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魂をゆさぶる傑作。その、もうひとつの「読みどころ」とは!?

 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 10月新刊で、話題作『ふがいない僕は空を見た』がいよいよ文庫化されました。
 本書は窪美澄さんのデビュー作であるにもかかわらず、読者の圧倒的な支持を得て、本屋大賞第2位に輝き、さらには山本周五郎賞を受賞。まさに人気と実力を兼ね備えた、幸運な傑作なのです。

 そして11月には、本書を原作とした映画「ふがいない僕は空を見た」も公開! こちらもタナダユキ監督の演出も冴え渡る、大変見ごたえのある力作です。何と言っても、演技派女優、田畑智子さんと、若手実力派俳優、永山絢斗さんの、全裸もいとわぬラブシーンには息を呑みました……。あまりにも、原作に忠実だったのです。

 そう、何をかくそう、本作のテーマのひとつは「性」。
 実はこの作品に登場するセックスシーンは、本当にリアルでエロティックなのです(!)。
 たとえばどんなシーンかと言いますと……

「あんずはおれとセックスをする前に必ず台本を書く。おれはあんずが書いた台本どおりに動き、セリフをしゃべり、セックスする。
 おれはあんずのひとさし指と中指を自分の口の中にいれ、できるだけいやらしくねちっこく、わざと大きな音をたててなめる。これもあんずの台本どおり。」

 すみません、Yonda Mailで引用できるのはこのくらいです……。もっとスゴい場面もありますよ(!?)。気になる方はぜひ、本書を手にとって見てくださいね。

 そもそも『ふがいない僕は空を見た』は、「女性が描く性をテーマとした小説」を募集した「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した短編、「ミクマリ」が出発点となっています。それゆえ、エロティックな場面も包み隠さず描かれているのです。

「女性に人気のある作品なんでしょ」と敬遠している男性読者のみなさん! ちょっと邪な気持ちで読み始めていただいても結構です。確かな筆力によるエロティックな描写に身をまかせるうちに、いつのまにか骨太な物語に引き込まれて、心を揺さぶられているはずです。


(新潮文庫編集部Y・O)

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2012年10月10日   今月の1冊
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