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山本由伸 常識を変える投球術

中島大輔/著

858円(税込)

発売日:2023/02/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

肘は曲げない、筋トレはしない、スライダーは自ら封印……。「規格外の投手」はどのように生まれたのか?

肘は曲げない、筋トレはしない、得意球のスライダーは自ら封印――。いまや日本球界最高の投手に登り詰めた山本由伸は、あらゆる面で「規格外れ」である。そもそも身長178センチ、体重80キロとプロとしては肉体的に恵まれていない山本が、どうしてここまでの成長を遂げたのか。ブリッジややり投げを取り入れたトレーニングの理由や独特の思考法、そして目指す未来まで、野球に精通したライターが徹底解読する。

目次
はじめに
第一章 小粒な高校生が秘めた“唯一無二”の才能
逃してはならないピッチャー/スカウトの眼力/5年で日本球界の頂点へ/剛腕ならではの代償/プロ野球選手として必要な考え方/2年目の春季キャンプでの“事件”/独特なフォームは「アーム投げ」なのか/山本由伸をマネしてケガする野球少年
第二章 1年目オフの「フルモデルチェンジ」
人と人のつながり/“芯”をつくるエクササイズ/ウエイトトレーニングは必要か/運命の出会い/筒香嘉智という存在/メジャー投手の「重いボール」/筒香から受けた影響/「すべて変わった」1年目のオフ/とんでもない球と、悪い予感と/やり投げトレーニングの成果
第三章 BCエクササイズでできた心身の「軸」
スポーツに多い“落とし穴”/BCエクササイズができるまで/治療と指導で一番大事なこと/同じ5キロでも、“力の質”が変わる/すべては「正しく立つこと」から始まる/「正しく立つ」とはどういうことか/BCエクササイズの根幹を成す「5つのB」/自分の重心をコントロールする/自分のズレを確認する/力じゃない、力/ブリッジの先にあるもの/ウエイトより難しいエクササイズの成果/“帰ってくる場所”/背中を押してくれた“予言”
第四章 「何か変」なピッチングフォーム
急成長した無名投手/宇宙の原理と陰陽論/山本が獲得した「暗黙知」/ウエイトに取り組まない「根拠」/「一本の青竹」を強い力でしならせる/現代プロ野球の“成功例”/やり投げトレーニングの真意/調整能力を養うハンマー投げ/遠投とピッチングの本質/要領の良さと、不安への弱さ/あどけなさの正体
第五章 世界に類を見ないピッチャー
地球の裏側で見た「野球の原点」/スポーツの本当の良さ/不安と野心/見据える「世界基準」/“強い球”を投げられる理由/「常識外れ」の変化球/今、流行りのピッチャー/世界に目を向ける理由
おわりに

書誌情報

読み仮名 ヤマモトヨシノブジョウシキヲカエルトウキュウジュツ
シリーズ名 新潮新書
装幀 朝日新聞社/写真提供、ゲッティ イメージズ/写真提供、新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610985-0
C-CODE 0275
整理番号 985
ジャンル 実用・暮らし・スポーツ、スポーツ・アウトドア
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2023/02/17

蘊蓄倉庫

筒香嘉智との関係

 山本由伸はプロ1年目の2017年のオフから、柔道整復師の矢田修氏の元で、「BCエクササイズ」という独自のトレーニングを続けているのですが、このトレーニングを山本に先駆けて続けていた野球選手がいます。筒香嘉智です。BCエクササイズは大変かつ地道な内容で、試みる野球選手も少なくありませんが、継続しているのは筒香や山本を含めて、ごくわずか。山本にとって、7つ年上で後輩のために協力を惜しまない筒香の存在は大きかったようで、本書の中でも「筒香さんが近くにいたから(トレーニングを)頑張れたっていうのも一つあります」と証言しています。

掲載:2023年2月24日

担当編集者のひとこと

野球が好きな人にだけおすすめします

 オリックス・バファローズの絶対エース、山本由伸が現在、日本プロ野球で最高の投手であることは間違いありません。2年連続でパリーグの投手5冠(勝利数、防御率、奪三振数、勝率、完封数)を獲得しただけでなく、先発投手としての最高の勲章である沢村賞とリーグMVPも2年連続で受賞しています。チームも日本一となり、年俸も来シーズンでは球団史上最高額と見られる6億5千万円にまで到達しています。

 3月に行われるWBCを戦う日本チーム(通称侍ジャパン)でもエースと言える山本ですが、実はあらゆる面で「規格外」と言える投手です。
 現在の主流の投げ方は、肘をたたんでテイクバックを小さくするもの(ダルビッシュ有が典型例)ですが、山本は肘をほとんど曲げません。これは時に「アーム式」などと呼ばれて、従来の常識ではあまり評価されない投げ方です。

 また、大流行の筋トレもやっていません。現在のプロ野球の投手は、筋トレで身体を大きくし、投げる球のスピードを上げて、肘がそれに耐えられなくなったらトミージョン手術を受けて復活する、までがセットになっている状態ですが、山本のアプローチは全くことなります。やり投げやブリッジを取り入れた「BCエクササイズ」と呼ばれる独特のトレーニングを地道に続け、特定の部位ではなくトータルとしての身体の鍛錬を意識しており、肘には過剰な負担をかけない。筋トレはせずとも筋量は増大しており、肉体のバージョンアップも続いています。

 そもそも、山本は身長178センチ、体重80キロと、平均でも身長が180センチを超えているプロ野球選手としては小柄な部類に入ります。それでも圧倒的な成績をあげ続けているのは、この独特のトレーニングに加え、彼の思考法にもあります。
 山本の投球術のバージョンアップは今も続いており、3月のWBCおよび来シーズンを見据えた現在のキャンプでは、左足をほとんど上げない投球フォームを採用しています。本書の第四章のタイトルは「『何か変』なピッチングフォーム」となっていますが、従来の常識で言えば、この投球フォームも何か変。でも、本書を読んで、山本の考え方を知った後だと、「なるほど、そういうことか」「そういう考え方だから、こんどは足の上げ方が変わったんだな」と納得できます。

 自分の感覚を何とか外在化しようとして発せられる山本の言葉は決して分かりやすくありませんが、野球を知り尽くす著者の中島さんが、「こういうことか」とすこしずつ彼の思考と行動に迫っていきます。「野球が大好きな一般人代表」の著者が、超一流選手の言葉の背後にあるものを探るプロセスじたいが極上のエンタメになっている、という本です。
 ここまで読んだ方にはお分かりの通り、野球に興味がない人が読んでもまったく意味がない本ですが(笑)、野球好きなら必ず刺さる本です。こういう蘊蓄話が大好物の野球好きなら、居酒屋トークのネタ数時間分にはなるでしょう。
 ご興味がある方は、ぜひご一読ください!

2023/02/24

著者プロフィール

中島大輔

ナカジマ・ダイスケ

1979年埼玉県生まれ。上智大学卒。スポーツ・ノンフィクション作家。著書『中南米野球はなぜ強いのか』で第二十八回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に『野球消滅』『プロ野球 FA宣言の闇』など。プロからアマチュアまで野球界を広く取材している。

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