コスパで考える学歴攻略法
880円(税込)
発売日:2022/11/17
- 新書
- 電子書籍あり
公立コースor中高一貫校、大手受験塾or個人塾、東大理系or国公立医学部。クールでドライな「損益計算書」。
子供の教育には多大な費用と時間を割かねばならない。家庭の限られたリソースを使って、いかに効果的に果実を得るか。中学受験と高校受験ではどちらがコストパフォーマンスがいいのか。身も蓋もないが、子供にはできれば一流大学を卒業し、高い年収を得られるやりがいのある仕事に就いてほしい。そんな親心に応えるべく、膨大なリサーチと実体験をもとに、子供が現代の学歴獲得競争で勝ち抜くための戦略を論じる。
書誌情報
読み仮名 | コスパデカンガエルガクレキコウリャクホウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610974-4 |
C-CODE | 0237 |
整理番号 | 974 |
ジャンル | 教育学、語学・教育 |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2022/11/17 |
蘊蓄倉庫
いくら払うとどれくらい偏差値が上がるか?
あるデータでは、私立中高一貫校に通うと、公立中学→公立高校コースに比べて、約1000万円くらい余計に学費がかかるようです。それで、学力がどれくらい変わるかというと、英数国の平均で偏差値3くらい。つまり、大学受験の偏差値+3は1000万円で買えるということかもしれません。この偏差値+3を大きいと考えるか、小さいと考えるか……受験生の実力と保護者の経済力にも、それをどう見るかが左右されそうです。
掲載:2022年11月25日
担当編集者のひとこと
金をかけず、うまく学歴を手に入れる方法
週刊新潮で本書の著者の藤沢数希氏と、処女作『22世紀の民主主義』がベストセラーになり、歯に衣着せぬ発言でテレビ、ネット、ツイッターで大活躍の成田悠輔さんとで対談して頂きました。藤沢氏は香港在住、イェール大学助教授の成田さんは大学のあるコネチカット州から、編集者の私は東京での、Web会議サービスZOOMを使った対談です。
東京は日の変わる少し前の、亥の刻から子の刻に変わる頃、一方、成田さんがモニターを設置している部屋は朝日の強い陽が射していました。やはり、地球は丸いのですね。
話は多岐にわたりましたが、まず、興味深かったのは、東大文2に合格、経済学部で最優秀卒業論文により大内兵衛賞を受賞。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)でPh.D.(博士号)を取得と、日本人で最高峰の学歴を歩んでいる成田さんが、中学受験の際、普通の模試とかを受けると全然駄目だったという話。模試の結果はE判定(=絶望的)でも、実際の問題をみると、なんとなく答えがわかってくるというのです。やはり頭のいい人は違います。
著者の藤沢氏は、自らのプロフィールをはっきり公表していませんが、地方の出身で、中高とほとんど勉強していなかったらしい。しかし、一人暮らしをしたくて、高三で奮起し猛勉強して大学入試はなんとかなった。一年集中すればなんとかなる、それが日本の受験制度のいいところと、自らの受験生時代を振り返っています。
その二人の話題に上がったのが、幼稚園から小学生、中学受験で中高一貫校に入り、その6年間を、大学受験で成功するために、みっちり勉強し続ける「受験エリート」たち。成田さんからは「そこ(大学受験)に至る贅沢な時間の余白を、行き過ぎた準備で埋めちゃってもったいないなぁ」という発言も……。
本書では、一回の「ペーパーテスト」で合否が決まる日本の受験制度の仕組みを徹底的に研究し、中高一貫教育の利点、公立コースのコスパの高さなど、学歴を獲得するためのクールでドライな分析が読みどころのひとつ。
お子さんも持つ親御さん、お孫さんの進路が心配なおじいちゃんおばあちゃん、そして、自分がどのような人生を歩むべきかについて関心のある中学生、高校生、大学生にもお勧めの一冊です。
2022/11/25
著者プロフィール
藤沢数希
フジサワ・カズキ
PhD、物理学研究者、外資系投資銀行でクオンツ、トレーダーを経て、2022年11月現在は香港にて資産運用業を営む。メルマガ「週刊金融日記」発行。著書に『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』『「反原発」の不都合な真実』『外資系金融の終わり』など。