発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―
649円(税込)
発売日:2017/01/28
- 文庫
- 電子書籍あり
誰が「神の手」を招いたか。石に憑かれた男たちの人生を追う、渾身の日本考古学界史。
岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋。「旧石器の神様」と呼ばれた考古学者、芹沢長介。日本人の根源を辿る考古学界において、歴史を変えたその新発見は激しい学術論争、学閥抗争を巻き起こす。やがて沈殿した人間関係の澱は、日本を震撼させた「神の手」騒動に流れ着き――。微に入り細を穿つ徹底取材が生んだ骨太ノンフィクション。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』改題。
目次
序章 オレたちの神様
第一章 岩宿の発見
日本人のルーツ発見/「考古ボーイ」たち/芹沢と相澤の出会い/それまでの旧石器研究/「明石原人」を巡る論争/相澤のライバル/始まった世紀の発掘/周囲の冷淡な目
第二章 人間・相澤忠洋
旅芸人の息子として/初めて手にした石器/離散した家族/母との再会/父としての相澤忠洋/亡き妻へのオマージュ
第三章 芹沢長介と登呂の鬼
染色家の父/病との闘い/登呂の鬼/火の杉原、水の芹沢/「岩宿の発見」は誰のものか?/杉原 vs 芹沢
第四章 前期旧石器狂騒
「この怨みは一生忘れないぞ」/考古学は博打か/人類の起源/芹沢の苦悩/師弟対決/岩宿の再発掘調査/晩年の相澤
第五章 孤立する芹沢
層位は型式に優先する/こだわりの写真撮影/芹沢の愛弟子たち/本当の敵は誰か/孤立する神様
第六章 暴かれる神の手
虚実ない交ぜの男/「出たどーッ」/神の手への疑問/考古学における日仏の差/科学検査では「OK」/無視された藤村批判論文/動き始めた取材チーム/検証委員会は何をしたのか
最終章 神々の黄昏
相澤忠洋になろうとした男/道化師よ、衣装をつけろ/旧石器の神様の最期
あとがき
参考文献一覧
参考文献一覧
解説 増田俊也
書誌情報
読み仮名 | ハックツキョウソウシイワジュクカラカミノテマデ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫、電子書籍 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 368ページ |
ISBN | 978-4-10-120686-8 |
C-CODE | 0195 |
整理番号 | う-23-1 |
ジャンル | 考古学 |
定価 | 649円 |
電子書籍 価格 | 649円 |
電子書籍 配信開始日 | 2017/07/21 |
著者プロフィール
上原善広
ウエハラ・ヨシヒロ
1973(昭和48)年、大阪府生れ。大阪体育大学卒業後、ノンフィクション作家となる。2010(平成22)年、『日本の路地を旅する』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。主な著書に『被差別の食卓』『聖路加病院訪問看護科 11人のナースたち』『異形の日本人』『私家版 差別語辞典』『異邦人 世界の辺境を旅する』『被差別のグルメ』『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』『発掘狂騒史 「岩宿」から「神の手」まで』『差別と教育と私』『カナダ 歴史街道をゆく』『辺境の路地へ』『断薬記 私がうつ病の薬をやめた理由』などがある。
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