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いま注目の1冊!

2001年に第一二四回直木賞を受賞し、2003年に文庫化された重松清さんのロングセラー『ビタミンF』が、刊行から二十年が経った今、再び注目を集めています。
各編の主人公はいずれも三十代後半〜四十代。いつの間にか「若い頃」という言葉に抵抗がなくなり、仕事も妻との関係も惰性でやり過ごしている(「ゲンコツ」)。控えめな中学一年生の一人息子と、どうもしっくりいかない(「はずれくじ」)。ある日、年頃の娘に「気持ち悪い」と言い放たれて……(「パンドラ」)。一時の輝きを失い、人生の中途半端な時期に差し掛かった「中年」世代の彼らを主人公にしたこの短編集は、昨年末に投じた五千部の重版から徐々に火が付き、今年に入ってすでに十一万部を増刷。累計発行部数は八十万部を突破しました。
吃音の少年を描いた『きよしこ』や、いじめをテーマにした『ナイフ』など“泣ける”小説の名手として知られる重松清さん。『ビタミンF』は同氏による家族小説の最高峰です。ぜひご一読ください。
著者紹介
重松清シゲマツ・キヨシ
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書は他に、『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『カシオペアの丘で』『青い鳥』『くちぶえ番長』『せんせい。』『とんび』『ステップ』『かあちゃん』『ポニーテール』『また次の春へ』『赤ヘル1975』『一人っ子同盟』『どんまい』『木曜日の子ども』『ひこばえ』『ハレルヤ!』『おくることば』など多数。