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コスパで考える学歴攻略法

藤沢数希/著

880円(税込)

発売日:2022/11/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

公立コースor中高一貫校、大手受験塾or個人塾、東大理系or国公立医学部。クールでドライな「損益計算書」。

子供の教育には多大な費用と時間を割かねばならない。家庭の限られたリソースを使って、いかに効果的に果実を得るか。中学受験と高校受験ではどちらがコストパフォーマンスがいいのか。身も蓋もないが、子供にはできれば一流大学を卒業し、高い年収を得られるやりがいのある仕事に就いてほしい。そんな親心に応えるべく、膨大なリサーチと実体験をもとに、子供が現代の学歴獲得競争で勝ち抜くための戦略を論じる。

目次
まえがき
第1章 たかが学歴 されど学歴
今どきいい大学を出てもダメだと言うけれど/学歴に対する健全で生産的な考え方/大学の序列と学歴フィルタ/卒業生の平均年収は偏差値が高いほど高い/メディアのバイアス/学歴に複雑な感情を抱く日本人/科挙と学歴による身分制度
第2章 日本の高校までの教育レベルは高い
高校間進学実績競争が日本教育の要/大半の家庭の教育方針は子供をいい大学に入れること/東大に何人合格させるかを競う大学受験甲子園/塾や進学校間の健全な競争/東大・京大・国公立医学部合格者数ランキング/大きな影響力がある東大入試問題/東大入試の難しさは科目の多さ/序列が固まり大学間競争がない/日本の大学のコストパフォーマンスはとても良い
第3章 学校のカリキュラムは何を目的に作られているのか
カリキュラムは何のためにあるのか/高校までに学ぶことと大学から学ぶこと/大学院レベルの標準的教科書マスターがカリキュラムのゴール/修士までの学位とはまったく違う博士号/学術研究と受験勉強では必要なマインドが真逆
第4章 中学受験はダービースタリオンだ
ダビスタそっくりな中学受験/大手塾の役割は大きい/中学受験の塾の費用/大手塾の仕組み/スパイラル方式のカリキュラム/週テストと毎月の全国模試/どの塾に入れるべきか/中学受験の国語/中学受験の社会/中学受験の理科/中学受験の算数/まずは親が逆算のやり方を学ぶ/鶴亀算を面積図で解いてみよう/線分図で数量関係を比較する/子供に方程式を教えるべきか/中学受験か高校受験か
第5章 格安の公立中学からの高校受験ルートで学歴獲得競争に勝つ
圧倒的に安い公立中学コース/私立中高一貫校は公立と比べて偏差値を3上げられるかもしれない/高校入試の数学は大学受験経験者にはとても簡単/東京は優秀層が中学受験で抜けるので高校受験の方が楽/大学受験では私立中高一貫校の生徒たちと戦うことになる/高校受験組の弱点は数学の遅れ/内申点対策
第6章 日本の教育に足りないものを家庭で補う
英語ができない日本人/筆者の英語勉強法/受験英語最高峰でもレストランで注文できず/子供の英語の正しい勉強法/まずは英単語1000個を正しい発音で/外国人に英会話を習う/正しい受験英語の猛勉強/一番いいのは英語圏の現地校への留学/正規留学の費用は高いのか/英語の学習も本人のやる気次第/プログラミング教育は焦る必要なし/理系は医学部に行くべきか/海外大学への進学について/日本の教育はまったく悪くない
あとがき

書誌情報

読み仮名 コスパデカンガエルガクレキコウリャクホウ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610974-4
C-CODE 0237
整理番号 974
ジャンル 教育学、語学・教育
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2022/11/17

蘊蓄倉庫

いくら払うとどれくらい偏差値が上がるか?

 あるデータでは、私立中高一貫校に通うと、公立中学→公立高校コースに比べて、約1000万円くらい余計に学費がかかるようです。それで、学力がどれくらい変わるかというと、英数国の平均で偏差値3くらい。つまり、大学受験の偏差値+3は1000万円で買えるということかもしれません。この偏差値+3を大きいと考えるか、小さいと考えるか……受験生の実力と保護者の経済力にも、それをどう見るかが左右されそうです。

掲載:2022年11月25日

担当編集者のひとこと

金をかけず、うまく学歴を手に入れる方法

 週刊新潮で本書の著者の藤沢数希氏と、処女作『22世紀の民主主義』がベストセラーになり、歯に衣着せぬ発言でテレビ、ネット、ツイッターで大活躍の成田悠輔さんとで対談して頂きました。藤沢氏は香港在住、イェール大学助教授の成田さんは大学のあるコネチカット州から、編集者の私は東京での、Web会議サービスZOOMを使った対談です。

 東京は日の変わる少し前の、亥の刻から子の刻に変わる頃、一方、成田さんがモニターを設置している部屋は朝日の強い陽が射していました。やはり、地球は丸いのですね。

 話は多岐にわたりましたが、まず、興味深かったのは、東大文2に合格、経済学部で最優秀卒業論文により大内兵衛賞を受賞。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)でPh.D.(博士号)を取得と、日本人で最高峰の学歴を歩んでいる成田さんが、中学受験の際、普通の模試とかを受けると全然駄目だったという話。模試の結果はE判定(=絶望的)でも、実際の問題をみると、なんとなく答えがわかってくるというのです。やはり頭のいい人は違います。

 著者の藤沢氏は、自らのプロフィールをはっきり公表していませんが、地方の出身で、中高とほとんど勉強していなかったらしい。しかし、一人暮らしをしたくて、高三で奮起し猛勉強して大学入試はなんとかなった。一年集中すればなんとかなる、それが日本の受験制度のいいところと、自らの受験生時代を振り返っています。

 その二人の話題に上がったのが、幼稚園から小学生、中学受験で中高一貫校に入り、その6年間を、大学受験で成功するために、みっちり勉強し続ける「受験エリート」たち。成田さんからは「そこ(大学受験)に至る贅沢な時間の余白を、行き過ぎた準備で埋めちゃってもったいないなぁ」という発言も……。

 本書では、一回の「ペーパーテスト」で合否が決まる日本の受験制度の仕組みを徹底的に研究し、中高一貫教育の利点、公立コースのコスパの高さなど、学歴を獲得するためのクールでドライな分析が読みどころのひとつ。

 お子さんも持つ親御さん、お孫さんの進路が心配なおじいちゃんおばあちゃん、そして、自分がどのような人生を歩むべきかについて関心のある中学生、高校生、大学生にもお勧めの一冊です。

2022/11/25

著者プロフィール

藤沢数希

フジサワ・カズキ

PhD、物理学研究者、外資系投資銀行でクオンツ、トレーダーを経て、2022年11月現在は香港にて資産運用業を営む。メルマガ「週刊金融日記」発行。著書に『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』『「反原発」の不都合な真実』『外資系金融の終わり』など。

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