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モフモフはなぜ可愛いのか―動物行動学でヒトを解き明かす―

小林朋道/著

880円(税込)

発売日:2024/02/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

「動物としてのヒト」は謎だらけ! しぐさ、行動、遺伝etc.科学の知見と思索。

ヒトはなぜモフモフしたものを可愛いと感じるのか? 血のつながりと自爆テロとの関連は?――長年、様々な野生動物の行動と習性を研究してきた著者が、SNS上で「ヒトという動物」についての疑問を聞いたところ、硬軟とりまぜて質問が殺到。本書では、その中から厳選した13の問いに対して、動物行動学の知見をもとに鮮やかに回答する。ホモサピエンスに特異的な行動の数々から、人間の本性を解き明かす。

目次
はじめに
本を書くための新しいアイデア/「情報」は二種類に分けられる/「地球温暖化懐疑論」はほぼ壊滅したが……
1 親しい友人と会った時、とび跳ねたりするのはなぜか?
「うれしい」がはっきりわかる動作/フリーライダーを見抜く特性/脳がプログラムされている
2 ヒトはなぜ「怖いもの」を見たがるのか?
生存のための有益な情報/安全を確保しながら……/「スリル」と「快」/“幽霊”の怖さ
3 子どもがやる「だんを踏む」動作は本能か?
威嚇的な意図行動/ヘビニューロン
4 「血のつながり」の正体とは? そして「自爆テロ」との関連は?
コロナウイルスの場合/行動や心理を決めるのも遺伝子/ヒトという乗り物/同じ遺伝子を持っている可能性/特攻隊のケース、イスラム教のケース/感情はしっかり味わうべし
5 「思い込み」はなぜ起こるのか?
「省エネ思考」という特性/脳が消費するエネルギー/振り込め詐欺/「自分はどうなのだ」/ファクトフルネス
6 ヒトは現在も進化しているのか?
退化は進化/分解酵素の進化/エイズに感染しない人々/「良い悪い」とは無関係
7 寄生虫はどのようにして人間を操るか。そして遺伝子とは?
カマキリを操るハリガネムシ/人間を操るメジナ虫/ギョウチュウの場合/ミトコンドリアの正体/遺伝子が行動・感情・思考を決める/遺伝子が生き残るためには/遺伝子も寄生虫のようなものである/鉄分を過剰に吸収させる遺伝子
8 ヒトにとって「音楽」とは何なのか?
ダンバー数/リズムとエンドルフィン/行為の美/動物にとっての音楽/外界についての様々な情報
9 赤ん坊の黄昏泣きはなぜ起きるのか?
サルの群れについていくと……/暗くなり始めたころに
10 他人の口調やしぐさがうつってしまうのはなぜか?
ミラーニューロン/相手の気持ちを考えること/無意識に真似をする/転位行動とは/「擬人化」の大きなメリット/動物は人の心をわかりたいか?/なぜ神や仏を信仰するのか
11 なぜヒトは「いじめ」を行うのか? それをなくす方法は?
ヒトと動物のいじめの違い/いじめの実態を把握する必要/学校や職場でのいじめ/心理を利用してのいじめ/いじめを抑制する「理性思考」/「傍観者」と「臨界質量」
12 モフモフはなぜ可愛いのか?
「保護してあげたい」という感情/「ふくよかさ」「丸っぽい」
13 赤ん坊に声をかけるとき声が高くなるのはなぜか?
アカジカの「鳴き合い」/親愛的メッセージを伝えるには
おわりに

書誌情報

読み仮名 モフモフハナゼカワイイノカドウブツコウドウガクデヒトヲトキアカス
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-611032-0
C-CODE 0245
整理番号 1032
ジャンル サイエンス・テクノロジー
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2024/02/17

蘊蓄倉庫

「高い声」と「低い声」

 アカジカ(シカの1種)は繁殖期になると、1匹の雄が雌の集団の中に入っていき「ハレム」の状態になります。その1匹を決めるために、雄たちは正に雌雄を決するための闘いをします。その方法は「鳴き合い」。どちらが低い声を出せるかを競うのです。そして、体の大きな雄ジカほど低い声を出すことができるので、小さい雄はその場を去っていきます。ヒキガエルでも同じ現象が起きます。「低い声」恐るべしです。本書13番目のテーマ「赤ん坊に声をかけるとき声が高くなるのはなぜか?」はその逆の状況。「高い声」は敵対的ではなく、親和的なメッセージを発することになるというわけなのです。赤ん坊に、「低いドスのきいた声」で話しかけるのはやめましょう。

掲載:2024年2月22日

著者プロフィール

小林朋道

コバヤシ・トモミチ

1958(昭和33)年岡山県生まれ。公立鳥取環境大学副学長・環境学部環境学科教授。同ヤギ部顧問。岡山大学卒、理学博士(京都大学)。ヒトを含むさまざまな動物について、動物行動学の視点で研究してきた。『ヒトの脳にはクセがある 動物行動学的人間論』など著書多数。

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