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新人賞二部門と萩原賞の発表
「新潮」11月特大号
定価950円
10月7日発売


 人は死に臨んだとき、何を思うのだろうか。今号の巻頭一挙掲載は、玄侑宗久氏「アミターバ=無量光明=」二二〇枚。現役の僧侶として、死の床にある人々に多く接し、自らも義母を見送った著者は、人はどのようにして死を克服し、光明に包まれるかをつぶさに実見した結果、ある確信を得ました。それを小説化したのが本篇で、これを読むと、いつのまにか死の恐怖が取り除かれているから不思議です。
 新しく川上弘美、沼野充義、福田和也、保坂和志、町田康の五氏が選考する新潮新人賞は、小説・評論の二部門に有望な受賞者が出ました。また、第10回を迎えた萩原朔太郎賞は入沢康夫氏「 い宴楽」に決定。ともに受賞作と選評を掲載しました。
 同じ小学校の同学年同士だった水村美苗氏と高橋源一郎氏の対談は「最初で最後の〈本格小説〉」。遠山一行氏の連載「モオツァルト断章」もスタートです。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)