新宿二丁目
902円(税込)
発売日:2019/06/17
- 新書
- 電子書籍あり
LGBTの聖地は、いつ、なぜ、どのようにして、生まれたのか。決定的かつ魅惑の街場論。
東西約三百m、南北約三百五十mの区画の中に、三百をはるかに越えるゲイバーと、女装系、レズビアン系バーがひしめきあう新宿二丁目。「二丁目」として海外でも有名な、世界最大の多様性を抱えるこの街は、一体なぜ、どのようにして、いつ頃からそうなったのか。自身、そこでゲイバーを経営する著者が、関係者への丹念な取材を積み重ね、知られざる歴史を浮かび上がらせる。決定的街場論。
書誌情報
読み仮名 | シンジュクニチョウメ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 272ページ |
ISBN | 978-4-10-610818-1 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 818 |
ジャンル | 歴史・地理 |
定価 | 902円 |
電子書籍 価格 | 902円 |
電子書籍 配信開始日 | 2019/06/21 |
蘊蓄倉庫
夏目漱石の女装癖
現在、新宿区にある夏目坂は、夏目漱石が生まれた地であり、幼い漱石は新宿二丁目の寺の境内で遊んでいたそうだ。その文豪・漱石は『こころ』の中で、主人公の「私」(男)が、「先生」(男)への好意を持つのは「恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、まず同性の私の所へ動いてきたのです」と先生に言わしめている。その後、先生は「私は男としてどうしてもあなたに満足を与えられない人間なのです。それから、ある特別の事情があって、猶更あなたに満足を与えられないでいるのです」とも語っている。夏目漱石の妻、鏡子夫人の回想録には、漱石が女装を楽しんでいたとあるそうだ。果たして現在、文豪が生きていれば、新宿二丁目をどう見ただろうか。
掲載:2019年6月25日
担当編集者のひとこと
世界に一つだけの街が生まれるまで
新宿二丁目にあるお寺の盆踊りでは、毎年、地元の老人会のお年寄りや、会社帰りのサラリーマン、ゲイカップル、浴衣姿のご婦人に女装客、外国人観光客、子供らが、ごく自然に同じ空間で楽しむ姿が見られる。スマホアプリが発達した現在、出会いの場としての「二丁目」の役割は薄れつつあるが、世界最大のLGBTの聖地であることに変わりはない。その街に行けば誰もが、存在を否定されたり、排除されたりすることなく、かといってチヤホヤされることも、特別視されることもなく、ただそこにいて楽しむことができる。そんな街があること自体、一つの奇跡なのかもしれない。そんな奇跡がなぜおこったのか。本書は膨大な取材や資料に基づいて、古くからのこの街の有り様を丹念に追っていく。
2019/06/25
著者プロフィール
伏見憲明
フシミ・ノリアキ
1963(昭和38)年、東京都生まれ。作家。慶應義塾大学法学部卒業。『プライベート・ゲイ・ライフ』『魔女の息子』(第四〇回文藝賞受賞)等、著書多数。『クィア・ジャパン』編集長も務める。2013年より、新宿二丁目にて「A Day In The Life」を経営。