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転売ヤー 闇の経済学

奥窪優木/著

946円(税込)

発売日:2024/11/18

  • 新書
  • 電子書籍あり

【ポケモンカード】【ディズニー】【格安スマホ】【推しグッズ】【化粧品】【アウトドアグッズ】……。「旬」はこうしてカネになる。驚愕のカラクリを徹底取材!

推しグッズに限定グッズ、発売前から人気の新商品――需要が供給を上回ると見れば、品目を問わず大量に買占めては高額で売り飛ばす。それが「転売ヤー」だ。現代社会の新たな病理となりつつある彼らは、いったいどれぐらいの利益を得ているのか。グループのリーダー、日本で“仕入れ”母国で売り捌く中国人、個人で稼ぐ日本人など、あらゆる手口でひと儲けを狙う転売ヤーたちに密着、驚愕のカラクリをレポートする。

目次

はじめに

第1章 ポケモンカード――1枚の紙切れが価値を持つ時

第2章 PS5――転売ヤーSくんの誕生

第3章 羽生結弦グッズ――「ファン心理」は格好の餌食

第4章 ディズニーグッズ転売集団――体力勝負の「仕入れ日」密着

第5章 クリスマスに現れる「転売サンタクロース」――転売ヤーSくんのその後1

第6章 デパート外商を転売スキーム化――高級酒でロレックスを買う

コラム 転売ヤーの問題点と法規制の現状(骨董通り法律事務所 福井健策弁護士)

第7章 中国SNS転売事情――インフルエンサーと転売ヤーの狭間

第8章 バザー行脚で転売品を掘り出せ――転売ヤーSくんのその後2

第9章 格安スマホ転売ブーム――法改正と転売ヤーたちのいたちごっこ

第10章 クレジットカード・電子マネー――不正利用が転売の原資に

第11章 プレミアム付商品券で買いあさる――転売ヤーSくんのその後3

おわりに

書誌情報

読み仮名 テンバイヤーヤミノケイザイガク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-611067-2
C-CODE 0236
整理番号 1067
ジャンル 評論・文学研究、政治・社会、ノンフィクション
定価 946円
電子書籍 価格 946円
電子書籍 配信開始日 2024/11/18

担当編集者のひとこと

“闇の商人”たちのモットー

「滅びろ」「死ね」「呪われろ」……。
 SNS上では、自分が買いたかった商品を「転売ヤー」に買い占められた人々の声があふれ返っています。
 昭和の時代には「ダフ屋」と呼ばれた人々が、現代では興行チケットに限らず「これは売れる」と睨んだ商品を高値で売る転売ヤーとなって暗躍しているのです。

 彼らがターゲットにする商品には「持ち運びがしやすい」「大量に買い占めることが可能」という傾向があります。いわゆるキャラクターグッズやスマートフォン、玩具といった比較的安価なものが標的になることが多く、最近も、東京国立博物館でのハローキティ展に中国人転売ヤーが殺到したことがニュースになりました。
 驚くべきは、彼らの「利幅の増やし方」です。購入個数に制限のある商品をたくさん手に入れるため「並び屋」の動員、ネットで売り捌いた商品の発送料など転売にはお金がかかります。それらを差し引いても、いかに利益を増やすか? が彼らにとっても重要になるわけです。
 中国人転売ヤーは免税制度を使いこなし、日本人転売ヤーは時には地域のプレミアム付き商品券を不正入手して悪用するなど、“使える物はなんでも使う”が彼らのモットー。企業も年々、対策を強化していますが、かえってそれが転売ヤーを利する場合もあり、一筋縄ではいきません。

 著者自身、「転売ヤーを取材して書くより、転売ヤーになった方が稼げますよ」と苦笑しきりです。欲しかった「推し」グッズが転売ヤーのせいで手に入らなかった悔しい経験からこの企画を立ち上げた私も「敵ながらあっぱれ……」と思ってしまうほど、彼らは法律や制度の隙間を巧みに突いて、自分たちの利益を最大化しようと日夜研究しているのです。
 なお本書には、転売の具体的な手口が多数描かれていますが、あくまでも転売問題の実状を知ってもらうため。法律の専門家による警鐘と併せてお読みいただければと思います。

2024/11/25

著者プロフィール

奥窪優木

オククボ・ユウキ

1980年、愛媛県松山市生まれ。フリーライター。上智大学経済学部卒業後に渡米。ニューヨーク市立大学を中退、現地邦字紙記者に。中国在住を経て帰国し、日本の裏社会事情や転売ヤー組織を取材。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』『ルポ 新型コロナ詐欺』など。

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