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インサイドレポート 中国コロナの真相

宮崎紀秀/著

858円(税込)

発売日:2020/09/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

本当のことは言わせない――。北京在住のジャーナリストによる戦慄の報告。

二〇一九年末、武漢ではすでに奇妙な肺炎の存在が確認されていた。しかし、警鐘を鳴らした医師たち、現場で真相をルポしたジャーナリストたちは、共産党によって沈黙させられる。危機感皆無だった習近平指導部の初期対応で、新型コロナウイルスは全世界にばらまかれることに――。猛烈な危機の拡大とその封じ込めの過程で、共産党中国は何を隠し、何を犠牲にしたのか。北京在住の記者による戦慄のレポート。

目次
まえがき
第1章 初動の遅れを生んだ「習近平独裁」
1 共産党を呪縛した2つの初期判断
2 コロナ禍の武漢に集い、散っていった700人
3 武漢、封鎖直前でも危機感ナシ
4 習近平のウソ
第2章 体制の犠牲となった医師たち
1 殉職した医師を死後に抱き込む共産党
2 ネットに流出した医療崩壊の惨状
3 現場で命尽きた院長と、看護師だった妻の葛藤
4 犠牲となった医師の数、いまだに分からず
第3章 本当のことを言うと叩かれる
1 次々と拘束された市民ジャーナリスト
2 封鎖された武漢の日常を発信し続けた著名作家
3 官僚体質への反感
4 国際的に評価されて貼られた「売国奴」のレッテル
第4章 武漢の日本人を救出せよ
1 前代未聞のミッション
2 見切り発車で現地へ
3 遂に飛ぶ
4 千疋屋のフルーツサンド
第5章 人権無視国家ゆえの「効果的対策」
1 「野生動物業界」がまるごと消される
2 一度決めると対応は早い
3 挙国一致でマスク増産
4 次々と「見せしめ」にされる違反者たち
5 IT大手も「協力」
6 海外在住の同胞を見捨てた棄民政策
第6章 コロナ禍の首都
1 ゴーストタウンと化した北京
2 プライバシーにも及ぶ統制
3 コンビニに行くのにも「出入証」
4 隔離政策を日本人はどう耐えたか
第7章 こんな時でも米中対立
1 WHOを使って国際世論対策?
2 非難の応酬は記者追放合戦に発展
3 中国ウイルスvs.戦狼外交
4 ウイルス研究所から流出した生物兵器?
第8章 アリの一穴
1 天安門事件以来の社会不安
2 ヒト・ヒト感染を巡る科学者たちの詭弁
3 「世界の迷惑王」から「救世主」への転身を試みるも
4 当局を訴える市民
あとがき

書誌情報

読み仮名 インサイドレポートチュウゴクコロナノシンソウ 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610877-8
C-CODE 0231
整理番号 877
ジャンル 政治・社会
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2020/09/17

薀蓄倉庫

「野生動物業界」を丸ごと取り潰し

 新型コロナウイルスの発生源と目されたのは野生動物ですが、実はこの野生動物、中国では食用目的で養殖されているものもけっこうあります。しかも、これが産業としてバカにならない規模。2016年のデータですが、野生動物の養殖のうち、食用動物産業だけで従事者626万人以上、経済規模1250億元(約1兆8750億円)にもなります。この「野生食用動物産業」は、コロナによって丸ごと取り潰しになりました。これも一党独裁の中国だからこそできる「効果的対策」と言えるのかも知れませんが……。

掲載:2020年9月25日

担当編集者のひとこと

新型コロナを全世界にばらまいた中国共産党

 2019年末、武漢ではすでに奇妙な肺炎の存在が確認されていました。しかし、その事実に警鐘を鳴らした医師は、共産党によって「社会の秩序を攪乱する行為をおこなった」として警告を与えられ、後に死亡します。時は折しも大晦日から春節(旧暦の新年。今年は1月25日)へと向かう時期。浮かれ気分だった習近平指導部はそれから三週間、一切の対策を取りませんでした。これによって、新型コロナウイルスは全世界にばらまかれることになったのです。

 事の重大さに気づいてから、習近平指導部は「俺たちは最初からしっかり対策をとってたぜ!」と信じ込ませるべく、事実の塗り替えに走ります。習近平が新型コロナに対する初めての「重要指示」を出したのは1月20日ですが、共産党はほとぼりが冷めてから「実は1月6日にはすでにコロナ対策を論じていた」とのウソを広めています。
 ところが、「重要指示」が出された1月20日、習近平は北京にいませんでした。17日からミャンマーを訪問し、その後19日には雲南省に入って、少数民族に「熱烈歓迎」されていたからです。
 また、コロナ禍に見舞われた武漢に入り「真相」を伝えようとしたジャーナリストたちは、次々と拘束され、沈黙させられました。このコロナ禍の全世界的拡大は明らかに共産党体制に責任がありますが、彼らは事実を書き換える(あるいは知らしめない)ことで歴史の改竄を図ろうとしています。

 すでに十年以上の歳月を中国で暮らし、いまも北京を拠点に取材を続ける著者は、中国の「やり口」をこれまで何度も見てきました。コロナ禍はまだ続いていますが、真相がウソで塗り固められてしまう前に事の経過を記録しておかねばならないとの思いから、急遽筆をとりました。現代中国には虚偽と隠蔽は付きものですが、一方で「人権無視国家ゆえに効果的対策が打てる」という側面もあります。そうした部分の報告も含め、コロナ「震源地」の貴重なドキュメントになっているのが本書です。ぜひご一読頂ければ幸いです。

2020/09/25

著者プロフィール

宮崎紀秀

ミヤザキ・ノリヒデ

1970(昭和45)年東京都生まれ。一橋大学社会学部を卒業後、日本テレビに入社。報道局記者を経て、2004年から2009年までNNN中国総局に勤務(2007年より中国総局長)。2010年に日本テレビを退社。2013年よりNNN中国総局特約記者。著書に『習近平vs.中国人』。

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