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今月号の表紙はインパルスの板倉俊之さん。

波 2018年3月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/02/27

発売日 2018/02/27
JANコード 4910068230386
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第6回

[橋田壽賀子『恨みっこなしの老後』刊行記念対談]
橋田壽賀子×石井ふく子/恨むヒマがあったら、感謝

[石井遊佳『百年泥』芥川賞受賞記念特集]
[インタビュー]
石井遊佳/極限まで自由に書いていきます
豊崎由美/静かに奏でられる「母を恋うる歌」

[板倉俊之『月の炎』刊行記念特集]
[インタビュー]
板倉俊之/小説は、ミステリー
杉江松恋/子供の日々の繊細な感覚

中島京子『樽とタタン』
戌井昭人/思いがけない記憶が蘇る

宮崎誉子『水田マリのわだかまり』
トミヤマユキコ/誰かさんの死の上に描かれる自分の日常

[古川日出男『ミライミライ』刊行記念対談]
古川日出男×後藤正文/文学にしかできないこと

マーガレット・ドラブル、武藤浩史/訳『昏い水』
平松洋子/老いに向き合う華麗な小説

ウラジーミル・ナボコフ、小西昌隆、毛利公美、沼野充義/訳『ナボコフ・コレクション 処刑への誘い 戯曲 事件 ワルツの発明』
いしいしんじ/ギャグよ、うつくしいギャグ

前田英樹『批評の魂』
三輪太郎/文学よりはるか以前の裸の問い

[千早 茜『クローゼット』刊行記念対談]
千早 茜×筒井直子/人と服の傷みによりそう

谷 瑞恵『額を紡ぐひと』
名久井直子/相手を映す鏡のような、

暖 あやこ『14歳のバベル』
小谷真理/ビールが甦らせたバベルの呪い

高田崇史『卑弥呼の葬祭―天照暗殺―』
高田崇史/二十年目に最大の謎を

[阿刀田 高『漱石を知っていますか』刊行記念対談]
阿刀田 高×藤原正彦/漱石はどこが面白いのか?

[杏、大倉眞一郎『BOOK BAR―お好みの本、あります。―』刊行記念対談]
杏×大倉眞一郎/思わず読んでみたくなる本ばかり!

君塚直隆『立憲君主制の現在―日本人は「象徴天皇」を維持できるか―』
待鳥聡史/君臨の現代的意義を求めて

NHKスペシャル取材班『高校生ワーキングプア―「見えない貧困」の真実―』
板垣淑子/「高校生ワーキングプア」との出会い

[追悼 西部邁]
立川談四楼/「あいつは当然死んだ」

ヘミングウェイ、高見 浩/訳『誰がために鐘は鳴る』上・下(新潮文庫)
高見 浩/『誰がために鐘は鳴る』、もう一つの面白さ

【コラム】
小野尚子、本橋弥生、阿部賢一、鹿島 茂『ミュシャ―パリの華、スラヴの魂―』(とんぼの本)
小野尚子/《スラヴ叙事詩》を巡る旅

とんぼの本編集室だより

鈴木大介『脳は回復する―高次脳機能障害からの脱出―』(新潮新書)
鈴木大介/脳に苦しみを抱える全ての人へ

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第3回
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 第3回
津村記久子/やりなおし世界文学 第46回
野村 進/多幸感のくに 第16回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第96回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第11回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第24回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第15回

編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙はインパルスの板倉俊之さん。

◎今月の表紙はインパルスの板倉俊之さん。最新長篇小説『月の炎』が刊行されたばかりです。芸人の世界には、『劇場』の又吉直樹さんや『文明の子』の太田光さんをはじめ筆の立つ方が多く、最近の本だけでも、水道橋博士さんの『藝人春秋2』はカポーティ叶えられた祈り』のように切なく美しく、若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』は佐藤優いま生きる「資本論」』のように読む者への励ましに満ちていました。板倉さんもそんな芸人兼作家の1人。新作『月の炎』は、小学5年生の男の子を主人公にしたハートウォーミング・ミステリです。重松清さんがオビに「少年の孤独な戦いに惹きつけられた。青春小説の王道だなあ、これ。」と推薦コメントを寄せて下さいました。
◎昨秋刊の『「文豪とアルケミスト」文学全集』に太宰安吾織田作の鼎談が載っており、「小股のきれあがった女」とは何かが議論されていました。後に中野好夫吉行淳之介丸谷才一井上ひさし、高島俊男、杉浦日向子さんたちもこの語についての自説を述べていますが、決定打はないようです。『新潮現代国語辞典』は「背丈がすらりとして小粋な婦人の形容」、『広辞苑』は「女の足が長くすらりとした粋なからだつきをいう」と、重点が背丈か足かはともかく、粋筋の女性を形容する言葉には違いなさそうで、ざっと調べた中では、「吉原の花魁道中で外八文字を踏めるようになること。つまり、それだけの経験をつんだ女というのが元だ」(大意)という藤浦敦さんの説が一番しっくり来ました。
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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。