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いま注目の本! マット・ラフ/著、浜野アキオ/訳『魂に秩序を』
巷で話題のガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』文庫版と同日、新潮文庫史上最厚のマット・ラフ『魂に秩序を』が発売されました。それぞれに多重人格を抱えた若者二人を主人公にした、ミステリーにして青春成長小説にして、あらゆるジャンルの要素を備えた究極の物語小説。一〇〇〇頁超えの長さを微塵も感じさせないメタおもしろ本なのですが、発表されたのは、なんと二十年以上も前の2003年。
じつはこの本、埋もれた旧作の中から傑作・珍作・怪作を選び抜き本邦初紹介する叢書として各紙誌書評で話題となった、新潮文庫〈海外名作発掘〉の一冊なのです。これまで、ゴダール映画代表作の原作『気狂いピエロ』(1962年)、ポール・オースター別名義のデビュー・ミステリー『スクイズ・プレー』(1982年)、〈ミステリが読みたい!2024年版〉海外篇第1位『愚者の街』(1970年)など、とっておきのラインナップを御紹介してきました。目印はオビにあるマークだけ――わかる人にはわかるシリーズなのです。最新作ばかりでなく旧作の中にも、お気に入りの一冊が見つかるかもしれませんよ。
著者紹介
マット・ラフRuff,Matt
1965年ニューヨーク生れ。1988年Fool on the Hillでデビュー。続くSewer, Gas & Electric: The Public Works Trilogy(1997年)をトマス・ピンチョンらに賞賛され、新しいアメリカ文学の担い手として注目される。邦訳にジェイムズ・ティプトリー・Jr.賞を受賞した『魂に秩序を』(2003年)のほか、『バッド・モンキーズ』(2007年)、『ラヴクラフト・カントリー』(2016年)がある。後者は2020年にHBOによってテレビシリーズ化された。
浜野アキオハマノ・アキオ
1961年宮城県生れ。京都大学文学部卒業。英米文学翻訳家。ウィルフォード『拾った女』、ヴァードン『数字を一つ思い浮かべろ』、チェイズ『天使は黒い翼をもつ』、ブルックス『モンスター・パニック!』など訳書多数。