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歴史は予言する

片山杜秀/著

968円(税込)

発売日:2023/12/18

  • 新書
  • 電子書籍あり

「未来」へのヒントは、「過去」にある。目からウロコの秘話が満載!

「1秒遅れの時計は永遠に合わない。しかし、止まっている時計の針は必ず合う」。現代人はインターネットやSNSを駆使して「最新の情報」を追い求めるが、すべての情報はどんなに速くても「1秒遅れ」で届く。一方、止まった時計は一日に二度、正確に“今”を指し示す。未来を見通すには、現在を追いかけるより過去を振り返るほうが有効なこともある。週刊新潮の看板コラム『夏裘冬扇』待望の書籍化。

目次
はじめに
I 天皇制はどう変わるのか――人間的な、余りにも人間的な
決められる天皇と決められない天皇/天皇はヴィオラになれるか/8月15日の菊花に寄せる幻想/ジミーとマークとメリーとジュリー/人間的な、余りにも人間的な皇族には、寛容の心を!/この人を見よ! 北白川宮能久親王の巻/中岡艮一の伝説――原敬暗殺100年に寄せて/大陸の男系、太平洋の女系/中川宮の伝説――山縣有朋没後100年に寄せて
II 宰相と政治は何をめざすのか――令和おじさんから暗殺者まで
令和おじさんの国/剣豪の新選組と重度身障者の新選組/弁護士とデマゴーグ/永遠の海軍青年将校、中曽根康弘/“坂の上の雲”から“坂の下の霧”へ/下剋上の精神――梶山静六と菅義偉/岸田文武の“正姿勢”/宏池会における正常化バイアスの伝統について/河野三代における“異常化バイアス”の伝統について/誰が源頼政になれようか――自民党永続与党論/参議院選挙を前に緑風会を懐かしむ/増上寺幻想――首相・将軍・大権現/“反共の帝国”の終わり/それからの暗殺者――血盟団事件異聞
III 国民生活をどう守るのか――下意上達にブラヴォーを
死者の名前は誰のもの?/社会保障と鬼/天叢雲剣よ、洪水を生き延びる道を教えよ/令和の苛政はデジタル庁から始まる?/捺印の赤い色は血判の色/柳田國男はベーシック・インカムがお好き?/ニッポンの電波を覆う黒い霧/火力発電は引退しても、原子力発電は永久に不滅です!/“正社員の帝国”の興亡/「貧乏人は麦を食え」と朝鮮戦争/優雅で感傷的な日本の蹴鞠/下意上達にブラヴォーを!/少子化すると“蛮族”が来る!――ローマ帝国衰亡史/高度成長期の日本の子供を誰が育てていたのか?
IV 災厄とどう向き合うか――コロナ禍と日本的心性
“蔓延元年”のオリンピック/鼻紙と専制国家/皆人の心の限りつくしても頼み少なや布切れ二枚/コロナ禍は人間不要のときの声/割に合わないことをやれ/学童集団疎開は観光事業支援国策だった?/「初め半年や一年の間は……」と山本五十六は言ったけれど/ワクチン恐怖症の戦後日本的起源/オリンピックとコロネット/マラリア・コレラ・マッカーサー/我が国の政治はなぜかくも幼稚になったか/2021年ワクチンの旅/平安貴族はわれらの同時代人
V 時代の申し子は何を遺したか――戦後への墓碑銘
市民はつらいよ――高島忠夫追悼/下山事件と金田正一/梅宮辰夫と第三次世界大戦/『東村山音頭』の戦後文化史的意義について/田中邦衛という怨歌――安部公房と倉本聰の間で/なぐさまってはいけません――瀬戸内寂聴さんを偲ぶ/ゼロ戦的な、余りにゼロ戦的な神田沙也加追悼/ゴジラとしての石原慎太郎/最後の“満洲的”日本人――宝田明追悼/日米同盟と大井川/ゴダール・トリュフォー・慎太郎/銀河鉄道・シベリア鉄道・パパーハ/“キメラ”としての坂本龍一
VI 極東の「持たざる国」の処し方は――「いつか来た道」の幻影
名づけのナショナリズム/この国のかたちは対馬海峡で決まる/地球祖国主義という妖怪と地球資本主義という亡霊/2020年代大予言!/インド人よ、来たれ!/アメリカの壁/合従か、連衡か、それが問題だ!/帝国の滅び方――アメリカ合衆国の巻/超近代国家のパンとサーカス――中国共産党100年に寄せて/勝つ前に勝った証を立てようとした山田耕筰の話/日本・ハワイ安全保障条約の幻/“帝国海軍最低標準”と“必要最小限度の自衛力”/蒋介石の大予言?――政治が7分で軍事が3分/スイス沈没?
VII 歴史はやはり繰り返すのか――嗚呼、ロシア・ウクライナ戦争
キューバ危機・ウクライナ危機・台湾危機/クラシック名曲入門 ロシア・ウクライナの巻/“タタールのくびき”再び?/世界の周縁で「英米本位を排す」と叫ぶもの/コサック・マッチョ・大統領/北の幻――北樺太石油利権と日ソ大同盟/逆回転するロシア・ソビエト史/悪魔主義・世の終わり・Z氏/バフムトとは俺のことかと長沙言い

書誌情報

読み仮名 レキシハヨゲンスル
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 288ページ
ISBN 978-4-10-611021-4
C-CODE 0221
整理番号 1021
ジャンル 歴史読み物、歴史・地理・旅行記
定価 968円
電子書籍 価格 968円
電子書籍 配信開始日 2023/12/18

担当編集者のひとこと

ネットでは調べきれない、豊富過ぎる蘊蓄

 本書は「週刊新潮」の名物コラム「夏裘冬扇」をまとめたものです。いま起きた事件が数分後にはネットニュースで報じられるこの時代、週一回のペースで刊行される週刊誌は、速報性という点ではなんとも中途半端な媒体です。最新のネタを追いかけているつもりが、下手をすると周回遅れになりかねない。
そこで片山教授が編み出したのが、古今東西の歴史秘話を参照しながら現代を斬る手法でした。たとえば、故・安倍晋三元総理の葬儀を「徳川家康の神格化」と、ロシア・ウクライナ戦争の激戦を「泥沼の日中戦争」と対置させます。昔の話をしているようで、未来の話にも読めてしまうのは、博覧強記で知られる著者ならではの妙技です。Wikipediaに載っていないようなマニアックな逸話が多く、新潮社の校閲担当者も毎週の事実確認には苦労していました。

2023/12/25

著者プロフィール

片山杜秀

カタヤマ・モリヒデ

1963年宮城県仙台市生まれ。政治思想史研究者、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。大学院時代からライター生活に入り、『週刊SPA!』で1994年から2003年まで続いたコラム「ヤブを睨む」は『ゴジラと日の丸――片山杜秀の「ヤブを睨む」コラム大全』(文藝春秋)として単行本化。主な著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング 吉田秀和賞・サントリー学芸賞)、『未完のファシズム――「持たざる国」日本の運命』(新潮社 司馬遼太郎賞)、『近代日本の右翼思想』(講談社選書メチエ)、『見果てぬ日本――司馬遼太郎・小津安二郎・小松左京の挑戦』(新潮社)、『鬼子の歌――偏愛音楽的日本近現代史』(講談社)、『尊皇攘夷――水戸学の四百年』(新潮選書)など。

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