ホーム > 書籍詳細:東京いい店はやる店―バブル前夜からコロナ後まで―

東京いい店はやる店―バブル前夜からコロナ後まで―

柏原光太郎/著

858円(税込)

発売日:2024/06/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

ネットでは分からない、本当にうまい店。美食生活40年、『東京いい店うまい店』元編集長によるグルメの現代史。

「これは行ってみたい」とメモりたくなる店多数! 当代きっての美食家が、現代日本の外食グルメの歴史を自身の体験と共に記す。70年代から始まるフランス料理の隆盛、バブルと共にやってきた「イタ飯」ブーム、内装とサービスにこだわったエンタメレストラン、グルメメディア事情、フーディーの登場、東京再開発によって活況を呈するイノベーティブレストランまで、「グルメの現代史」を総ざらい!

目次
はじめに
第1章 外食グルメの黎明期
高級寿司店の炎上騒動/若造は入ってはいけない店/東京は「世界一の美食都市」/庶民とは隔絶していた初期の美食家たち/東京レストランの原点「レンガ屋」/1970年のファミレス誕生/日本のフランス料理史/思い出のビストロ「シェ・ジャニー」/フランス帰りのシェフたちが続々と開店
第2章 バブル前夜
フランス料理に10年遅れてイタリア料理が隆盛に/「居酒屋以前」の日本料理と「ヌーベルシノワ以前」の中国料理/グルメメディアの百花繚乱/「料理評論」というジャンルを作った山本益博
第3章 バブルへGO!
オープンキッチンとシェフのスター化/エレガントなリストランテ「ビザビ」/バブルと同時進行したイタ飯ブーム/「美味しんぼ」から始まったグルメ漫画のトレンド/「料理オタク」の登場/女性誌「Hanako」の功罪/『なんとなく、クリスタル』/ホイチョイと「dancyu」/異種格闘技だった「料理の鉄人」
第4章 エル・ブジとサンセバスチャン
世界一予約の取れないレストラン/美食の街・サンセバスチャン/バルホッピング/レシピのオープンソース化/美食倶楽部の存在/ガストロノミーツーリズム
第5章 垣根が溶け始めた時代
ナイトタイムエコノミーの発達/空間プロデューサーに注目が集まる/エンタメレストランの雄・グローバルダイニング/際コーポレーションの躍進/多様な業態を開発しつづけるダイヤモンドダイニング/向上した料理人の地位/四谷三丁目の「パザパ」
第6章 グルメメディアの変遷
ぐるなび登場/急伸した食べログ/『東京最高のレストラン』/ミシュランガイド日本上陸/食べログレビューに振り回される飲食店/「Retty」と「TERIYAKI」/ドタキャンのマッチングアプリ/台帳管理サービス
第7章 フーディー登場
世界中のレストランを飛び回る人たち/食べログ訴訟/情報が拡がりすぎたことの弊害/「予約の取れない店」のプレミアム化/食いしん坊がコミュニティ化するのも無理はない/口コミで流れていく情報/フーディーとシェフは持ちつ持たれつ/頂点に君臨する日本人/「DINING OUT」というイベント/世界的に評価される日本人シェフ
第8章 外食業界の5つの方向性
プランドゥシーとトランジットジェネラルオフィス/丸ビルと六本木ヒルズ/外食業界の5つの方向性/アートのような料理を提供する「イノベーティブレストラン」/自然に「旨い」と言える店のバブル化/「予約の取れない小さい店」は利益が生みやすい/「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」/「のれんに偽りあり」の店/ライフスタイルを形作る店/きらりと光る個人営業店/チェーン型店舗の未来
第9章 コロナ禍の試練
長期間にわたって拡大したコロナ禍/ITツールとフードテック/ピーター・ルーガーの好調な滑り出し/インバウンドで活況を呈する地方/観光の目的地となるレストラン/SDGs は富裕層に刺さる/薪料理という新ジャンル/あまり変われなかったチェーン店/新時代、鳥貴族、サイゼリヤ/国際化に活路あり/ニューヨークの有名店の職人が和歌山で寿司屋を開店
第10章 東京グルメの未来
羊料理を再興させた「味坊」/キッチンラボというムーブメント/東京は横綱相撲を
おわりに 参考文献

