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高校時代の終盤、初めての鉄道一人旅をした行き先は、金沢でした。当時、私には五木寛之ブームが到来しており、作品に出てくる金沢という街に、憧れを抱いていたのです。
昭和末期、世がバブルへと転がっていく頃の東京の高校生だった私の生活はからりと明るく、そこには微塵の湿り気も漂っていませんでした。だからこそ私は、五木作品に漂うほの暗さや湿り気に惹かれ、金沢を訪れたのでしょう。
それから、四十年。『忘れ得ぬ人 忘れ得ぬ言葉』を読んでいる時に私が感じたのは、昭和を濃厚に生きた人々が抱く湿度でした。[→]全文を読む
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波 2025年2月号 より
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『雪の花』吉村昭/著
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天然痘の大流行に立ち向かう町医者・笠原良策。 疫病との闘いに生命を賭けた医師の生涯を描く。【吉村文学・感動の傑作】
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数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘。それに絶対確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医・笠原良策は、私財をなげうち生命を賭して種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし天然痘の膿を身体に植え込むなどということに庶民は激しい恐怖心をいだき、藩医の妨害もあっていっこうに広まらなかった……。狂人とさげすまれながら天然痘と闘った一町医の感動の生涯。
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[映画化] 雪の花 ―ともに在りて― 2025年1月公開
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「ぼく」が入所した村井設計事務所は、毎年7月末になると、北浅間の「夏の家」に仕事場を移動する。その夏は、美しく居心地のいい建築を手がける先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業がピークを迎えようとしていた。若き建築家の成長とひと夏の恋の行方は――。
デビュー作にして読売文学賞を受賞した松家仁之さんの『火山のふもとで』が13年の時を経てついに新潮文庫化されました。更に『沈むフランシス』(2月28日発売)、『光の犬』(3月28日発売)の文庫版も刊行、3月末には最新長編『天使の踏むも畏れるところ』を発売予定です。
3ヶ月連続文庫版刊行を記念し、WEB文芸誌「yom yom」では『火山のふもとで』に合わせ冒頭部分の試し読みを特別公開。さらに松家さんによる『火山のふもとで』に寄せた特別エッセイも公開しています。この特別エッセイは今月の『沈むフランシス』、来月の『光の犬』に合わせても新たに公開する予定です。是非ご覧ください。
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窓口の向こう側には絶望が広がっていた……。 ルポ『ブラック郵便局』(宮崎拓朗著・2月17日発売)の「はじめに」を特別公開
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関係者1000人以上の「叫び」を基に歪んだ巨大組織の実態に迫る驚愕のルポルタージュ。
配達員によって捨てられた大量の郵便物。手段を選ばない保険営業や相次ぐ横領や詐欺――2007年の民営化以来17年、2万4000局、職員30万人超の巨大組織で何が起きていたのでしょうか。調査報道大賞など数々の賞で顕彰された西日本新聞記者が、6年以上をかけて取材した『ブラック郵便局』を2月17日に刊行いたします。
わたしたちの日常に密接にかかわる郵便局。あちこちで目にする郵便ポストや町を走り回る郵便配達員、局内に入れば貯金や保険の窓口が利用者を出迎えてくれます。その窓口の向こうで何が起こっていたか、ご存じでしょうか。「もう限界です」。著者の取材に、多くの郵便局員が実態を訴えます。たとえば過剰なノルマ。「今までに、年賀はがきの自爆営業で総額100万円ぐらいは身銭を切ってきた」と語る局員もいました。あるいは上層部による深刻なパワハラ、そして追い詰められた局員の自死も――。わたしたちの目に映る日常の光景を一変させる衝撃の調査報道です。
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