
首相官邸の2800日
880円(税込)
発売日:2022/03/17
読み仮名 | シュショウカンテイノニセンハッピャクニチ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 222ページ |
ISBN | 978-4-10-610943-0 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 943 |
ジャンル | ノンフィクション |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2022/03/17 |
「チーム安倍」の一員が今こそ明かす政権の内側。
官邸広報とは、国内はもとより海外諸国に向けて、時の政権の考えと政策を正しく伝えるのが職務だ。メディアの疑問や他国からのゆえなき批判にも、適時的確に応えなくてはならない。著者は第一次・二次安倍政権で計8年余り内閣広報官を務め、総理補佐官としても、首脳外交からゴーン事件、コロナ対応まで日々様々な課題と向き合ってきた。憲政史上最長政権を内側から支える一員として――2800日のドキュメント。
目次
はじめに
第一章 官邸広報とは何か
4つのA/Attention(関心)を得る/Agreement(賛成)につなげる/平和安全法制についての説明/年金情報漏出と消費増税時の広報/FAQ、データ、解説、身近感/賛成から行動(Action)に移す/SNSは迅速性、HPは総覧性/伝統的広報ルート(1)新聞/費用対効果と編集権の壁/伝統的広報ルート(2)テレビ/発信に対する360度評価
第二章 外国向け広報はなぜ重要か
訪米で痛感した情報発信の必要性/『We Are Tomodachi』「Japan Library」/一般人と議員による交流プロジェクト/地方の歴史と活動を伝える/総理のスピーチ、メディアへの投稿/慰安婦問題での基本方針/秦郁彦氏『慰安婦と戦場の性』英訳の一件/地道な努力の末の慰安婦合意/低下する好感度、遠ざかる未来志向/中国警戒論へと傾いた米国/中国重視から転じ始めた欧州/ASEANの日米中ヘッジ外交/選挙連勝で増した対外信用度/中韓以外は向上する日本イメージ/深化し続けるソフトパワー戦
第三章 首脳外交、ゴーン事件、コロナ禍の渦中で
米政界要人へのアプローチ/あらゆる伝手で人脈を掘り起こす/15年安倍訪米とケネディ大使の尽力/「歴史修正主義者」のイメージを刷新/広島と真珠湾/米メディアも絡んだやりとり/感動的だったオバマ大統領の広島訪問/トランプ大統領とのパイプ作り/「長い経験を積んだプロ」/四半世紀ぶりによみがえった旧交/硬直化した日中関係を解きほぐす/総理による様々な新聞投稿/サミットのロゴマークを作る/日本の信用が問われたゴーン逃亡事件/パンデミックという最大の難題/マスク、トイレットペーパー、ロックダウン/国家予算で制作した「3密」コンテンツ/10万円給付広報/山中博士、梨田元監督、尾身博士との対話
第四章 メディアとどう向き合うか
批判を浴びた総理会見/江川紹子氏を指名しなかった理由/時間を拡大、「密」を避けて人数増/プロとしての記者の技量/「中立・公平」と報じる側の主観/計1万2000ページの情報開示/「言論・表現の自由」との出会い/Perceptionと事実の歪曲/朝日新聞による印象操作の一例/ジャーナリストは文化エリート?/ノイズだけでなく静寂に耳を傾ける/良質なメディアは共有財
第五章 総理補佐官は官邸で何をしているのか
総理補佐官はスタッフ機関/実際の仕事の進め方/産学トップが同行する訪問団/経済訪問団で頭をよぎった「万、万が一」/政治・経済・学術界のソフト交流/「土地鑑」のある分野を重視する/「地方の声は正しく、重い」/「契約のひな型」を使った業界慣行の改善/若者たちの会議参加、総理主催の晩餐会/関係省庁、与党とのパイプ役/公開情報をきちんと読む大切さ/「官邸官僚」「経産省内閣」への違和感/サミット、即位の礼での見事なロジ/「チーム安倍」の面々
第六章 官僚を目指す人たちへ
行政官経験を次代に伝える/官僚志望者が減り続けるわけ/「叱られ上手」と「口の堅さ」/増える一方の行政執行量/「政治主導」と3つの「望」/忘れられない「仕分け」の光景/政治主導を取り巻く法律の枠組み/天下りはなぜダメなのか/中堅・中小企業に人材斡旋を/キャリア官僚は激務だが成長できる/受験偏重の勉強を見直す/組織によって異なる「当たり前」/官民交流をさらに進める/国家公務員の給与アップを/人生は3敗4勝
終章 安倍総理との登山
謝辞
薀蓄倉庫
「回転ドア」が「日本の顔」になるまで
10年ほど前、ニューヨーク・タイムズは「日本の首相は回転ドア」みたいだと評して話題になりました。実際、当時は5年間続いた小泉内閣の後、安倍(第一次)→福田→麻生→鳩山→菅→野田と一年ごとに5回も政権が変わり、とても首脳外交どころではなかったのです。その点、憲政史上最長の7年9カ月を記録した安倍政権(第二次)は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、オバマ、トランプの両アメリカ大統領から、中国の習近平主席やロシアのプーチン大統領まで、大国の首脳たちと何度も会談を重ねました。就任直後こそ、海外では“歴史修正主義者”と批判されることもありましたが、その後は外交の舞台で着実に存在感を発揮。やはり「一国の顔」になるには、相応の時間と経験が必要ということでしょう。
掲載:2022年3月25日
著者プロフィール
長谷川榮一
ハセガワ・エイイチ
1952年生まれ。東京大学法学部卒。元中小企業庁長官。安倍政権で内閣広報官、総理大臣補佐官を計8年余り務めた。2022年3月現在、東大公共政策大学院客員教授。ブラックストーン・グループ・ジャパン、ボストンコンサルティンググループ勤務。著書に『石油をめぐる国々の角逐』。
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