文学賞
川上未映子『あこがれ』、第一回渡辺淳一文学賞受賞!

渡辺淳一さんの三回忌を迎える今年、「純文学・大衆文学の枠を超えた、人間心理に深く迫る豊潤な物語性を持った小説作品を顕彰」する渡辺淳一文学賞が創設されましたが、第一回受賞作に川上未映子さん『あこがれ』(小社刊)が選ばれました。
昨秋に刊行されたこの作品は、発売直後から「人生の核心を覗かせながらも、明日もがんばってみようかな、と思わせる優しい視線に満ちている」(中原かおり氏、「産経新聞」十一月十五日)、「この作者にしか紡ぎ出せない清冽で切実な感情が宿っている」(佐々木敦氏、「日本経済新聞」十一月二十二日)などの好評を得て版を重ねてきましたが、さらなる栄誉に輝きました。
小学生の少年と少女の二人の視点で、この年代なればこそ抱く「あこがれ」の存在への揺れ動く思いが綴られていきますが、その瑞々しく繊細な文章をぜひご堪能いただきたいと思います。
著者紹介
川上未映子カワカミ・ミエコ
大阪府生れ。2008(平成20)年、『乳と卵』で芥川賞、2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、2010年、『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞および紫式部文学賞、2013年、詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞をそれぞれ受賞。2019(令和元)年、『夏物語』で毎日出版文化賞を受賞。『春のこわいもの』は海外でもベストセラーになる。『ヘヴン』の英訳は2022年、ブッカー国際賞最終候補に選出された。2023年、『すべて真夜中の恋人たち』が全米批評家協会賞最終ノミネート作品となる。2024年、『黄色い家』で読売文学賞を受賞。このほかにも村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。