NHK受信料の研究
858円(税込)
発売日:2023/02/17
- 新書
- 電子書籍あり
「みなさまのため」なんて大ウソ! 吉田茂が“犯人”だった――。GHQ関係者らの貴重な証言も盛り込み、巨大メディアのタブーに挑む。
「NHKの公共性、客観性を保つために受信料は必要だ」――日本人の多くはこんなプロパガンダを信じ込まされている。しかし、世界を見れば広告収入で運営されている公共放送は数多い。実は、戦後の受信料とは、GHQの意向に反して、吉田茂総理と通信官僚らがNHK支配の道具として存続させたものだ。放送法制定に携わったGHQ側の貴重な証言を盛り込みながら、巨大メディアのタブーに斬りこむ刺激的論考。
註釈
書誌情報
読み仮名 | エヌエイチケージュシンリョウノケンキュウ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610984-3 |
C-CODE | 0230 |
整理番号 | 984 |
ジャンル | 社会学、マスメディア、思想・社会 |
定価 | 858円 |
電子書籍 価格 | 858円 |
電子書籍 配信開始日 | 2023/02/17 |
蘊蓄倉庫
吉田茂はなぜ受信料制度にこだわったのか
一部の政党の意見は別として、また本当に払っていいと思っているかどうかは別として、テレビを持つほとんどの国民はNHKに受信料を払っています。公共放送だから仕方ない、と。
しかし実は別に世界標準でも何でもありません。オーストラリア、イタリア、フランス、韓国などは公共放送でありながら、広告収入を得ている国もあります。
戦後、強制的に受信料を徴取できる制度を強く求めたのは、吉田茂総理でした。このようにすることで、国家が放送に関与しやすくなることを狙ったのです。
メディアの自由を重視するGHQとそれに対抗する吉田茂や官僚たちの暗闘が、当事者の証言もまじえて本書では描かれています。
掲載:2023年2月24日
担当編集者のひとこと
言われてみれば
NHKに受信料を払う大前提は「公共放送」だから、というものです。
しかし、では「公共放送」とは何か。あるいは「公共性」とは何か。
改めて問われてみると、意外と難しいことに気づかされます。
「CMを流していないから公共性がある」というのは答にならないでしょう。そもそも世界に目を向ければ、公共放送だけれどもCMを流している局が結構あります。
「客観的で公平な報道」をNHKが志しているのはよくわかりますが、ではNHKだけがそういう志を持っているかといえばそうではありません。民放でも同じ考えのはずです。
災害の時に役立つ、というのも同様で、ひとたび大災害が起きれば民放も災害情報を発信します。しかも被災者の多くは現在、テレビではなくスマホで情報を得るはずです。
本書は、受信料制度の成立の経緯を見つつ、この根源的な問いに答えていきます。戦後、受信料制度を推進した吉田茂総理らの思惑を知ることで、メディアの見え方も一変するのではないでしょうか。
2023/02/24
著者プロフィール
有馬哲夫
アリマ・テツオ
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『原発・正力・CIA』『日本人はなぜ自虐的になったのか』など。