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【冒頭部分掲載】

少女ロボット(A面)

宮崎誉子


 クラスメイトが自殺に失敗の巻。
「緒川、明日にでも病院に行ってくれよ」
「先生、学校の帰りでもいいですか」

 ピッピッピッ。
 携帯電話の音を聴いてると無表情になる。
 17歳はただの数字。
 制服はアタシを無気力にする。
 女子高生は記号に過ぎない。
 ドライヤーのONとOFFで無機質になる。
 分析は毎日を淋しくする。
 クラスメイトは目と口以外は包帯だらけ。
 ミイラ女はアーとウーしか言えなかった。
「あの娘、携帯買っても緒川さん以外誰もメール入れてくれなかったんですよ……」
「お母さん、悪いけど娘さんは……自作自演屋でしたよ」
 被害者意識はアタシに友情を強要する。
「アタシ。友田にメール入れてません」
「だって……」
「きっと自分で入れたんですよ」
「うっ嘘よ!!」
「アタシ。マニキュアはがれた手って苦手ぇ」
「ごっごめんなさいね……」
「親子そろって、すぐ謝るから標的にされるんですよ」

 人間は喋り過ぎる。
 ――壊れたい。
 コンクリートミキサーで掻き回されても無神経でいられるのが夢。

続きは本誌にてお楽しみ下さい。