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寿命ハック―死なない細胞、老いない身体―

ニクラス・ブレンボー/著 、野中香方子/訳

1,210円(税込)

発売日:2022/12/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

世界的ベストセラー! 22か国で翻訳。「不老不死」を攻略する。若き分子生物学者が教える最新研究×実践メソッド。

近年、「老化は治療可能な病気」とみなす研究者は多く、アンチエイジングから不死に至るまで研究は隆盛を極める。実際、自然界には四〇〇年近く生きるサメや、根系が一万四〇〇〇年以上生き続ける樹木、果ては若返るクラゲも存在する。永年の夢だったはずの「不老不死」は今、いったいどこまで実現可能になっているのか。研究の最先端と未来を、ユーモアを交えて分かりやすく解説。実践的アドバイスも紹介する。

目次
プロローグ――若返りの泉
I 自然の驚異
第1章 長寿の記録
390歳のサメ/寿命のない木/悲劇的なサケの一生/死を遠ざける生き物たち/身長と寿命の法則/法則から外れた長生きなネズミ
第2章 太陽とヤシの木と長寿
ブルーオーシャン――長寿者たちの住む町/長寿で注目すべき地域
第3章 過大評価される遺伝子
遺伝子が持つ情報/遺伝と環境、人生を左右するのは/寿命も遺伝?/遺伝子研究が予知する未来/発見された遺伝子メカニズム/長寿遺伝子を持つ人々
第4章 不老不死の弱点
死は老化がもたらす/生物はなぜ死ぬのか?/老化はプログラムされている?
II 科学者の発見
第5章 あなたを殺さないものは……
抗酸化サプリメントは寿命を縮める/ストレスこそが生物を強くする/パイナップルは口内を攻撃している/健康的にストレスを感じる方法
第6章 サイズは重要か?
新大陸を目指して/小人族の人々/成長ホルモンを運ばない身体/ラロン症候群のネズミ/背の低い人が長寿な理由/成長因子――IGF-1
第7章 イースター島の秘密
細菌の持つ特殊な分子/真菌の成長を管理するタンパク質複合体――mTOR/ラパマイシンとアンチエイジング
第8章 すべてを結びつけるもの
細胞のゴミ収集車――オートファジー/細胞を騙せ!
第9章 高校で教わる生物学の誤り
人類は細胞と細菌の結合から生まれた/細胞の発電所/ミトコンドリアを除去する
第10章 不死への冒険
不老不死の細胞/細胞が死なない理由/ヒーラ細胞の秘密/大胆な遺伝子治療
第11章 ゾンビ細胞とその退治法
自殺しなくなった細胞たち/ゾンビ細胞を殺すには
第12章 生物時計のねじを巻く
結果が分かるまで早くて数年/細胞の年齢を測るには/より正確な体内時計/早く老化する細胞/細胞年齢を巻き戻す――iPS細胞/どこまで若返らせるか問題/多能性幹細胞は変幻自在/科学と倫理のジレンマ/細胞を再生する――成体幹細胞
第13章 血液の驚異
輸血と若返り/若い血液の力/体内の鉄分が意味するもの/鉄は寿命を縮める?
第14章 微生物との闘い
死の産科と死体粒子/らせん状の細菌/人体は微生物だらけ
第15章 見えるところに隠れる
ウイルスが持つ武器/HIVとの闘い/感染症との闘いは続く……
第16章 長生きするためのデンタルフロス
老化とアルツハイマー病/脳の老廃物――アミロイドβ/ヘルペスウイルスとアルツハイマーは密接/ガンを引き起こすウイルス/ウイルスが老化に与える影響
第17章 免疫の若返り
腸内細菌の驚くべき力/老いる免疫システム/免疫システムの若返り
III 役立つアドバイス
第18章 楽しく飢える
食事制限は有益か/最も寿命が延びるのは飢餓状態/腹八分目は理にかなっている
第19章 歴史ある習慣を見直す
大事なのはカロリーか食事時間か/断食とダイエット/382日間食べなかった男
第20章 カーゴカルトの栄養学
栄養学の論文は矛盾だらけ/長寿の人々を真似れば長生きできるのか/ランダム化比較試験から分かること/ビタミンDはわたしたちを健康にしない
第21章 思索の糧 フード・オブ・ソート
牛乳でおなかを壊す原因は遺伝子/体の老化年齢を知る方法
第22章 中世の修道士から現代科学へ
血糖値コントロールが長寿への近道?/糖尿病薬がアンチエイジングに効く!?
第23章 測定できるものは管理できる
死因の第1位は遺伝性/1日25個の半熟卵を食べる男/高血圧になりにくい人々は長生き/運動すればするほど健康に/筋肉と長寿の関係性
第24章 物質より心
心は体をコントロールする/人間関係が健康に影響する理由
エピローグ
謝辞
訳者あとがき

