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ジャンプする人生
「新潮」4月号
特別定価950円
3月7日発売


 愛猫ユキオの命日、鹿の子は前夫ウィリーと待ち合わせ、鎌倉の霊園に向かった。その帰り道、彼のマンションに寄ると、生後三ヶ月の赤子を抱いた同棲者が、彼女を出迎えた……。国際結婚の破綻後、新生活に踏み出した主人公の前に立ちふさがる壁。今号の巻頭は野中柊さんが「アンダーソン家のヨメ」以来十年ぶりに放つ自伝的長篇「ジャンピング・ベイビー」二八〇枚。小説は他に長嶋有氏「瑞枝さんの原付」、小川国夫氏「奉安殿事件」など。
 ドラマツルギーの観点から、新作の小説を読み解く「文芸時評」が好評の唐十郎氏は、最新戯曲「泥人魚」を発表。鬼才の手にかかると諫早湾の社会問題は、一転して妖しい劇空間に変容します。
 古井由吉氏と高橋源一郎氏との対談は「文学の成熟曲線」。エッセイは澤地久枝氏「小林多喜二没後七十年」と鈴村和成氏「マラッカの鮫」。
(編集長・前田速夫)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)