本・雑誌・ウェブ


ウェブ進化と
文学の変容
編集長・矢野優
「新潮」6月号
定価900円
5月6日発売



◎「インターネットが人間を変えるのであればどのように変えるのだろう」。ネットが社会を変革する可能性を「オプティミズムと果敢な行動主義」において肯定してみせる話題の書『ウェブ進化論』(ちくま新書)の著者、梅田望夫氏に向け、ネットが生成した暗い世界をあえてペシミスティックに描く『顔のない裸体たち』の平野啓一郎氏が最初に投げかけた言葉です。『ウェブ進化論』が提示した諸問題をめぐる議論の内容は今月号より二分載しますが、「テクノロジーの中で人間の生活というのは根本的に変わるし、人間の本性も劇的に変わっている」という平野氏の認識は、人間が創り人間を描く文学の変容を予告します◎ネットがもっとも身近な「光景」となった現在。気鋭の小説家・劇作家、本谷有希子氏の「生きてるだけで、愛。」(140枚)は、そんな時代に軋みをあげる生身の人間の絶望の果ての希望なき希望を浮上させる力作です。
(編集長・矢野 優)