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[井上ひさし『一週間』刊行記念]大江健三郎/小説家井上ひさし最後の傑作

波 2010年7月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/06/27

発売日 2010/06/27
JANコード 4910068230706
定価 105円(税込)

[井上ひさし『一週間』刊行記念]
大江健三郎/小説家井上ひさし最後の傑作

[島田荘司『写楽 閉じた国の幻』刊行記念インタビュー]
島田荘司/ミステリー界の巨匠 写楽の謎に挑む!

道尾秀介『月の恋人~Moon Lovers~』
村瀬 健/道尾マジック、「月9」に登場!

諸田玲子『思い出コロッケ』
向田和子/かくれファン

西條奈加『善人長屋』
近藤史恵/素晴らしき善人長屋

星野智幸『俺俺』
比嘉世津子/これは、他人事ではない!

福永 信『星座から見た地球』
穂村 弘/星の光の解読

開高 健『夏の闇 直筆原稿縮刷版』
原田宗典/夏の闇との一夜

福田和也『現代人は救われ得るか―平成の思想と文芸―』
山城むつみ/平成批評は流し打ち?

川上未映子『夏の入り口、模様の出口』
椎名 誠/でっかくバクハツしそう

萩原朔美『劇的な人生こそ真実―私が逢った昭和の異才たち―』
竹宮惠子/新たなる地平をめざすというネガイ

小山登美夫『見た、訊いた、買った古美術』
佐藤和歌子/マッサージのノリで古美術を

美谷島邦子『御巣鷹山と生きる―日航機墜落事故遺族の25年―』
柳田邦男/一万三千年の悲しみ、そして再生

特集[〈トマス・ピンチョン全小説〉刊行記念]
都甲幸治/未来の作家
【インタビュー】柴田元幸/目指したのは「笑えるピンチョン」

ジョン・グリシャム『アソシエイト(上・下)』(新潮文庫)
香山二三郎/帰ってきた元祖リーガルサスペンスの旗手

リリー・フランキー『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン―』(新潮文庫)
【対談】茂木健一郎×リリー・フランキー/「ムラ社会」をぶっ飛ばせ!

若原正己『黒人はなぜ足が速いのか―「走る遺伝子」の謎―』(新潮選書)
生島 淳/「短距離の遺伝子」と「長距離の遺伝子」

村上陽一郎『人間にとって科学とは何か』(新潮選書)
佐藤健太郎/碩学の見事な「距離感」

柴田光滋『編集者の仕事―本の魂は細部に宿る―』(新潮新書)
柴田光滋/本には表情がある

コラム
吉田修一作家様に会いたくて。
「考える人」─村上春樹さんとの三日間
三橋曉の海外エンタ三つ巴
とんぼの本編集部通信

連載
蓮池 薫/拉致と決断 第3回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第2回
小林朋道/ヒト、動物に会う 第2回
宮城谷昌光/古城の風景 第85回 古渡城
花村萬月/百万遍 流転旋転 第43回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 笑福亭鶴瓶(前篇)
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第7回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第4回
新野剛志/中野トリップスター 第4話(3)

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、四月九日に逝去された井上ひさし氏。本誌では、『私家版 日本語文法』『自家製 文章読本』(新潮文庫)の連載をなさっている井上氏ですが、表紙に写っている原稿は、六月三十日に刊行される氏最後の長編小説『一週間』の自筆原稿です。『一週間』は、小説新潮誌上で二〇〇〇年二月号より足かけ七年間、四十三回にわたって掲載された、ソ連の日本人捕虜収容所向けに発行されていた「日本新聞」の編集所を舞台に、昭和二十一年春の一週間に凝縮された主人公の波瀾万丈の生を描いた大作です。
◇七月十四日(水)まで、荒川区立荒川ふるさと文化館(荒川区南千住)で、吉村昭記念企画展「作家・吉村昭の交遊録」が開催されています。この展覧会は、日暮里出身の吉村昭氏と、その文学仲間や恩師、編集者との交流、夫人の作家・津村節子氏から受けた影響などを、氏の作品や関連資料から紹介するもので、自筆原稿、氏の作品が掲載されている同人誌、編集者との写真など、氏の作品を理解するためにも貴重な資料が展示されています。
 また、吉村氏の『桜田門外ノ変』(新潮文庫)が映画化され、十月十六日(土)よりの全国ロードショー(配給/東映)が決定しました。出演は、大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、加藤清史郎、西村雅彦、伊武雅刀、そして北大路欣也といった豪華な面々。監督は、『男たちの大和』の佐藤純彌氏です。
 神奈川近代文学館(横浜市中区山手町)では、生誕八十年を記念した「『開高健の世界』展」が、八月一日(日)まで開催されています。この展覧会は、近年発見された原稿、書簡、遺愛品を中心に、執筆の軌跡を編年体による展観であらためて見つめ直すものです。なお、この展覧会にも出品されている『夏の闇』の自筆原稿四百八枚を完全収録した、『夏の闇 直筆原稿縮刷版』が、この五月に小社より刊行されております。
◎第五十八回日本エッセイスト・クラブ賞を、秋尾沙戸子『ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後―』(新潮社刊)が受賞しました。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。