ホーム > 書籍詳細:ブラック霞が関

ブラック霞が関

千正康裕/著

858円(税込)

発売日:2020/11/18

書誌情報

読み仮名 ブラックカスミガセキ 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 239ページ
ISBN 978-4-10-610885-3
C-CODE 0231
整理番号 885
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2020/11/18

[07:00 仕事開始][27:20 退庁]「このままでは国民のために働けない」――元厚労省キャリア、渾身の提言。

朝七時、仕事開始。二七時二〇分、退庁。ブラック労働は今や霞が関の標準だ。相次ぐ休職や退職、採用難が官僚たちをさらに追いつめる。国会対応のための不毛な残業、乱立する会議、煩雑な手続き、旧態依然の「紙文化」……この負のスパイラルを止めなければ、最終的に被害を受けるのは国家、国民だ。官僚が本当に能力を発揮できるようにするにはどうすればいいのか。元厚生労働省キャリアが具体策を提言する。

目次
まえがき
第1章 ブラック企業も真っ青な霞が関の実態
〜政策の現場で何が起こっているのか〜
20年前の若手官僚の働き方/1年生は「窓口」に/「余裕」が生み出すコミュニケーション/今の若手官僚の働き方/管理職も幹部も異様な忙しさ/残業代は最低賃金を下回る/なくならないパワハラ/誰もが経験するカスハラ/形ばかりの女性活躍/女性のロールモデルがない/組織にも政策にもマイナス/定年延長が霞が関崩壊の引き金を引く/国会質問の意味/前日夜の質問通告が国会待機と深夜残業の元凶/激増する質問主意書/野党合同ヒアリングで答えられない官僚/目玉政策の後に残る作業/大量のコピー作業と配達に追われる若手
第2章 石を投げれば長期休職者に当たる
〜壊れていく官僚たちと離職の背景〜
誰もが長期休職のリスクを抱える/僕が休職したワケ/「タコ部屋」での生活に突入/ついに限界が来て胃潰瘍に/家族の犠牲と家庭崩壊/切迫早産や流産も/若手が求めているフィードバック/自分の仕事の意味が見えない/世の中は変わっているのに/離職した若手の思い/採用難に直面する霞が関/民間人と自治体職員にもしわ寄せが
第3章 そもそも官僚はなぜ必要なのか
〜民間と大きく違う公務の本質〜
「政策をつくる」という仕事/複雑な調整過程の意味/よい政策をつくるための3つのプロセス/中間組織の弱体化/官邸主導の内実/「これじゃない」政策ができるワケ/民間と公務の本質的な違い/官僚はいつの時代にも必要/霞が関の働き方改革は国民のためのもの/雇用主としての視点を/今一番力があるのは間違いなく国民
第4章 政策は現場から生まれる
〜政策と人の生活の間〜
初めての法律改正/年金は一番安心できる制度/「未納三兄弟」と「グリーンピア」/法律の先に何があるのか/霞が関の外で国の未来を考える/法律改正の残念な結末/役所の広報が弱い理由/児童虐待が教えてくれたこと/ベーシック・タイズ/NPOが教えてくれた仕事の意味/現場が官僚を育てる/山中教授のノーベル賞受賞/最後の法律改正に挑む/母親のがん/いい法律を作れば研究が進む/インドに行ってこい/ミッションの見えない仕事/欧米企業との扱いに差/霞が関より自由な空気/現場を歩いて見つけた政策のタネが芽吹く時/若い女性の問題に注目が/現場のニーズを先取りする
第5章 「できる上司」と「偉い人」が悩みのタネ
〜霞が関の働き方改革の壁〜
スーパーサイヤ人ばかりが引っ張る組織/頻発する不祥事/負のスパイラル/実務を考えない政策決定/やることばかり決定される/事業仕分けのカラクリ/霞が関も年功序列/小泉進次郎議員の評判/国会には逆らえない/重鎮議員の理解がカギ/公務員の美学と沈黙/清潔さを求めすぎると/倒産しないことの難しさ
第6章 本当に官僚を国民のために働かせる方法
〜霞が関への10の提言〜
政府の改革/1.ペーパーレス化の推進/2.テレビ会議の活用/3.チャットなどビジネスツールの活用/4.テレワークの推進/5.煩雑な手続の簡素化/6.作業の外注/7.国家公務員の兼業推進/8.民間とのパートナーシップ/9.官僚自身の意識改革/10.霞が関全体の人員配置の適正化と柔軟化
第7章 本当に国会を国民のために動かす方法
〜永田町への10の提言〜
国会の改革/1.委員会日程の決定と質問通告時刻の早期化・見える化/2.質問主意書のルール見直し/3.公務と関係ない発注の禁止/4.議員立法は執行体制もセットで/5.議論の場の効率的な設定/6.国会、政党の会議や議員レクの対応者の柔軟な設定/7.コミュニケーションのオンライン化/8.国会の入館証の大幅な増加/9.国会議員の研修/10.国会議員と官僚の交流
あとがき

薀蓄倉庫

10人に4人が過労死ライン

「ブラック企業」が流行語大賞で取り上げられたのは2013年のこと。その後、政府の指導や企業の努力によって、民間企業のブラックな状況は好転してきたように見えます。しかし民間企業を指導してきたはずの霞が関では、逆にブラック労働が深刻化していました。「官僚の働き方改革を求める国民の会」が2019年に現役官僚と退官者1000人を対象に取ったアンケートによると、労働基準法の年間超過勤務上限である760時間を超える人が65.5%、過労死ライン(960時間)を上回る1000時間超えが42.3%、さらに1500時間を超える人も14.8%いたと言います。どうしてこんな状況になってしまったのでしょうか。本書では、背景にある政治状況の変化や公務員特有の原因などについて読み解き、その解決策を探ります。

掲載:2020年11月25日

著者プロフィール

千正康裕

センショウ・ヤスヒロ

1975(昭和50)年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。2001年厚生労働省入省。社会保障・労働分野で八本の法律改正に携わり、インド大使館勤務や秘書官も経験。2019年9月退官。株式会社千正組を設立し、コンサルティングを行うほか、政府会議委員も務める。

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

千正康裕
登録

書籍の分類