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山奥ビジネス―一流の田舎を創造する―

藻谷ゆかり/著

858円(税込)

発売日:2022/10/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

「デフレ? 少子化? 悲観するな! 日本の田舎こそ成長のフロンティアだ」冨山和彦氏推薦。

人口減? 地方消滅? 悲観する必要はない。日本には「山奥」という豊かなフロンティアがある。「なにもない田舎」も、地域資源を再発見し、角度を変えて眺めれば、宝の山に変わるのだ。ハイバリュー・ローインパクト(高付加価値で環境負荷が低い)なビジネスを山奥で営む事例や、明快なコンセプトで若い世代やユニークな事業を呼び込んでいる自治体事例を紹介し、「一流の田舎」を創るストラテジーを提示する。

目次
はじめに
第一部 山奥でビジネスを展開する
第一章 熊本県山都町
バブル絶頂期にエリート銀行員がUターン/免税店での販売と海外輸出/観光酒蔵からネット通販へ/熊本地震での被災と酒蔵エンターテイメント業への転換/IT企業が山都町で創業/山奥に光ファイバーを整備/古民家や廃校をシェアオフィスに転換/熊本に移住したMARUKUの若者たち/はじまりの場所
第二章 石川県能登町
奥能登から飛び出したかった子供時代/奥能登産の生乳の美味しさに目覚める/ジェラートとアイスクリームの違い/奥能登でジェラート店を開業/イタリアのジェラート大会への挑戦/突破口となった「ジェラート・イリュージョン」/ショッピングモールへの出店をすべて断る理由/「ジェラート自然科学研究所」という夢
第三章 北海道岩見沢市美流渡地区
中川夫妻が脱サラ起業した理由/「熊しか買いに来ない」と地元の人が忠告/「惚れて通えば千里も一里」/「どんな仕事でも一生懸命やる、うそをつかない、ご縁を大切にする」/おしゃれなパン工房とログハウスを手に入れる/廃校となった旧美流渡中学校でアートプロジェクト/東日本大震災をきっかけに北海道に移住/「森の出版社ミチクル」を開始/画家のMAYA MAXXが移住/人生はワクワクする冒険
第四章 島根県大田市大森町
松場大吉と松場登美/ブラハウスの創業と大森町への帰郷/転機となった東京の展示会への出展/ブラハウスから群言堂へ/製造小売業に転換/衣食住を通して「生活の美」を伝える/子育て世代が移住/山奥にあるドイツパンとドイツ菓子の店/山奥ビジネスの極意
第二部 魅力的な地域が山奥ビジネスを招く
第五章 新潟県十日町市
大反対の中で始まった大地の芸術祭/大地の芸術祭の成功要因/交流人口を移住につなげる/孫ターンの女性が妻有ビールを起業/ドイツ人デザイナーが限界集落で古民家再生/限界集落での古民家再生プロジェクト/町中の再生プロジェクト/独学の強み
第六章 北海道東川町
全国でも珍しい人口が増えている町/「写真の町」東川町/多様なスモールビジネスが集積/子育て世代の移住者を呼ぶ「教育の町」/スモールビジネスのお手本「北の住まい設計社」/岐阜県から移転した三千櫻酒造/オープンな人々
第七章 山梨県小菅村
多摩川源流大学で増えた交流人口/源流親子留学で小中学校を維持/タイニーハウスプロジェクト/松姫トンネルの開通と「道の駅こすげ」/渋谷から本社移転したクラフトビール会社/村全体がホテルになる「NIPPONIA小菅 源流の村」/「人口をバロメーターにはしない」
第三部 一流の田舎を創造する
第八章 地方経済を活性化するために
地方から地場産業が消えた/日本の基幹産業は製造業から観光業へ/山奥ビジネスが観光業につながる未来予想図/観光業を地方経済の活性化につなげるために
第九章 若い世代の地方移住を促進するために
地方移住の4つのパターン/地方での人口増減パターン/一時的な社会減は「越境学習」のために不可避/Uターンの阻害要因は「家父長制・長男教・男女差別」/地方から若い女性が転出する現状/若い女性が出ていく地方は消滅する/地方議会の現状/山奥の生坂村で起きた議会イノベーション/女性や若い世代の移住を招くオープンな地域
おわりに
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 ヤマオクビジネスイチリュウノイナカヲソウゾウスル
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610971-3
C-CODE 0234
整理番号 971
ジャンル ビジネス・経済、ビジネス実用
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2022/10/15