書誌情報

読み仮名 ジュミョウハックシナナイサイボウオイナイカラダ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 304ページ
ISBN 978-4-10-610977-5
C-CODE 0240
整理番号 977
ジャンル 生物・バイオテクノロジー
定価 1,210円
電子書籍 価格 1,210円
電子書籍 配信開始日 2022/12/19

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世界的ベストセラーのわけ

 本書の著者は「今もっとも期待されている研究者の一人」と称される、まだ20代の気鋭の分子生物学者です。本国デンマークで刊行されるやたちまちベストセラーとなり、著者はメディアで引っぱりだこになりました。「不老不死は可能だ!」とか、「こうすれば元気で長生き!」などと派手にうたっているわけでもないのに、なぜそんなに評価されたのでしょう。
 ひとつには、現代の最新研究を紹介している、ということはあったでしょう。著者がイケメンだということもあったかもしれません。また、科学リテラシーに富んだ読者なら読めばおわかりになると思いますが、とても「公正」に本書は書かれています。著者の誠実な人柄が伝わってきます。
 個人的には、「ちょっとしたストレスはあった方が生物は長生きする」「孤独は死を早める」「心は体をコントロールする」といった、わたしたちが日々なんとなく「そうではないかな?」と思いながらも確かめ得ずに来たさまざまなことに、著者が科学的見地から気づきを与えてくれる――それが本書をベストセラーにしたのではないかな? と思っています。
 科学はこれほどわたしたちの身近にあり、実はすでに人間のさまざまな未来を指し示してくれているのか、という驚きも与えてくれる一冊です。

掲載:2022年12月23日

担当編集者のひとこと

身長と寿命の法則

 自然界には人間より遥かに長生きな生き物たちが存在します。390歳を迎えたグリーランド・シャークや、200歳を超えたホッキョククジラ、ギネス記録を更新した190歳のゾウガメなど、その種別は様々ですが、彼らを観察してきた観察者たちによると一つの大きな法則が見えてくるといいます。そう、体が大きい生き物であるという点です。では同じ種の中ではどうでしょうか。
 イヌを例に挙げてみますと、チワワとグレートデーンではどちらが長生きでしょうか。実は体の小さなチワワの方がグレートデーンより2倍も生きることがあるのだそうです。つまり。体の大きな種は小さな種よりも長生きですが、同じ種の中ではこの原則は逆になると本書の著者は説きます。
 人間の男女の平均寿命を見ると、女性の方が明らかに長生きなことがわかります。一般に同じ種のメスとオスでは、メスの方が長生きであることが多いのだそうですが、その理由は、メスの方が身体が小さいことと深い関係があるようですね。もちろん個体差は大きいですが、小さければ小さいほどその種の中では長寿ということが法則として浮かび上がってくると著者は言うのです。

2022/12/23

著者プロフィール

ニクラス・ブレンボー

Brendborg,Nicklas

1995年生まれ。デンマーク出身。コペンハーゲン大学分子生物学博士課程に在籍する、気鋭の若手研究者。『寿命ハック―死なない細胞、老いない身体―』は本国デンマークでベストセラーとなり、世界22カ国以上で翻訳されている。著書に『TOP STUDENT』、Lars Tvede氏との共著『SUPERTRENDS』がある。

野中香方子

ノナカ・キョウコ

翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業。『ネアンデルタール人は私たちと交配した』『エピジェネティクス 操られる遺伝子』など訳書多数。

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