和菓子の箱に、宮殿はおさまるか。敗戦から15年、空襲で焼け落ちた明治宮殿の跡地に、皇居「新宮殿」造営の大プロジェクトが動きだす。

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#132 新潮社 総合メールマガジン「Mikazuki」2025/03/28
話題の本から
PICK UP
「皇居」新宮殿の造営をめぐる壮大な長篇小説、
松家仁之著『天使も踏むを畏れるところ』
若き建築家のひそやかな恋と図書館設計コンペを描いたデビュー作『火山のふもとで』(読売文学賞受賞)が今年1月、刊行から13年を経て文庫化され、ベストセラーとなっている松家仁之さん。最新作となる長篇小説『天使も踏むを畏れるところ』が発売されました。
天使も踏むを畏れるところ 上
                  松家仁之/著
                  天使も踏むを畏れるところ 下
                  松家仁之/著

終戦間近の1945年5月、激しい山の手空襲により、皇居内にあった木造の明治宮殿が焼け落ちた。戦後、再建が望まれるものの、社会全体の復興と「戦災した国民の生活向上を最優先とすべし」という昭和天皇のご意向もあり、長らく見送られたままだった。敗戦から15年、民主国家となった新しい日本と、象徴天皇にふさわしい「新宮殿」造営という一大プロジェクトが、いよいよ始動する。

設計を委嘱された建築家・村井俊輔を中心に、建設省から宮内庁に出向した建設技官、宮内庁の造営責任者、天皇の侍従、皇太子の教育掛、美智子妃と親交を結ぶ園芸家の女性など、さまざまな視点からこの世紀のプロジェクトを描きだす。「小説を読む歓び」をたっぷりと堪能できる新たな傑作の誕生です。

『天使も踏むを畏れるところ』
松家仁之/著

【刊行記念】トーク&サイン会を開催!
刊行に際し、紀伊國屋新宿本店(3月29日)とジュンク堂書店池袋本店(4月22日)でトークイベントの開催が決定しました。
紀伊國屋新宿本店では、建築家の堀部安嗣さんをお招きし、設計や建築家、皇居「新宮殿」の魅力について、また、ジュンク堂書店池袋本店では、皇室の近現代史がご専門の河西秀哉さん(名古屋大学大学院准教授)をお招きし、皇室と日本社会の変遷について、それぞれ繙いていただき、松家さんには執筆当時のエピソードや作品にこめた思いなどを語っていただく予定です。[→]詳しくはこちらから

■ 著者コメント
建築家・村井俊輔の視点だけでは、「新宮殿」造営という大きな物語を立体的に描くことはできません。建築と同じように、窓もあれば、一階、二階もあり、外側から見るのと内側から見るのとの違いもあります。百年に一度あるかないかの国家的プロジェクトとはいえ、造営に関わる一人一人の立場を考えれば、ささいな呟きにも重みが出てくる。プロジェクトの推移を人物の視点を変えながら見ていくことで、できるだけすみずみまで描いてみたい――そう考えました。
松家仁之(マツイエ・マサシ)
1958年、東京生まれ。編集者を経て、2012年、デビュー長篇『火山のふもとで』を発表。同作で読売文学賞受賞。2013年『沈むフランシス』、2014年『優雅なのかどうか、わからない』、2017年の『光の犬』で河合隼雄物語賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、2022年『泡』を刊行。共著・編著に『新しい須賀敦子』『須賀敦子の手紙』、新潮クレスト・ブックス・アンソロジー『美しい子ども』、「伊丹十三選集」全3巻など。

【日本の小説が英国席巻】海外から絶賛の声続々! 
全世界で累計70万部突破。
柚木麻子さん『BUTTER』
どうしても、許せないものが二つだけある。フェミニストとマーガリンです――。
男性優位社会に適応する。ルッキズムを内面化する。身体が悲鳴をあげるまで働く。そんな生き方に疑義を唱え、すべての人が自分で自分をケアしながら、ゆるやかに連帯することの重要性を問う――『BUTTER』はそんな長編小説です。
海外各国で出版されている『BUTTER』翻訳版
                  海外各国で出版されている『BUTTER』翻訳版

■どんどん広がる日本小説ファンの裾野

 現在は35か国で翻訳が決定している本書はイギリスでの刊行をきっかけに大きく注目を集め、各国にて話題を巻き起こしています。一番売れているイギリスでの部数は28万部超えと日本での部数を上回るほどの反響です(2025年3月時点)。
 昨年11月にはイギリスの各書店がノミネート作を選出し、読者の投票によって結果が決まる「Books Are My Bag Readers Award 2024」の「Breakthrough Author」を受賞。また同月、イギリスの大手書店チェーンWaterstoneが選ぶ「Waterstones Book of the Year 2024」を受賞しました。翻訳小説がこの賞を受賞するのは極めて珍しく、なんと日本人初の受賞となりました。
 単行本の発売から5年以上が経つ今、全世界で累計70万部を突破する大ベストセラーになっています。

『BUTTER』
柚木麻子/著

【海外から絶賛の声続々!】

膨大な本の中には特別な本もある。『BUTTER』が世界的な成功に至ったのは、文化や言葉の枠を超える感情的な真実味が読者の人間としての本質的な部分に訴えかけるからだろう。
―イングリッシュ・エージェンシー・代表取締役社長, Hamish Macaskill

これほどまでに多くの人に読まれているということだけでなく、英語圏の読者が『BUTTER』からどれほど大きな影響を受けていたかを知ることは私にとって衝撃的だった。
―イギリス・翻訳者, Polly Barton

Eccoでは社員一同、全米読者や書店から届く熱烈なレビューと大成功に興奮している。『BUTTER』はNew York Times、Washington Post、New Yorkerをはじめとする多数の有力紙で絶賛され、Barnes&Nobleの“Discover New Writers”にも選ばれた。今後もこの『BUTTER』旋風は続くであろう。我々が柚木麻子の米国出版であることを誇りに思う。
―アメリカ・出版社, Helen Atsma, VP, Publisher, Ecco

BUTTER
                  柚木麻子/著
書籍内容紹介
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。
柚木麻子(ユズキ・アサコ)
1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』『オール・ノット』『あいにくあんたのためじゃない』などがある。

RECOMMEND BOOKS ―
書籍(単行本など)
墳墓記
                  高村薫/著 天使も踏むを畏れるところ 上
                    松家仁之/著 京都の歩き方─歴史小説家50の視点─
                    澤田瞳子/著 原田マハのポスト印象派物語
                      原田マハ/著 裸足でかけてくおかしな妻さん
                  吉川トリコ/著 受け手のいない祈り
                    朝比奈秋/著
新刊一覧
新潮社の本
文庫
中動態の世界─意志と責任の考古学─
                  國分功一郎/著 河を渡って木立の中へ
                  ヘミングウェイ/著 、高見浩/訳 孤蝶の城
                  桜木紫乃/著 あの子とQ
                  万城目学/著 光の犬
                  松家仁之/著 春のこわいもの
                  川上未映子/著 銃を持つ花嫁
                  フィリップ・マーゴリン/著 、加賀山卓朗/訳 灼熱の魂
                  ワジディ・ムアワッド/著 、大林薫/訳 逃げろ逃げろ逃げろ!
                  チェスター・ハイムズ/著 、田村義進/訳
新潮文庫 今月のフェア 心が少し疲れたあなたに。
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伊藤忠 商人の心得
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                伊藤祐靖/原作 、須本壮一/漫画 けがわとなかみ 3巻
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                司馬遼太郎/原作 、奏ヨシキ/漫画
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