自衛隊は市街戦を戦えるか
880円(税込)
発売日:2020/08/19
- 新書
- 電子書籍あり
戦車だけじゃ日本は守れない。「新しい戦争」に対応せよ――元陸上自衛隊幹部からの渾身の提言!
陸上自衛隊といえば総合火力演習。榴弾(りゅうだん)砲に迫撃砲、戦車がハデに撃ちまくる――だが、それで日本を守れるのか。サイバー戦に情報戦が加わった「新しい戦争」の時代、主戦場となるのは市街地ではないのか。「時代錯誤の突撃訓練」「独自の文化・銃剣道」「銃の取り扱い方も知らない隊員たち」……陸上自衛隊で作戦・教育訓練にたずさわり、「最強の部隊」を追求した元幹部が初めて明かす組織の内情と未来への提言。
書誌情報
読み仮名 | ジエイタイハシガイセンヲタタカエルカ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610870-9 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 870 |
ジャンル | 軍事 |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2020/08/19 |
薀蓄倉庫
末は博士か陸幕長か
明治・大正の頃のこと、将来有望な若者は「末は博士か大将か」と持て囃されました。「末は博士か大臣か」という言い方もありますが、これはどうも戦後になってからのことだそう。それはさておき、では戦前の「大将」に相当する階級は、陸上自衛隊ではなんと言うのか? これは「陸上幕僚長」です。一番偉そう(?)な「陸将」が中将、それに次ぐ「陸将補」は少将なのです(自衛隊内では常識でしょうが)。
大佐・中佐・少佐が「1等・2等・3等陸佐」であることや、尉官が「陸尉」であることはイメージがつきますし、1等兵、2等兵にあたるのが「1等陸士」「2等陸士」であるのもなんとなく知っています。では、軍曹は御存知でしょうか? これは陸上自衛隊では「2等陸曹(2曹)」となります。曹長が「1等陸曹」、伍長が「3等陸曹」なのだそう。
ということは陸上自衛隊では「鬼軍曹」は「鬼2等陸曹」になるのか……?
答は本書でご確認ください。
掲載:2020年8月25日
担当編集者のひとこと
あの国が攻めてきたら、どこで戦うのか?
最初に本書のテーマを聞いたとき、虚を突かれたような気分になったことが忘れられません。私は陸上自衛隊と聞けばパッと映画「戦国自衛隊」が思い浮かんでしまうような世代。車輌こそ最新鋭の10式(ヒトマルしき)戦車に脳内で置換するにせよ、陸上自衛隊と言えば火力主体の地上戦、砲弾飛び交う北の大地を想像してしまいます。あるいは毎年行われ、ニュース映像で見る富士総合火力演習の光景がなじみ深いものです。
ところが、現代の戦争はすでに、本書でも扱われているウクライナ紛争のように、「ハイブリッド型」に進化しています。電子戦でレーダーを不能にしたり、情報戦でフェイク情報を市民に流すことで混乱を引き起こしたり、テレビ局や発電所などのインフラ設備を占拠したり。
では実際の自衛隊は、どんな状況に備え、どんな訓練を行っているのか。どんな装備を持ち、果たしてそれは「現代の」戦場で有効なのか。
本書の著者、二見龍氏は自衛隊内での教育・訓練に長年携わり、北九州・小倉の部隊を「最強」へと導くべく努めた元自衛隊幹部。本書を読めば、いかに現代の戦争が進化しているか驚かされるとともに、自衛隊の現在が果たしてこのままでよいのか、考えさせられるはずです。
2020/08/25
著者プロフィール
二見龍
フタミ・リュウ
1957(昭和32)年東京都生まれ。防衛大学校卒。陸上自衛隊で東部方面混成団長などを歴任、陸将補で退官。防災官を経て、一般企業で危機管理を行う傍ら執筆活動を続ける。著書に『自衛隊最強の部隊へ』『弾丸が変える現代の戦い方』など。