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記紀に書かれなかった本当の《天岩戸伝説》とは。日本神話の謎を解く古代史ミステリー。

卑弥呼の葬祭―天照暗殺―

高田崇史/著

649円(税込)

本の仕様

発売日:2019/07/01

読み仮名 ヒミコノソウサイアマテルアンサツ
装幀 サイトウユウスケ/カバー装画、新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 小説新潮から生まれた本
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-120073-6
C-CODE 0193
整理番号 た-117-4
ジャンル 文学・評論
定価 649円

高千穂の夜神楽の真っ只中で男性の首なし死体が発見された。一方宇佐神宮では御霊水の井戸に禍々しいものが……。その九州で「卑弥呼の調査に行く」と言ったまま行方不明の従弟・漣を追う萬願寺響子。実在する凶首塚古墳、百体神社の謎。奇妙な天岩戸伝説と隠蔽された事件とは。そして天皇家が鎮魂の儀式を続けてきた真の理由とは。この国の黎明に何があったのか。瞠目の古代史ミステリー。

著者プロフィール

高田崇史 タカダ・タカフミ

1958(昭和33)年東京都生れ。明治薬科大学卒。1998(平成10)年『QED百人一首の呪』でメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。数々の作品にて、独自の歴史、宗教的考察を展開し、ミステリ界の注目を集める。QED及び関連シリーズは、200万部を超えるベストセラーとなっている。近著に、『神の時空 前紀 女神の功罪』『古事記異聞 鬼棲む国、出雲』『鬼門の将軍』『卑弥呼の葬祭―天照暗殺―』などがある。

高田崇史Official Web Site club ―TAKATAKAT― (外部リンク)

目次

天照あまてらす大神おおみかみ
満身創まんしんそう
てん神明しんめい
乱雑らんざつしょう
水月すいげつきょう
参考文献

インタビュー/対談/エッセイ

二十年目に最大の謎を

高田崇史

 第九回メフィスト賞受賞作『QED 百人一首の呪』が世に出たのが1998年12月。高田崇史氏はデビュー二十周年の節目を迎えた。「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「神の時空とき」シリーズ、「毒草師」シリーズなど、数多くのシリーズを駆使して、この二十年間に六十冊に迫る数の作品を上梓してきた。その多くが、日本史や民俗学の該博な知識を駆使し、歴史の常識を覆すスリリングなミステリー。最新作『卑弥呼の葬祭―天照暗殺―』では、遂に古代史最大の謎ともいえる邪馬台国に取り組んで、大胆不敵な結論を導き出した。著者が語る二十年の歩みと最新作の秘密――。

 数えたことはなかったのですが、『卑弥呼の葬祭―天照暗殺―』が五十七作目になりますか。年に三作。多いといえば多いかもしれませんが、普通だろうという感じもあります。僕がデビューした当時は、森博嗣さんや西澤保彦さんが年に四冊とか書いていましたから。ミステリー作家とはそういうものかと思いながら書き始めて、そのまま二十年経ちました。
 といっても、デビュー当時、ネタの蓄積は全然ありませんでした。三冊分くらいしかなかった。デビュー作が百人一首で、次のテーマが六歌仙と七福神、三作目がシャーロック・ホームズ。以上(笑)。それまでは普通の薬剤師で、小説家になろうという野心は持っていませんでしたからね。歴史や民俗学に興味はありましたが、学術的に文献を読み解く訓練を受けたわけでもない。
 だから、あるテーマを徹底的に調べて行って、そこからアイデアが生まれるわけではありません。夢で見たり、車を運転していて信号待ちの時に浮かんだり――AはBなのだよ、という「天のお告げ」が来るんです。僕の場合、神社・地酒・温泉という三条件を達成すると、この「お告げ」が降りて来やすいようです。取材旅行に行って、神社を巡り、地酒を嗜んで、温泉に浸かる。そうすると、神様が憐れんでくれるのか、アイデアを貰える。あとは、それを史料で論理的に裏付けていくだけです。
 もともと理系で、歴史には全くの素人だったから、学説や定説にとらわれない発想ができたのかもしれません。専門家にとってはありえない、とんでもない発想でも、こっちは学界とは無関係だから、平気で書ける。医学の世界でも、本来の専門分野ではない人が新しい発見をした例はいくつもあります。たとえば丸山ワクチンなどがそうでしょう。専門家でない方が、かえって新しい発想ができるのかもしれません。
 QEDシリーズの桑原崇と棚旗奈々、毒草師シリーズの御名形史紋みなかたしもん、カンナシリーズの鴨志田甲斐、そして今回の萬願寺響子など、シリーズキャラクターもずいぶん作ってきました。桑原崇が僕の分身なのではないかと、よく言われますが、たぶん違う。むしろ、どのキャラクターも自分の一部分を拡大したものなんです。中でも僕と最も重なるのは棚旗奈々ちゃんだと思っているんですが、誰も信用してくれません。
 今まで書いた作品の中で一番苦労したのが、今回の『卑弥呼の葬祭』です。九州に二回、取材旅行に行って、一度はカンカン照り、二度目は台風直撃でしたから。
 邪馬台国と卑弥呼は、いつかは踏み込まなくてはいけない領域だとは思っていました。それに、天照大神の天岩戸伝説が真に意味するものは、常識的な解釈とは全然違うということは、以前から考えていました。手掛りをつかんだのは、天岩戸神社の天安河原に行った時です。
 詳しくはネタバレになるので明かせませんが、その夜、神社・地酒・温泉をクリアすると、○○は△△だと神様が教えてくれたのです。調べていくと、まったく予測していなかった形で、そこから全部つながっていく。行く先々で証拠が見つかる。もちろん、卑弥呼=天照大神という説は、頭のどこかにありましたが、そんな単純な話ではありません。
 邪馬台国の所在についても、九州説と畿内説をいわばアウフヘーベンする説を提示できたと思っています。ちなみに、小説の中で、この全てを解き明かし、事件を解決に導くのは「あの男」です。「あの男」が邪馬台国論争に決着をつけます。僕ではありません(笑)。
 二十周年の今年は、某社で新シリーズを立ち上げることになっています。QEDシリーズも書くし、初の児童書の予定もあります。萬願寺響子シリーズの次回作では、『平家物語』に取り組みます。あの大部な物語に、どのような歴史が隠されているか。それは追々見えてくるでしょう。

(たかだ・たかふみ 小説家)
波 2018年3月号より
単行本刊行時掲載

判型違い(書籍)

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