泥棒日記
825円(税込)
発売日:1968/10/02
- 文庫
言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。――裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところをサルトルらの運動によって特赦を受けた怪物作家の、もっとも自伝的な色彩の濃い代表作。
書誌情報
読み仮名 | ドロボウニッキ |
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シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 432ページ |
ISBN | 978-4-10-211901-3 |
C-CODE | 0197 |
整理番号 | シ-7-1 |
ジャンル | 文芸作品 |
定価 | 825円 |
著者プロフィール
ジャン・ジュネ
Genet,Jean
(1910-1986)1910年、生後まもなく捨て子となる。里親のもとで教育を受けるも、盗みと脱走を繰り返し、十五歳で感化院に送致。その後も泥棒、男娼、密告者として「悪」の道をひたはしる。やがて独房で小説を書きはじめ、1944年、『花のノートルダム』を地下出版。これに目を留めたコクトーらの尽力で終身刑を恩赦され、晴れて作家に転生した。同時期の作品として、対独協力の少年兵とナチス将校の愛を織り上げた『葬儀』(1947年)、貧しい姉妹の反抗の「儀式」を劇化した『女中たち』(同)、「囚人服」を「薔薇(ばら)」に紐(ひも)づけて実人生を昇華させた『泥棒日記』(1949年)などがある。サルトルの『聖ジュネ』(1952年)で生ける伝説とされてからは、劇作と批評に専心。晩年は黒人民族主義やパレスチナ解放運動にかかわり、独自の政治参加を行った。1986年、七十五歳で死去。
朝吹三吉
アサブキ・サンキチ
(1914-2001)東京生れ。パリ大学ソルボンヌ卒。慶應義塾大学名誉教授。ジュネ『泥棒日記』のほか、妹・登水子とのボーヴォワールの共訳でも知られる。
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