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古事記の禁忌 天皇の正体

関裕二/著

605円(税込)

発売日:2012/12/26

  • 文庫

古事記一三〇〇年。古事記は神典ではない。古からの暗号である。古代史最大のタブーを気鋭の歴史作家が解き明かす。

『古事記』には謎が多い。勅命で編纂された歴史書でありながら記述が途中で終わり、200年もの空白があること。同時期の『日本書紀』と全く反対の外交姿勢をとっていること。さらに矛盾に満ちた序文の存在。黙殺された謎の数々を解き明かす中で浮かび上がる「秦氏」と「播磨」の重要性、そして最大のタブー“天皇の正体”──。代表作「正体」シリーズの集大成となる渾身の書下ろし。

目次
はじめに
第一章 『古事記』の謎
なぜ記紀神話の神々は不人気なのか/税を搾取する悪代官になった神々/なぜ多くの渡来人がやってきたのか/稲荷社と八幡社が受け入れられた理由/なぜ神話は編まれたのか/なぜ同じ人物がふたつの歴史書を必要としたのか/怨敵だった百済と新羅/滅亡した百済の遺恨/渡来人のロビー活動と日本の外交/『日本書記』は持統と藤原不比等の政権の歴史書/ヤマト建国説話と考古学の一致/藤原氏と蘇我氏に対する『日本書紀』の不可解な態度/『古事記』の謎を解くヒント
第二章 『古事記』をめぐる仮説
怪しいのは『古事記』序文/なぜ史学界は『古事記』偽書説を笑殺するのか/従来の『古事記』研究には根本的な誤りがあった?/『古事記』と特殊仮名遣い/『古事記』をめぐる単純な謎/針間国(播磨国)に落ち延びた意祁王・袁祁王/たまたま発見された意祁王・袁祁王/顕宗天皇の復讐と溜飲/仁賢天皇の時代にも事件は起きていた/なぜ『古事記』は継体天皇を描かなかったのか/『古事記』最大のテーマは顕宗天皇と仁賢天皇/播磨とつながっていた新羅/秦氏が『古事記』編纂にかかわっていた証拠/秦河勝も播磨に逃げていた/意祁王・袁祁王を救ったのは秦氏だった?
第三章 天皇と鬼
『古事記』は天皇家に悪意を抱いている?/秦河勝は祟っていた?/鬼が鬼であることを利用した/秦河勝が大生部多を懲らしめた意味/秦河勝の常世の神殺し/秦氏の複雑な恨み/なぜ天皇家は永続したのか/天皇はすぐれて政治的存在なのか/われわれが知りたいのは「なぜ錦の御旗がこわいのか」/鬼のように恐れられ神のように崇められた黎明期のヤマトの王/物部氏と尾張氏の祖が出雲を潰しにかかった?/饒速日命と長髄彦は吉備と東海からやってきた/ヤマトを二分した日本の流通ルート/王家の祟りに震え上がったヤマト/天皇が恐れられた本当の理由/ヤマト建国のカラクリ/最下層の鬼と頂点に立つ鬼/差別される者と天皇
第四章 「天皇家」を潰そうとした天皇
なぜ平安時代に権力者は何度も入れ替わったのか/なぜ武士は天皇を潰さなかったのか/心底藤原氏を嫌っていた天皇家/天皇家を潰そうとしていた天皇/長屋王という藤原氏の天敵/藤原氏の陰謀によって一族滅亡に追い込まれた長屋王/なぜ聖武は関東行幸を敢行したのか/東大寺建立の真の目的/なぜ光明子は聖武に「藤原の正体」を教えてしまったのか/光明子は藤原不比等の娘ではなく県犬養三千代の娘だった/皇帝になろうとした藤原氏/なぜ称徳天皇は王家を潰そうとしたのか
第五章 天皇と権力
ヤマトの王は権力者の道具だった?/皇親政治(天皇独裁)の意味/皇親政治を改めようとしたのは皇親体制派だった?/律令の規定をあいまいに解釈することで天皇を魔法の杖にした藤原氏/恐怖心の裏返しで皇帝になろうとした恵美押勝/桓武天皇が平城京を捨てた本当の理由/モンスター=院が登場した原因は藤原摂関家にある/藤原氏繁栄の落とし穴/なぜ武士が台頭したのか/なぜ源氏や平氏は東国の荒くれたちを束ねることができたのか/東国の民と天皇のつながり/藤原氏の政敵の力をそぎ落とすための東北征討/武士のおかげで富を蓄えた藤原氏/秦氏という視点で天皇を見つめ直す/利用されるだけ利用された秦氏/日本史最大のタブーは「ゆすられ続ける天皇」?
おわりに
主要参考文献一覧

書誌情報

読み仮名 コジキノタブーテンノウノショウタイ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-136475-9
C-CODE 0121
整理番号 せ-13-5
ジャンル 日本史
定価 605円

著者プロフィール

関裕二

セキ・ユウジ

1959(昭和34)年、千葉県柏市生まれ。歴史作家、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。仏教美術に魅了されて奈良に通いつめ、独学で古代史を学ぶ。『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『神武天皇vs.卑弥呼』『古代史の正体』など著書多数。

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