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アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ
「新潮」9月号
定価900円
8月7日発売


 文学者による想像力は、その強度により、アカルサともクラサともつかない“時代精神“を生々しく露呈します。
 平野啓一郎「最後の変身」は、インターネットと引き籠もりの時代に、カフカ「変身」のザムザを召還する野心作。
 柳美里「山手線内回り」の女性主人公は、閉塞しきった生を食い破る欲望に突き動かされ、山手線の閉じたループを彷徨し続けます。
 新聞報道で関心を持たれた方も多いか思いますが、太宰治が旧制弘前高校在学中に主宰した同人誌に掲載された比賀志英郎名義の作品「彼」が、太宰本人の作品である可能性が極めて高いことが、研究者相馬正一氏の検証により明らかになりました。本号では相馬氏の論考とともに作品を全文掲載します。
 本誌連載完結した保坂和志氏「カンバセーション・ピース」をめぐり、高橋源一郎氏と著者が討議しました。
(編集長・矢野優)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)