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習近平vs.中国人

宮崎紀秀/著

880円(税込)

発売日:2020/03/14

書誌情報

読み仮名 シュウキンペイヴァーサスチュウゴクジン
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 250ページ
ISBN 978-4-10-610852-5
C-CODE 0236
整理番号 852
ジャンル 政治・社会
定価 880円

新型ウイルスは「アリの一穴」。問われるのは共産党統治の正当性だ!

「エロ腐敗官僚」を告発するネットメディア代表、共産党に属さずに選挙に出る独立候補、天安門事件の記憶をつなぐ元学生闘士、ネット生中継が人気で女優になったトリマー、反日でも「蒼井そら」に熱狂する若者……。一党独裁が強化されている中国でも、「個人」を貫く人たちはたくさんいる。その存在は共産党体制への「アリの一穴」となるのか。中国社会「剥き出しの現実」を、在北京のジャーナリストが描き出す。

目次
まえがき
第一章 腐敗官僚と暴露愛人
1 中国全土に名を知られた「エロ腐敗官僚」
2 習近平の危機感
3 地方役人の横暴
4 「おから工事」で拡大した震災被害
第二章 無罪でも死刑にされる国
1 冤罪で死刑にされた18歳
2 人命はメンツよりも軽い
3 世界一の死刑大国
4 「車椅子の自爆犯」が訴えようとしたこと
第三章 平凡な日常も命がけ
1 子供が消える――横行する誘拐ビジネス
2 水汚染で誕生した「ガン村」
3 「歯抜け村」とレアアース
4 死豚が食卓に
第四章 色と金と憎しみと
1 服を脱ぐとこ見てみたい?――新産業が築いた「ホルモン経済」
2 庶民の金が「鬼城」に消えた
3 反日デモを計画した男の言い分
4 反日でも「蒼井そら」は大人気
第五章 それでも「六・四」の火は消えず
1 消せない天安門事件の記憶
2 共産党一党支配に挑んだ独立候補
3 ネット上の文化大革命――転載500回で少年も犯罪者に
4 花夫人と唐辛子
第六章 ある日、夫が消えた
1 夫の安否を求め続ける妻
2 「709弁護士一斉拘束」とは
3 家族まで標的に
4 有罪判決、そして面会
あとがき

薀蓄倉庫

「お茶を飲む」という風習

 中国で取材活動をしている人は、中国人外国人問わず、ちょくちょく警察に捕まるのが当たり前。国や地方政府は、自分たちに都合の悪い話を報道させないために、露骨に権力を行使します。取材現場に行かせないのが主目的ですから、通常は数時間の事情聴取の後で、無罪放免となります。
 実は、こうした「プチ拘束」の前段階として、「お茶を飲む」という風習もあります。これは、当局がメディアの関係者を呼び出して、おしゃべりに付き合わせることを言います。要するに、「オマエのやっていることを俺たちは見ているぞ」と、記者たちに明確な圧力をかけているわけです。
 一党独裁の国での報道は、こうした危うい綱渡りの上に成り立っているのです。

掲載:2020年3月25日

担当編集者のひとこと

日本人でよかった。

 中国は共産党による一党独裁の国ですが、トップの資質によって社会の色合いは大きく変わります。80年代に総書記だった胡耀邦は自由化に舵を切りましたが、天安門事件を経た後の江沢民時代には統制が強まり「反日愛国」路線が定着しました。次の胡錦濤は個性が薄かったですが、習近平政権になって個人崇拝と権力集中が顕著になりました。言論統制は格段に厳しくなり、共産党の影響力は社会の末端にまで及んでいます。

 しかし、そのような社会の中でも、「個人」を貫こうとしている中国人は少なくありません。共産党の支援を受けない形で選挙に出る「独立候補」、「エロ腐敗官僚」の告発を続けるネットメディアの代表、権力の横暴に「自爆」で抗議する犯罪被害者、反日世論に抗して日本のAV女優「蒼井そら」を応援する若者たち……。本書には、硬軟さまざまな「個人」が登場しますが、必死に生きている彼らの姿の一つ一つが、「上に政策あれば下に対策あり」の国の様子を何よりも雄弁に物語っています。

 本書を編集していると、月並みですが、「いや〜、日本人に生まれて本当に良かった」と思わざるを得ませんでした。なにしろ、中国では日常生活だって命がけ、板の下には危険がいっぱいであることが、いやでも分かってしまう。
 一人っ子政策と男子偏重の風潮ゆえに横行する誘拐ビジネス。一審でいきなり死刑にされて、あとで冤罪と分かった無実の若者たち。地方政府の横暴から庶民を守ろうとした弁護士は一斉逮捕。もちろんネットも見張られていて、どこまで許されるかは当局のさじ加減次第。四川大地震では、鉄骨スカスカの「おから工事」が理由で倒壊した建物が多数あった、とも。

2020/03/25

著者プロフィール

宮崎紀秀

ミヤザキ・ノリヒデ

1970(昭和45)年東京都生まれ。一橋大学社会学部を卒業後、日本テレビに入社。報道局記者を経て、2004年から2009年までNNN中国総局に勤務(2007年より中国総局長)。2010年に日本テレビを退社。2013年よりNNN中国総局特約記者。著書に『習近平vs.中国人』。

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