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新作、新連作、新発見の饗宴
「新潮」7月特大号
特別定価1000円
6月7日発売


◎今年刊行の野心的長篇「ロンリー・ハーツ・キラー」(中央公論新社刊)で〈文学と政治〉の現代的地平を提示した星野智幸氏が早くも飛躍を遂げた。長篇「アルカロイド・ラヴァーズ」には、植物の猛毒に育まれた美しい狂気と愛が横溢する◎昨年九月号で、太宰治が旧制弘前高校在学中に筆名で公表した「彼」を研究者・相馬正一氏の緻密な検証と併せて発表したが、その後の氏の研究により、短篇「哀れに笑ふ」が新たに“発見”された。検証論考とともに作品全文を掲載◎古井由吉氏の新連作が第一回「辻」で待望のスタート。柳美里氏畢竟の大作「8月の果て」が本号掲載の完結篇(120枚)で劇的な結末を迎える◎現代思想の源流であるフランス民族学のパイオニアであり、レリス、バタイユ、レヴィ=ストロース等と親交を結びながら、理性と非理性の狭間を彷徨い続けたアルフレッド・メトローの生涯(1963年に自死)を描く岡谷公二氏「引き裂かれた旅人」、福田和也氏が前号で発表した「わが戦前」の続稿等、批評作品も充実◎第17回三島由紀夫賞が矢作俊彦氏『ららら科學の子』に決定。石丸元章氏との記念対談『文学V.S.麻薬Gメン─暗黒街の決闘─』は抱腹絶倒の盛り上がりを見せた。
(編集長・矢野優)
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)