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9・11後一年 子規没後百年
「新潮」10月特大号
定価950円
9月7日発売


 バベルの塔の崩壊を思わせた同時多発テロから、まもなく一年になります。9.11の前と後では、世界を見る眼差しは変わったと言わざるを得ません。吉田知子氏「日本難民」二六〇枚は、連合国に襲われて右往左往する国民を辛辣に描いた、近未来異色作。米国在住の女性詩人落石八月月さんが、その日の生々しい衝撃を伝えるエッセイ「夏の終わり」と共に、ご注目を。小説はほかに長嶋有氏「三十歳」九〇枚、吉田修一氏「正吾と蟹」五〇枚と、旬の芥川賞作家が顔を揃えました。
 短歌・俳句を初め文学を革新した快男児、正岡子規。その多面性・豊饒性に、今日の視点から照明を当てる没後百年特集は、古井由吉、中沢新一、平出隆氏による座談会や、吉村昭、D・キーン氏らのエッセイほか。
 平野啓一郎氏の三年半ぶりの大作「葬送」は、文学の未来に大きな明かりを点してくれました。菅野昭正氏との対談「正統性の核へ」も、お見逃しなく。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)