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戯作三昧・一塊の土

芥川龍之介/著

473円(税込)

発売日:1968/11/19

  • 文庫

狂気の前夜。著者の自負と焦燥を色濃く投影した秀作十三篇を収録。

江戸末期の市井の風俗の中で、芸術至上主義の境地を生きた馬琴に、自己の思想や問題を託した「戯作三昧」、仇討ちを果した赤穂浪士の心理に新しい照明をあてて話題を呼んだ「或日の大石内蔵之助」などの“江戸期もの”。闇空に突然きらめいて、たちまち消えてゆく花火のような人生を描いた「舞踏会」などの“明治開化期もの”。ほかに本格的な写実小説「秋」など、現代に材料をとった佳作を網羅した。

目次
或日の大石内蔵之助
戯作三昧
開化の殺人
枯野抄
開化の良人
舞踏会


お富の貞操

あばばばば
一塊の土
年末の一日
注解 神田由美子
解説 中村真一郎

書誌情報

読み仮名 ゲサクザンマイイッカイノツチ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 336ページ
ISBN 978-4-10-102505-6
C-CODE 0193
整理番号 あ-1-5
ジャンル 文芸作品
定価 473円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

あるのは、唯不可思議な悦びである。或は恍惚たる悲壮の感激である。この感激を知らないものに、どうして戯作三昧の心境が昧到されよう。どうして戯作者の厳かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生」は、あらゆるその残滓を洗って、まるで新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いているではないか。……(本書68ページ)

*戯作三昧 「戯作」とは、江戸後期の俗文学をいい、洒落本、滑稽本、黄表紙、合巻、読本、人情本を含む。「三昧」とは、ある一事に熱中すること。(本書注解287ページ)

著者プロフィール

芥川龍之介

アクタガワ・リュウノスケ

(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。

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