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暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」――歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。

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  • 「物語に救われる」近況と新作『とわの庭』のこと(1)
  • 「ベルリンでの暮らしから生まれた物語」近況と新作『とわの庭』のこと(2)
  • 「母と私の庭」近況と新作『とわの庭』のこと(3)

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「いずみ」という詩を読む母の声 / 母が読み聞かせてくれた物語 忍冬(スイカズラ)の香り / 母が作る美味しいパンケーキ / 近所の家から聴こえてくるピアノの音 / 人生の証人――記念日の写真館花束のような、人びとの存在 / すべてを知る、すずらんのスズちゃん / 一歩前へ踏み出す仲間、のジョイ / 余りもののタオルで作る手製の雑巾 / ロバとおじいさんのおはなし / 自分へのぜいたくなおみやげ――プリンとシュークリーム / いつか乗りたい憧れのハーレーダビッドソン / リヒトくんとのひと夏の体験とお別れ――

ジョイ

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書店員さんからの声

  • 生きていると、辛いこと、悲しいこと、苦しいことがある。私たちは下を向いてしまいがちだ。でも前を向いて生きること、そして空を見上げれば太陽が、鳥が、緑が見守っていてくれる。私たちのまわりには、支えてくれるものがたくさんあることを教えてくれます。私はスイカズラを庭に植えました。次の春が楽しみです。

    (あおい書店 富士店 鈴木裕里さん)

  • 社会派テーマが、小川糸さんの紡ぐ言葉で伝えられる、不思議な揺らぎと癒しの物語。「いずみ」という詩から始まる。何度も読み返したくなり、愛情が無尽蔵にあふれてくる。未来を照らしてくれるラスト1行の言葉を、私はずっと胸に抱いていきたい。

    (うさぎや 矢板店 山田恵理子さん)

  • 前半はショッキングでしたが、最後には、人間のすごい生命力を見せられた気がしました。そして、言葉、物語、本というものに、確かに救われる、と確信できました。きっと誰かの生きる糧になる、と思うと、本を売る人間としての使命感も湧いてきました。糸さんの想いが、たくさんの人に届きますように。

    (紀伊國屋書店 加古川店 吉田奈津子さん)

  • 生きるのに必要なもの、ほんとうに必要なことは何だろうか。それが満たされていれば、何がなくとも、何ができなくとも、光の中で生きていけるのかもしれない。そんなことを思う物語。音や匂いや気配、そんなものがいとしくなる。

    (有隣堂 ラスカ小田原店 高橋美羽子さん)

  • あふれるような光に、包まれた気がした。澱んだものをすべて脱ぎ捨てて洗い清め、ひとは変われるのだと信じさせてくれる物語でした。この世に存在するすべての苦しみに、この光が降り注ぐことを願ってやみません。

    (丸善 丸広百貨店東松山店 本郷綾子さん)

  • 優しい陽だまりに包まれているような……そんな気持ちになりました。前向きに今この一瞬をどう生きてゆけばいいのかを考えるとわちゃんの姿に光を感じました。自分から一歩を踏み出すのは、とても勇気がいることですが、きっとそんな誰かの背中をそっと押してくれる、優しい物語です。

    (ブックポート 大和店 櫻井もなみさん)

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とわの庭

小川糸

暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。
「生きているって、すごいことなんだねぇ」――歌う鳥たち。
草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。
虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。
ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。
本屋大賞第2位『ライオンのおやつ』に続く、待望の長編小説。

読み終えると、あたたかな空気が流れます。

2020年10月29日発売/1,650円(税込) ISBN:978-4-10-331193-5

小川糸 Ito Ogawa

1973年生まれ。2008年『食堂かたつむり』でデビュー。多くの作品が、英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語などに翻訳され、様々な国で出版されている。『食堂かたつむり』は、2010年に映画化され、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞。2012年には『つるかめ助産院』が、2017年には『ツバキ文具店』が、NHKでテレビドラマ化され、『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ライオンのおやつ』は、「本屋大賞」にノミネートされた。その他の著書に『喋々喃々』『ファミリーツリー』『リボン』『あつあつを召し上がれ』『サーカスの夜に』『ミ・ト・ン』など。

糸通信【小川糸】公式サイト