蘊蓄倉庫

岐阜から北海道に移転した酒蔵

 最近の地方創生ではクラフトビールの製造がブームになっていますが、これは日本酒の酒蔵の新規参入が事実上不可能になっていることも背景の一つにあります。逆に言うと、日本酒の酒蔵が新規に出来るのは非常にまれで、希少性があります。
 そんな中、北海道東川町は公設民営の酒蔵を作って運営を公募し、岐阜県から酒蔵を移転させることに成功しました。その移転を決めた三千櫻酒造には、酒蔵の更新に費用がかかること、冬場に蒸したコメの温度が想定よりも下がらなくなってきたことなどの事情がありましたが、より積極的には「大雪山系のきれいな伏流水を使えること。観光地にもかかわらず北海道には日本酒の酒蔵が少なく、ブルーオーシャンに思えたこと」という理由もありました。実際に三千櫻酒造は、移転後に生産量を2・5倍にすることが出来たそうです。

掲載:2022年10月25日

担当編集者のひとこと

「消滅可能性の高い自治体」で展開される高付加価値ビジネス

 本書の「山奥」とは、人が住んでいない山奥ではなくて、かつて銀山や炭鉱、林業などで栄えていた地域を指します。そのほとんどが、いわゆる「消滅可能性の高い自治体」です。本書は、人口が減少した地域において、どんなビジネスを呼び込み、どう地域を活性化していくかを示唆する内容となっています。

 もちろん、人口減の中でもそこそこ頑張っている自治体やビジネスはたくさんあるわけですが、著者が重視したのは「ハイバリュー&ローインパクト」と「SLOC(Small, Local, Open, Connected)という側面です。前者は、価値が高い剤・サービスを生み出しながら環境や土地への負荷を低くしていること、後者は文字通り「小さくて、ローカルで、オープンで、繋がっている」という要素です。そうした観点から、老舗の酒蔵が中心になって町を活性化させている熊本県山都町、世界一のジェラート職人が店を構える石川県能登町、職人やアーティストが集結して新しいムーブメントを起こそうとしている北海道岩見沢市美流渡地区、「写真の町」というコンセプトで交流人口を増やし続けている北海道東川町などの事例が紹介されていきます。

 編集をしている中で、個人的に興味深かったのが、山梨県の小菅村。ここは「多摩川の源流」に位置しており、村全体をホテルに見立てた「NIPPONIA小菅 源流の村」というホテルがあります。さらに、「タイニーハウス」と名付けられた「疑似断捨離体験」の出来る、環境負荷の低い家での宿泊も可能。渋谷から本社を移転してきたブルワリーや、森の中で長大なジップスライドを体験できるアドベンチャー施設もあるそうで、これから行くチャンスをうかがうことにします(笑)。

 著者の藻谷さん自身は横浜出身なのですが、MBA留学→会社勤め→起業を経て、20年前に長野県の山奥に移住しています。起業した会社は長野でも経営し続け、現在はすでに事業譲渡してしまいましたが、いまでも「経営エッセイスト」という肩書きで執筆、講演活動を続けられています。つまり、ご自身も「山奥ビジネス」の実践者でもあります。

 本書の編集を通じて、いろいろと知らない事例を知ることが出来て、個人的には非常に勉強になりましたし、潜在的な「観察対象」地域も増えました。
 よろしければ、皆さんもぜひご一読ください。

2022/10/25

著者プロフィール

藻谷ゆかり

モタニ・ユカリ

1963年横浜市生まれ。東京大学経済学部卒、ハーバードビジネススクールMBA。会社員、起業を経て経営エッセイスト。2002年、家族五人で長野県に移住。著書に『衰退産業でも稼げます』『六方よし経営』など。

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