書誌情報

読み仮名 トウキョウイイミセハヤルミセバブルゼンヤカラコロナゴマデ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-611045-0
C-CODE 0230
整理番号 1045
ジャンル クッキング・レシピ
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2024/06/17

蘊蓄倉庫

「キッチンラボ」というムーブメント

 ガストロノミーの分野では最近、「キッチンラボ」というムーブメントがあるようです。トップシェフたちが、自分が修業してきたジャンルにとどまらず、さまざまなジャンルの料理を融合させて、未来の食を開発しようとする。そんな時に有用なのがキッチンラボなのです。
 本書で紹介されているキッチンラボの代表選手は、西麻布の完全紹介制ダイニング「ノーコード」。この店は、レストランとして営業するのは月10日くらいで、その他には企業との商品開発、メニュー開発、コンサル、イベントのハブなどとして機能しているそうです。

掲載:2024年6月25日

担当編集者のひとこと

芋づる式に思い出が……

『東京いい店はやる店―バブル前夜からコロナ後まで―』は、東京を中心にここ40年ほどの外食業界の変遷を記した「グルメの現代史」です。

 実感としていいますが、40年前にはフランス料理やイタリア料理はまったく一般的な食べ物ではありませんでした。バブル前夜にようやく本格派のフランス料理のレストランが登場し、その後、バブルと共に「イタ飯ブーム」がやってきて、東京の街で、いわゆる「洋食」でない西洋料理のレストランが徐々に根付いていった感じです。

 その後、1990年代には、空間プロデュースや演出に一工夫をこらしたエンタメレストラン(グローバルダイニングや際コーポレーションの店舗群が代表)が隆盛となり、ぐるなびや食べログ、ミシュランの上陸などもあって、外食の状況にはどんどん拡がりが出ていき、東京は「世界一の美食都市」として認知されていきます。

 最近では、インバウンドの増加で、「そこで食べるために旅をする」デスティネーションレストランが地方部でもたくさん出来、東京再開発で続々と建っている高層ビルの上層階には金払いのよいフーディーをターゲットにした超高級店が次々と出てきています。本書を通して読むと、そうした「外食グルメの歴史」がざっと分かります。
 
 少々脱線しますが、この本の編集をしている過程では、いろんな記憶が芋づる式に蘇ってきました。1990年代の初め、1年暮らしたフランスから戻ってきた後にどうってことないフランス料理が食いたくなって出かけた四谷三丁目のビストロ「パザパ」。会社の近くにあって、当初は昼の定食が2000円しない気軽なビストロだったのに、途中からエル・ブジ風の小皿料理をたくさん出す高級店に大変貌して人気化した「ル・マンジュ・トゥー」。明らかに身の丈に合わないのに無理して出かけて赤っ恥をかいた「オテル・ドゥ・ミクニ」。会社の近くにあって夜の仕事の前によく行っていた「紅虎餃子房」。夜中までやっている上大箱なので重宝した「カフェ・ラ・ボエム」や「権八」といったグローバルダイニング系のレストラン……。おそらく、東京で働いていた中高年世代なら、自分がよく知っていたり、行ったことのあるレストランの名前が出てきて、感慨を覚えるだろうと思います。

 著者の柏原光太郎さんは、フーディーの世界では超有名人で、勤めていた文藝春秋社では『東京いい店うまい店』の編集長をされていたこともあります。40年の美食生活で行かれた店の数々にも驚かされますが、還暦を過ぎた現在も旺盛に新店舗を訪ねられているご様子がFacebookに綴られているのには感心してしまいます。50代の私には、そんな美食生活を続けられる胃袋の強さはない……。

 気楽に読める本ですが、読んでいると「これは行ってみたい!」「久しぶりに再訪したい」と思わされる店が頻発して、思わずメモってしまうこと必至。美食に興味のある向きには、オススメできる一冊です。

2024/06/25

著者プロフィール

柏原光太郎

カシワバラ・コウタロウ

1963(昭和38)年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、文藝春秋に入社、『東京いい店うまい店』編集長などを務める。「一般社団法人日本ガストロノミー協会」会長、「食の熱中小学校」校長。著書に『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論』がある。

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

柏原光太郎
登録
クッキング・レシピ
登録

書籍の分類