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父親の不在
「新潮」4月号
定価900円
3月7日発売


「ユリイカ」で昨年度の三島賞を受賞した気鋭の映画監督青山真治氏が、小説第二作「HELPLESS」二〇〇枚を発表します。妻に逃げられ、入院先で首を吊る父親。その息子の幼なじみはヤクザで、出所後自分を裏切った組長のオヤジに復讐を企てます。この二組の「父親殺し」が昭和天皇崩御の年に起きたという設定は、真に戦慄的で、家族の崩壊など、まだまだ生やさしいと思えてきます。
 特集「読書・この罰せられざる悪徳」は、斜陽の出版界なんぞ何処吹く風、新刊であれ古書であれ、面白い本は自分で見つけ、読書を生涯の伴侶としている選りすぐりのプロたち十一人に登場願い、萎縮した読書界に喝をいれてもらいました。
 以前小誌で連載した島尾敏雄「『死の棘』日記」は、前半の一番生々しい部分が欠けていました。単行本刊行を前に、今号で未発表部分を一挙公開します。ミホ未亡人の勇気ある決断に深謝。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)