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オスの本懐

和田秀樹/著 、池田清彦/著

946円(税込)

発売日:2024/08/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

そんなに、不適切? 【ヘンなやつ】【アホなやつ】【エロいやつ】。医師と生物学者が本音で語る人として、ヒトとしての現代の「オス論」!

近頃、ニッポンの男性は元気がない。コンプラにポリコレ、健康常識に老後設計……時代の変化と社会の要請に揉まれ、オスとして大切な何かを失いつつあるらしい。「高齢になればなるほど、性ホルモンは若々しさや元気の秘訣になる」(和田)、「多くの凡人は色気と食い気が満たされていなければ、楽しく生きられない」(池田)など、オスがオスらしく生きるためにどうあるべきか、医師と生物学者が本音で語り合う。

目次
まえがきにかえて 和田秀樹
第1章 オスという不治の病
いってはいけない、本当のこと/エロ抜きで長生きしてもしょうがない/「エロじじい」を蔑む元気のない国/若いオスのヘンな行動が社会を変える/コレステロール値よりテストステロン値/ホルモン補充療法における男女格差/老いたら「心のエロ度」を全開に/割り勘にしたがるオスは本能に背いている/男の「老いらくの恋」、女の「おばあさん仮説」/遺伝子を残す戦略はオスとメスで異なる/メスによるシビアな品定め/我慢がオスの生命力を奪う/歳を重ねるほど、女性に求めるもの/「結婚できない」の言い訳とは
第2章 セックスはなぜ快感なのか
メスを敵に回してはいけない/モテる男はズラし上手/医者と結婚したい女性は何をするか/男は「女なら誰でもいい」?/なぜ人間だけセックスが快楽になったか/人間であるがゆえの「タブーを破る楽しさ」/擬似セックスをするサル・ボノボ/オスの行動と精子の動きはリンクしている/「不倫」は生物学的には正しい行動/禁欲のフロイトと発散のユング/「我慢」で前頭葉は萎縮する/嘘の起源/「男女の非対称性」は生物学的な大前提
第3章 ポリコレがオスを弱らせる
日本の「男女平等」にはバグがある/生物学では性自認をどう捉えるか/「心身の性の不一致」は自然なこと/競争が子どもの自己肯定感を高める/「置かれた場所で咲きなさい」の嘘っぱち/他人の恣意性の権利だけは侵害しない/コロナ禍であらわになった日本人の自己家畜化/ポリコレに逆行するテレビ局の「顔採用」/アドラー「共同体感覚」の欠落とダンバー数/なんとなくの空気、メディアと視聴者の罪
第4章 オスが輝かしく老いるために
誰が「おじいさん」だと決めるのか/「年齢の壁」をめぐる客観と主観の落差/サーチュイン遺伝子と長寿の関係/老いは「一つの病気」という仮説/権威にとらわれる町医者よりAIがマシ/人間よりAIと結婚したい男が増える?
オスが輝く健康十訓
その一、禁欲とガマンをやめる/その二、ルーティンを捨てる/その三、なんでもいいので好奇心をもつ/その四、男たるもの「はぐれ者」であれ/その五、健康診断は受けない/その六、病院は自分で「異変」を感じたら行く/その七、「細く長く」ではなく「太く長く」生きる/その八、テクノロジーを受け入れる/その九、生き残るために「頑張らない」/その十、「能動的適応」でとにかくラクな道を選ぶ
「能動的適応」ができない種には死が待つ
あとがきにかえて 池田清彦

書誌情報

読み仮名 オスノホンカイ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-611055-9
C-CODE 0240
整理番号 1055
ジャンル サイエンス・テクノロジー
定価 946円
電子書籍 価格 946円
電子書籍 配信開始日 2024/08/19

蘊蓄倉庫

嘘の起源は……「セックス」にあり?

 ニホンザルのメスは発情するとお尻が赤くなります。それをみたオスが次々にアプローチを仕掛けるわけですが、傍からは「いつ交尾をすれば、自分の子どもを産んでもらえるか」、つまり正確な排卵日まではわかりません。一方、メスの側はいつ頃が妊娠しやすいタイミングなのかなんとなく自覚があるようで、「その日」が訪れるとお気に入りのオスを誘ってこっそり交尾する行動もみられるのだとか。実際にDNA解析をしてみると、ボスザルの実子は思った以上に少ないそうです。

 似たようなことが、私たちヒトの世でも起きている気がしないでもなく、ある意味、真夏の怪談よりもゾゾゾっとする怖い話(!)なのですが、多くの場合、苦労して子どもを産み育てるのは女性の側。だからこそ、シビアにパートナーを見定め、「セックスする/しない」の主導権を「メス」が握っているのは自然の摂理なのかもしれません。

 というエピソードはほんの一例。「男と女の、本当の話」を科学的な見地から理解するためのヒントが盛りだくさん、生物学者・池田清彦さん×医師・和田秀樹さんによる痛快ホンネ対談本が晴れて発売となりました。ぜひともご一読を!

掲載:2024年8月23日

担当編集者のひとこと

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

 ちょっとでもヘンなこと、アホなこと、エロいことを言うと、たちまち「セクハラ」「パワハラ」「人間失格」と石をぶつけられ再起不能に追い込まれてしまう、令和ニッポンの深い闇。言論を生業としている人たちでさえ、奥歯にモノが挟まったような物言いをして自己防衛に余念がない……と感じるのは私だけでしょうか。

「ここから先はオフレコで」――。和田秀樹さん、池田清彦さんがこんな言葉を発する場面には、これまで遭遇したことがありません。聞けば、お二人はテレビカメラの前でも忖度なしに「本当のこと」を喋るので、テレビ的に放送しづらい内容(SGDsはインチキ!などなど)は編集上カットされて放送されない。ゆえに、生放送の番組にはまず呼ばれないのだそうです。

 テレビの生出演NG、という点以外にもたくさんの共通項をお持ちのお二人。飛び出すトークは切れ味抜群ですが、ご本人たちは至って優しくダンディ、洒脱な「オス」であり、新潮社内にも女性の隠れファン多数。そんなお二人がとことんホンネで語り合った本書が面白くないはずありません!

2024/08/23

著者プロフィール

和田秀樹

ワダ・ヒデキ

1960年生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、高齢者専門の精神科医。著書に『80歳の壁』など多数。

池田清彦

イケダ・キヨヒコ

1947年生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。著書に『「頭がいい」に騙されるな』など多数。

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