秀吉を討て―薩摩・明・家康の密約―
858円(税込)
発売日:2022/08/18
- 新書
- 電子書籍あり
海洋国家・薩摩、落日の超大国・明、次を狙う家康。その時、思惑が一致した。
大国・明と薩摩、家康が秀吉排除に向けて意を通じていた――。関ヶ原の戦いの後、敗れた西軍の武将には極めて厳しい沙汰が下されたが、島津氏はなぜか所領を安堵され、この異例の優遇は大きな謎とされてきた。だが、最新史料を詳細に分析した結果、朝鮮出兵の最中、島津氏と明が太閤秀吉打倒へ向けて連絡を取り合い、その企てに家康も関与していた可能性が高いことがわかってきた。戦国の興亡史を塗り替える歴史考証。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | ヒデヨシヲウテサツマミンイエヤスノミツヤク |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610964-5 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 964 |
ジャンル | ノンフィクション |
定価 | 858円 |
電子書籍 価格 | 858円 |
電子書籍 配信開始日 | 2022/08/18 |
蘊蓄倉庫
なぜ堺の商人は島津氏を守ったのか?
関ケ原の戦いで西軍だった薩摩は、敗北後に敵陣を突破し、何とか薩摩に帰り着きます。苦難続きの逃避行でしたが、その時に命がけで島津氏を守り抜いたのが、堺の商人たちでした。なぜ堺の商人たちが薩摩を助けたのか? 話は室町時代の勘合貿易にまでさかのぼります。当時、京都につながる関西の港湾には、瀬戸内海方面に伸びた兵庫津と、紀州・土佐へと伸びた堺があり、堺商人たちは、土佐沖を抜けて、南九州の島津氏領の港を経て中国へと向かうルートをとっていました。この時代から貿易を通じて太いパイプで結ばれていた両者は、関ケ原合戦の際も協力したわけです。
掲載:2022年8月25日
担当編集者のひとこと
「海洋国家」としての薩摩
本書『秀吉を討て―薩摩・明・家康の密約―』は朝鮮出兵のさなかに、薩摩と明と徳川家康が、豊臣秀吉の排除を画策していたことを示す歴史スクープですが、その背景には、「海洋国家」としての薩摩の存在のユニークさがありました。かつて薩摩の港には数多くの外国船が浮かび、各地に外国人居留地が形成されていました。薩摩に住む外国人の中には、島津家の家臣になる者もいて、明に豊臣政権の出兵情報を伝えたのも、そうした外国人でした。日本地図を見ているだけではわからない、独自に東アジアや世界と交流を持った薩摩という存在の面白さにも、是非ご注目ください。
2022/08/25
著者プロフィール
松尾千歳
マツオ・チトシ
1960(昭和35)年福岡県生まれ。鹿児島大学法文学部卒業。尚古集成館館長、鹿児島大学非常勤講師、鹿児島国際大学非常勤講師。著書に『西郷隆盛と薩摩』『島津斉彬』『島津家おもしろ歴史館』、共著に『鹿児島県の歴史』『海洋国家薩摩』『島津斉彬の挑戦』など。