6章 頭の上がらない存在はいた方がいい
第7章 都会で競ってる知識なんてなんの役にも立たない
第8章 「棄民の時代」から目を背けない
第9章 何かを創造するというのは命懸け
第10章 夢の鍵を忘れるな
第11章 店に入ったら壁を背にして座る
第12章 あえて重いテーマをずばりと掘り下げる
第13章 美は利害関係があってはならない
第14章 “これが最後”という覚悟がいい仕事を生む
第15章 神さまが書かせてくれている間は書き続ける
おわりに 碓井広義
倉本聰 主要作品略年表

インタビュー/対談/エッセイ

巨匠の「ドラマ渡世」をぜんぶ聞く

碓井広義

 脚本家・倉本聰は言わずと知れたドラマ界の巨匠である。80歳を越えてから書いた、久々の連ドラ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)が話題を呼んだことは記憶に新しいが、「北の国から」(フジテレビ系)や「前略おふくろ様」(日本テレビ系)といった、後々まで語られる作品を数多く手がけてきた。
 しかも、「北の国から」シリーズでは約20年間も視聴者と時代を共有し、「やすらぎの郷」では平日の昼間に「帯ドラマ劇場」という新たな価値を創出するなど、常にドラマの常識を覆してきた。
 その一方で、自身の信念に従って大河ドラマでさえも降板し、キャスティングにも積極的に関わっていく。また役者が読む台本の一字一句にもこだわるという“伝説”を持つ。歯に衣着せず物を言い、テレビ局上層部にも遠慮はしない頑固者だ。こんな脚本家、他にはいない。
 そんな倉本聰を、私は“師匠”と仰いでいる。普段は“倉本先生”と呼んでいるが、ここはぐっとこらえて敬称は略す。
 私は現在、大学の教壇に立っているが、元々は20年にわたってテレビ界にいた。テレビマンユニオンでプロデューサー修業をしていた36年前、スペシャルドラマ「波の盆」(日本テレビ系)の制作現場で倉本聰に出会った。主演は笠智衆、監督が実相寺昭雄。明治期にハワイへと渡った、日系移民一世の波乱の人生を描いたこの作品は、1983年の芸術祭大賞を受賞した。
 鮮やかな作劇術と心に沁みるセリフの数々。何より、若僧である私にも理想とするドラマ像を伝授しようとする熱意やその人柄に惚れ込んだ。
『ドラマへの遺言』は、さまざまな風評に彩られた師匠に、不肖の弟子が過去と現在の一切合切について聞き取りを行った一冊である。テーマは“遺言”。倉本が80代にさしかかった頃から、師匠の無尽蔵の創造力に感嘆する一方で、突然目の前からいなくなってしまうことへの脅えを感じるようになった。そこで師匠に、仕事と人生のあらいざらいを活字として公開することを提案したのだ。
 富良野や東京でのロングインタビューは9回、のべ30時間に及んだ。84年前の東京に生まれた山谷やまやかおるはいかにして脚本家・倉本聰になったのかに始まり、デビュー作から最新作「やすらぎの刻~道」まで、「創作の秘密」60年分をぜんぶ聞いている。企画の発想。人物像の造形。物語の構築。さらに大物俳優や女優たちとの知られざる交遊も。倉本は何度も「ここだけの話だけどね」と声を潜めたが、もちろん丸ごと書かせてもらった。
 本書は脚本家としての「総括」というだけでなく、同時代を一緒に歩んだ人々、そして次代を生きる人たちに送る、人間・倉本聰からの「ラストメッセージ」でもある。一人でも多くの皆さんの心に届くことを祈るばかりだ。

(うすい・ひろよし 上智大学教授)
波 2019年3月号より

担当編集者のひとこと

“師匠”と“弟子”

『ドラマへの遺言』という本は、脚本家・倉本聰さんと上智大学教授・碓井広義さんの共著です。いったいどういう組み合わせ……? と思う方も多いと思うのですが、実は碓井さん、以前はテレビ番組制作会社のテレビマンユニオンに所属、幾多の番組制作に携わったテレビマン。「波の盆」(1986年、日本テレビ)というハワイで撮影されたドラマで倉本さんの謦咳に接し、以来36年間、“師匠”と仰いで来たのでした。
“師匠”を知り尽くした“弟子”だからこそ、“弟子”を信頼する“師匠”だからこそ、交わされた会話が本書の大本になっています。その、時に親しげな、時に真剣極まりないやりとりは、読んでいる者にも作用します。これは、この師弟関係があってこそ初めて語られた真実なのだ、と驚かされたり、あるいは、思いがけない本音の表出に胸打たれたり……。本書は脚本家・倉本聰のドラマ人生を辿ると同時に、“師匠”と“弟子”という特別な関係に思いを馳せる一冊ともなっています。

2019/02/25

蘊蓄倉庫

倉本聰の圧倒的な筆力

 2017年に話題になったドラマと言えば「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)です。芸能界の住人だけが入れる老人ホーム〈やすらぎの郷〉で繰り広げられるシニアたちの人間模様の奥深さにハマる視聴者が続出、社会現象ともなったドラマでしたが、その放送形態も異色でした。NHKの朝の連ドラを別にすれば、平日に毎日放送するドラマというのは異例中の異例。1回20分、約半年間で全129話というボリュームを、齢80を越えた脚本家・倉本聰が書き上げたわけです。
 それだけでも驚嘆すべきことですが、4月からは「やすらぎの郷」の続編、「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)が放送されます。今度は1年間、全235話という前回のほぼ倍のスケール……気が遠くなるような分量の原稿を倉本聰が83歳で書き上げたと聞くと、その筆力にはただただ圧倒されるばかりです。

掲載:2019年2月25日

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