VANCOUVER 1939
二〇〇三年東京
「新潮」12月号
特別定価950円
11月7日発売
第二次大戦前にカナダで青春を謳歌した日系二世が、戦中に強制移動・収容を余儀なくされ、戦後は多民族国家の一員として複雑な自己像を形成したという歴史。それは重要な調査記録の対象ですが、堂垣園江氏「うつくしい人生」(三一〇枚)の作中に生きるジルやサムという名の日系カナダ人が八〇年に及ぶ我が生と対話し、いまだ和解できない過去に戦慄する時、その記憶の感触や精神の震えは文学こそが表現しうるものではないか?◎文学が表現しうるものとは……本誌がこの問いを放ち続ける空間であることを願いつつ、絲山秋子氏「海の仙人」、小野正嗣氏「人魚の唄」、犬山丈氏「アストリッド」の気鋭力作をお届けします◎島田雅彦氏「福田君と私」は前号掲載の福田和也氏「ゆかしいあやまち」への作者による応答。阿部和重氏の話題長篇『シンセミア』を蓮實重彦氏が論じます。
(編集長・矢野優)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込) |