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戦場で、紛争地で、食べたのは「国家」と「文明」だった。伝説のジャーナリストによる極限のノンフィクション。

国家を食べる

松本仁一/著

842円(税込)

本の仕様

発売日:2019/07/13

読み仮名 コッカヲタベル
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 考える人から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 238ページ
ISBN 978-4-10-610823-5
C-CODE 0226
整理番号 823
ジャンル ノンフィクション
定価 842円
電子書籍 価格 842円
電子書籍 配信開始日 2019/07/26

【メニュー】――イラク戦争の取材中に食べた世界一うまい羊肉。チグリス川の鯉の塩焼き。パパイヤだけだった内戦下ソマリアの昼食。カラシニコフ銃の開発者の冷凍ピロシキ――中東・アフリカの戦場や紛争地帯、アフガニスタン、チェルノブイリなど、世界中を駆け巡ったジャーナリストが口にした食の数々は、はからずも「国家」の本質を示していた。実践的文明論の最高峰。

著者プロフィール

松本仁一 マツモト・ジンイチ

1942(昭和17)年、長野県生まれ。東京大学法学部卒業。1968年朝日新聞入社。中東アフリカ総局長、編集委員等歴任。1994年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2007年退社。『アフリカを食べる』『カラシニコフ』『テロリストの軌跡』『兵隊先生』等、著書多数。

目次

一 世界一うまい羊肉――イラク
固くてまずい牛肉、アクが強いラクダ肉/逃げてしまった入管職員/戦時下でも営業中/ボルト引く音に「撃つな!」/ふたが開いたパンドラの箱
二 チグリス川の鯉――イラク
塩味だけのあぶり焼き/便器まで外して持ち去る/エレベーターの△▽ボタンも/窓の下、弾丸飛び交う/開いていた鯉屋/登校途中の女児が誘拐される/独裁の方がまし、と国連事務総長
三 羊ひっくり返しご飯――パレスチナ
羊肉、タマネギ、ナス、トマト、ナツメグ/大鍋いっぱいの炊き込みご飯/4回のバス自爆テロ/21世紀につくられた壁
四 カラシニコフ氏の冷凍ピロシキ――ロシア
シカの骨のコンソメスープ/麦刈りの傷/焼きリンゴ入りのピロシキ/過剰生産された完璧な銃
五 昼食はパパイヤだけです――ソマリア
門外で車を降りたら即死/フィクサー頼み/学校に行ったことがない
六 エクソダスと血詰めソーセージ――南アフリカ・オーストラリア
肉そのものの粗挽き/ケープタウンにそっくりの気候/ビールとブルボス/南アフリカの中華焼きそば
七 ブドウの葉ご飯と王様――ヨルダン
ヨルダンでギリシャ料理/国王から「サー」/「国王は死んだ!」/国王の好物だったドルマ/国民の6割が外国人/国などなかった
八 モロヘイヤ・スープはウサギに限る――エジプト
ナイルのたまもの/他人が勝手に起こした離婚要求訴訟/「背教者」のレッテルは死刑宣告/殺された作家/オランダにはモロヘイヤがない
九 スパゲッティマカロニ豆ライス!――エジプト
炭水化物、炭水化物、炭水化物……/警官が違法駐車の管理/政府よりもムスリム同胞団/無料診療所/ムバラク元大統領がため込んだ5兆8000億円
十 インジェラは辛くてつらい――エチオピア
「雑巾色の薄焼きパン」はうまかった/マリア・テレジア銀貨/首都には十分な食糧があった/窓ガラスにしがみついた子どもたち
十一 砂漠の中のクスクス――西サハラ
肉煮込み汁かけご飯/熱々のアラブ風紅茶/砂の下の化石水/変わらない遊牧の習慣/野菜を育てるモロッコ軍捕虜
十二 ベラルーシのリンゴ――ゴメリ市
廃棄村に実る赤い果実/首に残る傷跡/増え続けた患者/虫がつかない/健常新生児は15〜20%
十三 断崖絶壁バーミヤンのナン――アフガニスタン
羊のあばら肉煮込み汁/破壊されたバーミヤンの石仏/丸パンは中東、縦長ナンはアジア/パトカーなんて来ない/谷ひとつ隣はよそ者/パンジシールの獅子/国家に必要なもの
十四 何がなくても覚醒葉っぱ――イエメン
イエメンの合法覚醒剤/元首から元首へ賄賂?/朝採れの新鮮な若葉/噛んでも噛んでも/映画館に武器預り所/誘拐する相談
十五 最高のフーフー――ガーナ
キャッサバ粉や野菜バナナ/もんどり打った車/補修されない道路/180センチを超す大男/3LDKに住む国家元首/熱くて辛いから「フーフー」
あとがき

担当編集者のひとこと

「国家」とは何だろう

 朝日新聞に「松本仁一」記者の署名記事がないか、毎朝探していたのは、松本さんが中東・アフリカ総局長だった当時のこと。後にまとめられた『アフリカを食べる』『カラシニコフ』といった著書を読み、この人の書いたものをもっと読みたい!と、純粋に一読者として思いました。そして松本さんのどの原稿からも通奏低音として響いてきたのは、「『国家』とは何だろう」という問いでした。
 アフリカで、中東で、松本さんが何を食べて、何を見てきたのか。そしてそれは今、どんな意味を持つのか。
 異邦人のジャーナリストであるはずの松本さんの視線は、しかし現地の人以上にその国を、時として国家の体をなさないその形を、的確に捉えています。どの章を読んでも「『国家』とは何だろう」という問いは、「人間とは何か」に他ならない、そう思えてなりません。

2019/07/25

蘊蓄倉庫

昼食はパパイヤだけです

 1991年に政府が倒れ、無政府状態が続くソマリア。2003年に現地の首都・モガディシオに入った著者が泊まったホテルは高い塀と有刺鉄線に囲まれ、鉄の門扉、玄関先には機関銃、自動小銃を持ったガードマンが5、6人いたという。部屋には「ガードマンの付き添いなしで門の外に出ないでください」という張り紙があり、実際に門の外で車を降りた英BBC放送の女性記者は、背後から撃たれ即死した。
 街にはレストランなどあろうはずもなく、著者は三食とも、その牢獄のようなホテルで食べるはめになる。食料も途絶えがちで、ある時から昼食はパパイヤだけになった。
 だが、かつてモガディシオは美しい街で、イタリア風の白壁、赤屋根の建物が並び、海を見下ろす高台には吹き抜けのホールを持つホテルもあったという。2003年に著者がそのあたりを訪れた際、ホテルは柱を残すのみで、仕切っていた親切な女主人の姿もなく、街は廃墟と化していた。
 政府がないから、警察も学校もない。現在まで続く無政府状態の結果、ソマリアでは34歳以下の人たちは、誰一人として学校に行ったことがない。

掲載:2019年7月25日

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