Special――
庄野潤三氏宅訪問余話
11月29日、午後一時半、小田急線向ケ丘遊園駅改札口で、江國香織さんと待ち合わせ、タクシーで庄野潤三氏宅へ向かった。江國さんとは初対面に等しいが、ご両親が社の大先輩ということもあって、すぐに会話はほぐれた。父の故江國滋氏は文筆家として立つ以前、「週刊新潮」の名記者として鳴らし、当時「芸術新潮」編集部に在籍していた夫人と結婚した。
二時ちょうど、庄野家着。早速、ぶっつけ本番の対談が始まる。一見異色の取り合わせだが、江國さんは大の庄野ファンだから、両者の呼吸はピタリと合った。
対談後は隣りの和室で、夫人お心づくしの手料理をご馳走になった。「庭のつるばら」を本誌に連載中、毎月御原稿を頂戴にあがったものだが、私事ながら、当時結婚した娘に、雅子妃より十日ほど早く、女の初孫が誕生したことを報せると、皆で祝ってくださった。江國さんは、対談中話題になったマルメロ酒を実際にふるまわれて感激の面持ち。
帰りぎわ玄関正面の壁に、バラの油彩画と散歩用のハンチングが三つ架かっていたのが目にとまり、思わずシャッターを切ったが、写真を載せるスペースがないのが残念。なお、庄野氏の新作は「庭の小さなばら」という題で、「群像」新年号からスタートした。ご愛読を。
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