
マスクをするサル
792円(税込)
発売日:2021/04/19
- 新書
- 電子書籍あり
パンツ以来の歴史的変化。認知、コミュニケーション、性意識……霊長類学者による画期的社会論!
マスク着用の標準化(デファクト)は、すでに受け入れざるを得ない社会の現実だ。しかし、誰もが顔の半分以上を蔽い隠すという習慣は、動物間の認知とコミュニケーション、さらにはヒトの性にかかわる意識をも、大きく変えてしまうかもしれない。コロナ禍の象徴・マスクは人類史上、パンツにも匹敵する行動変容をもたらすのか。霊長類学と人類学、社会学や文学など多様な視点から考える、ポスト・コロナ文化論の試み。
書誌情報
読み仮名 | マスクヲスルサル |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610904-1 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 904 |
ジャンル | 政治・社会 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 792円 |
電子書籍 配信開始日 | 2021/04/19 |
担当編集者のひとこと
目は口ほどにものを言わない? マスクのデファクト化への困惑と展望と
マスク着用が標準と化した生活も、はや1年半になろうかとしています。この間、初めて会う人の数は激減、よしんば出会って名刺を交換して少々話をしたとしても、しばらく日がたつと、その面差しはほとんど思い出せないのだから困ったものです。
目は口ほどにものを言う、とはいいますが、長年、霊長類学(俗称サル学)を専門としてきた著者によると、本来的に動物同士というのは正面から目を合わせることはなく(あるとすれば相当の緊張感をはらむ、つまり喧嘩を売るようなものだとか)、目元ではなく口元やその動きによって相手の感情を察知しているというのです。
顔半分以上を覆ってしまうことで、生きていく上で不可欠な認知とコミュニケーションを大きく阻害するマスクという存在、それは歴史上、ヒトが腰周りを布で覆いかくしたことにも匹敵するやもしれず、ひいてはかつてパンツがそうであったように、人類の性意識にまで影響を及ぼすかもしれない――霊長類学と人類学から社会学や文学まで、様々な分野の視点から考える、大胆なポストコロナ文化論の試みです。
2021/04/23
著者プロフィール
正高信男
マサタカ・ノブオ
1954(昭和29)年大阪府生まれ。霊長類学・発達心理学者、評論家。大阪大学人間科学部行動学専攻卒、同大学院人間科学研究科博士課程修了。京都大学霊長類研究所教授を2020年に退官。『ケータイを持ったサル』『いじめとひきこもりの人類史』など著書多数。